海外FXのボーナスというのは、利用者インセンティブ・プロモーションとして定番化し、国内個人投資家が海外FXを利用するにあたって、大きな人気を博してきたものです。
しかし欧州でESMA規制がはじまってからは、海外FX業者ならどの会社でもボーナスが提供されるものではなくなってしまい、ボーナスというのは実はかなり貴重で限定的なプログラムになってきています。
そんな中で、FBSは今も口座開設ボーナスと、入金に100%ボーナスといった多彩なプログラムを利用者提供し続けており、ボーナスとレバレッジという視点で業者選択を行った場合には、日本の個人投資家には真っ先に目につくブランドとなっています。
しかし、このFBSボーナスプログラムを実際に使ってみますと、結構違和感のあるものであることがわかりはじめます。
提供レベルは低いものの、同じようにボーナスプログラムを継続中のXMTrading(セーシェル口座)と比較してみますと、ボーナスのレートが高ければいいというものではないことが見えてきます。
海外FX業者と一口に言っても、事業をスタートした国が違ったり、運用者が異なるということもあってか、同じボーナスプログラムでも使いやすい、使いにくいという違いは相当明確に存在します。
今回は、そんな入金ボーナスのプログラム実施で非常に貴重な存在となっている、海外FX業界の代表的業者ともいえるFBSのボーナスを、XMTradingのものと実際に利用した上で比較してみて、その違いを検証してみることにします。
もくじ
■FBSには口座開設だけで利用できる2つの未入金ボーナスが存在
ボーナスプログラムで誰もがまず魅力を感じるのは、口座開設をしただけで無償でもらえる、つまり自己資金を入金しなくても取引ができるボーナスの存在ということになります。
もともとこのボーナスというのは、現金を支給されるかのような響きがありますが、すべての業者で取引に利用できるクレジットであり、それを利用した得た利益が出金できるのが基本となりますが、FBSの場合には一定条件を満たせばこのボーナスも出金できるプログラムを提供しています。
現在実施されている、未入金のボーナスプログラムは二つになります。
・50ドルボーナスプログラム
FBSでは、ボーナスプログラム専用のボーナス50ドル口座を開設しますと、50ドル(5000円相当)が付与されて未入金の状態から取引が可能となります。
もちろん最初から自己資金の追加入金も可能ですが、利益の上限は500ドルで2ロット(20万通貨)以上の取引で25ドルの利益がでたら出金可能となる仕組みが用意されています。
レバレッジは500倍なので、まずはこれで500ドルまで利益をあげることを考えるのも一つの手ですが、500ドルという上限付きでそれ以降は外に新たな口座を開設して資金移動を行うことになってしまいます。
その際ボーナスはすべて消滅しますので、結局利益が出たのであれば一旦出金して出直しをはかることが必要になります。
500倍のレバレッジですと、ドル円1万通貨ペアの売買をしても証拠金は2220円かかりますから、この取引き条件で利益を出すというのは相当至難の業となることは言うまでもありません。
利用期間に制限はありませんので、じっくり最小限の通貨単位でコツコツ利益をあげて、500ドル近い利益を確保することを目指すことになるわけです。
50ドルは確かに魅力的ですが、あえてうまく利益が出せないようにプロモーション条件を設定しているとしか思えないほど難しいのが現状で、あくまでお試しで売買ができる程度と言うのが利用してみた正直な感想となります。
・7日間の時間制限付き123ドルボーナスプログラムも存在
実はFBSには、50ドルボーナスとは別に、ボーナス123ドル口座を開設して7日間取引すると、合計取引Lot数×3倍まで出金ができるという未入金プログラムも存在します。
123ドルと言えば1万3000円以上ですから、口座開設だけで支給されるボーナスとしてはかなり魅力的ですが、期間は土日を入れて7日つまりどこで口座開設をしても5営業日のみ、追加入金はできず合計取引Lot数の3倍までしか出金できないわけですから、相当積極的に多くの枚数を利用してスキャルピングのような取引でもしない限りは、まったく出金できない単なるお試しお遊び口座になってしまうリスクが伴うことになります。
レバレッジは2000倍が利用できますが、何回か失敗すればあっという間にボーナスを減らすことになってしまい、7日後には口座はアンリミテッド口座に変更となりボーナスは消滅しますので、利益部分は資金移動されてしまいますので、結局また入金をして売買をしないと利益の出金は覚束ないことになってしまうのです。
一言でいえば、123ドルの未入金ボーナスだけ利用して利益がでたら、さっさと出金して去っていくことができないような設定になっているというのが正確な内容といえます。
■XMTradingは3000円の未入金ボーナスが存在
一方、ボーナス支給で有名な海外FX業者であるXMTradingには、口座開設だけで3000円のいわゆる未入金ボーナスが支給できるキャンペーンプログラムが存在しています。
これはマイクロ口座で1000通貨以下でも取引ができ、しかも期間に定めはありまんから、かなり慎重に売買すればドル円1000通貨125円程度の証拠金からはじめて資金を本当に大きく広げていることが可能になります。
XMにはポイントプログラムがあり、ドル円なら5000通貨ペアを10分以上保有して売却すれば1ポイントが付与され、ボーナス換算すると36円~37円程度のボーナスを毎回加算することができますので、売買によるキャピタルゲインとともに取引でボーナスも増やすことができるのが特徴です。
たしかに金額はFBSには劣りますが、利用にあたっての縛りが非常に限られていますので、損失さえ出さなければこの資金だけで取引を大きくしていくことは実際に可能です。
25倍の国内なら、ドル円1000通貨ペアでも4500円見当の証拠金が必要なわけですから、3000円のクレジットボーナスでも888倍を活かしてじっくり取り組めば自己資金なしで大きな証拠金を作り出すことが可能です。
■未入金ボーナスとしてはXMのほうがかなり使いやすい
FBSもXMも、ハイレバレッジ環境での取引ですから、そもそも損をしないうまい取引ができなければ、あっという間にクレジットボーナスは消滅することになります。
ハイレバ環境では、能力を発揮しやすいスキャルピングを多用し、慎重に売買することができるのであれば、自己資金を入金しなくても十分にやっていけるといえます。
ただ、実際にFBSの2つのプログラムとXMのプログラムを利用してみますと、金額は少ないもののXMのほうがかなり使いやすいものであることがよく理解できます。
とくに、7日間の時限利用ボーナスは精神的にも追い詰められますし、無理して大きなロット数で売買したとたんに損失が膨らみ、数回損切しただけであとは使い物にならなくなるというのが殆どの利用者の結果であると思われます。
そのくらい、利益を持ち出すのは至難の業のプログラムなのです。
■FBSには入金に100%ボーナスプログラムも用意されている
未入金ボーナスとは別に、自己資金を投入したときに付与される入金ボーナスでも、FBSは非常に魅力的なレートが提供されています。
そのレートは、海外FX業者の中でも常設されたプログラムとしてはもっとも高いものといえ、多くの日本人投資家が使ってみたくなる設定となっています。
FBSもXMも、ECN口座にはボーナスがつかないのは同様の条件ですが、それ以外にもかなり異なる利用条件が設定されています。
・FBSは100%入金プログラムを実施
FBSの100%ボーナスプログラムを利用しますと、たとえば10万円入金すればクレジットボーナスが同額の10万円ついてくるため非常に利用価値の高いプログラムとなります。
とにかく2万ドル(200万相当)まで常に入金額と同額のクレジットボーナスを利用して、実質的に倍の証拠金で売買の勝負ができるわけですから、これは大きなインセンティブです。
ただ、これは事前にリクエストをして入金をし、そのボタンを押すことで口座に反映されるので、XMなどを使いなれていて自動的にクレジットが反映される仕組みに慣れていると、若干違和感を覚えるプロセスが存在することになります。
FBSで、100%ボーナスの対象となる口座はECN口座以外で、ボーナス付与のリクエストをした途端に、3000倍も2000倍も1000倍のハイレバレッジ口座も、自動的に500倍にレバレッジ制限がかかることになります。
実はこの部分はどこにも詳細の説明がなく、既に利用したことのあるユーザーが開示しているホームページなどを事前に克明に読んでいれば確かにわかりますが、普通の利用者は使い始めてから初めてレバレッジが3000倍や1000倍ではないことに気づかされて結構がっかりするものになっています。
なぜ事前に断り書きで、こうした詳細説明を入れないのかよくわかりませんが、規約を細かく探してみると確かにそうした記載はアリバイ的に書かれています。
このボーナスの上限は、上述のとおり2万ドル(200万相当)で必要ロット数の取引をすれば出金が可能となります。
ただし、ここでいう必要ロット数はボーナス総数÷3ですから、100ドル入金した場合、33ロット以上取引する必要があることになります。
1ロットは10万通貨ですから、累計で330万通貨ペア売買をして、やっと1万円相当の出金が叶うことになりますから、よほど長期もしくはスキャルピング主体で売買をしないかぎり、ボーナス部分は簡単に出金の対象にはならないことを理解しておく必要があります。
出金は可能だが、実質的にはほとんど出金できないのがボーナス部分と認識すべきでしょう。
またFBSにはキャッシュバックという仕組みがあり、ボタンを押しておくとECN口座以外では取引きボリュームにあわせてキャッシュバックがありますが、金額はそれほど大きなものではありません。
ただ、こちらは売買すれば確実に反映されますので、若干でも出金時には助けになるプログラムとなっています。
■決定的な問題はFBSは証拠金が一定量減るとボーナスが消えること
実際に使ってみて驚かされるのは、実はFBSでは付与されたボーナスが一定の証拠金維持率の条件下で、突残消え失せるということです。
リアルに入金した自己資金のほうの証拠金維持率が、取得したボーナス額の30%を割り込んだ場合には、あったはずのボーナスがいきなりキャンセル(消滅)してしまうことになります。
たとえば100ドル入金して、クレジットボーナスが100ドルとなっても、リアルな証拠金が33ドルを下回った途端に、あったはずのボーナスもなんの前触れもなく消滅してしまうのです。
そんなことはどこにも書いていないと騒ぎたくなるわけですが、こちらも実はプロモーション条件の詳細に小さく記載されています。
100%ボーナス利用の事前の注意事項としては、レバレッジが500倍に制限されるのと同様に積極的に告知されていないことが非常に気になります。
このレギュレーションですと、証拠金を減らした場合には想定外の状況でボーナスも無くなってしまい、強制ロスカットを食らってお仕舞いということも十分に考えられるので、入金した証拠金の維持率が3割を切らないように常に注意する必要があります。
ボーナスの提供レートは確かにFBSが100%と断然高いわけですが、それをうまく利用するのには相当な工夫が必要ですし、ボーナス分を都合よく現金化して引き出すのも至難の業であることがわかります。
とくにこの、証拠金維持率30%以下でボーナス消滅というのは相当いただけない仕組みであり、利用してみてはじめてびっくりさせられる取引条件といえます。
■XMTradingの入金ボーナスは上限5000ドルで入金額の20%
一方XMTradingは、ECNのゼロ口座以外のマイクロ、スタンダード口座両方について、5000ドルを上限とする入金ボーナスのプログラムが用意されており、限度額を超えるまでは、入金すれば自動的に20%のボーナスがクレジットとして口座に支給されるようになっています。
季節的なプロモーションとして、500ドルを上限とした100%ボーナスが支給されることもこれまでにはありましたが、最近では基本的にこの20%が基本的な入金ボーナスプログラムとして定着してきているようです。
このボーナスは、全額証拠金を出金をしてしまいますとすべて失われることになりますし、一部の証拠金を出金をするとその割合にあわせてクレジットボーナスも削除される形になっています。
ただ、リアルマネーで入金した証拠金が売買取引上の損失から失われても、ボーナスだけが残っていれば普通に自己資金と全く同じように売買が可能になります。
またボーナスだけを利用して売買することで得られたポイントプログラムのポイントは、ボーナスに変換して口座に追加することも可能で、一言でいえば通常の証拠金となんら違いなく利用できるクレジットになっているのです。
FBSのように、リアルな証拠金が一定金額減少すると気がついたらボーナスまで消えてなくなった、という理不尽なことはありませんので、かなり良心的です。
また自ら申告しなくても、入金さえすれば自動的に口座にクレジットボーナスが反映されるという、手間のかからないプロモーションになっているのも非常にうれしい仕組みといえます。
ただし、クレジット自体はどうやっても出金することはできませんので、あくまで売買取引に利用することが前提となっていることだけはしっかり認識すべきです。
出金ができないことを除けば、XMが提供するボーナスプロブラムはかなり寛容なものであるということができそうです。
■日本人投資家には説明不足感満載のFBSと、使いやすいXM
今や入金であれ、口座開設であれ、ボーナスを付与される業者というのは非常にレアな存在ですから、どの業者であってもそれをうまく利用することが個人投資家にとっては重要で、比較してけなすのは本意ではありません。
そうは言っても、正直なところ実際に利用してみると、FBSとXMは取引き条件面でのユーザーインターフェースが随分と異なる印象を強く受けた次第です。
FBSのほうは、時間を区切ったり、条件付きで付与されたボーナスが消滅するというプログラムが痛くお好きなようで、使ってみたら実はいろいろなレギュレーションがあってびっくりする、という口座になっていることがわかりました。
もちろん、目を皿のようにしてサイトをくまなく読み漁って、詳細のプロモーション規定を理解すれば前提条件はわかるわけですが、重要要件はしっかり事前に伝えてという部分が相当欠落している点はかなり残念な状況といえます。
一方XMの場合は、当初から日本人投資家を強く意識してプログラムが開発されているせいか、エキセントリックな取引条件は一切なく、ボーナスは換金できないものの、最後まで現金資金の代わりに利用できるという、非常にわかりやすいレギュレーションになっていることが理解できます。
■結果として
FBSとXMTradingのボーナスプログラムを、スペック比較だけでなく実際に利用してみますと、FBSはまったく使えないというわけではありませんが、使いこなすのは口座開設ボーナスに限らず、入金ボーナスに限らずも含めて相当難しいことだけはあらかじめ覚悟しておく必要がありそうです。
かなり海外FXに精通して使い慣れている私の目からみても、違和感があるわけですから、海外FX初心者の場合実際に使い始めてから愕然とすることも多いのではないかと思います。
できることなら、投入証拠金以上のクレジットボーナスが付与されて制約条件なしで取引ができる、但し出金はできませんという単純な取りきめだけにしてもらうほうがかなり利用しやすいといえます。
そういう意味では、XMは口座開設で3000円、入金ボーナスは入金額の20%、上限5000ドルという数値的にはFBSにはかなわないスペックになっていますが、その分制約条件が非常に緩く、自らの資金として利用するのにはこちらのほうが相当便利で使いやすいことが改めて認識される次第です。
自分の資金以外で証拠金を大きく利用できるボーナスは、とにかく国内業者にはない仕組みですから、有効利用したいのはやまやまですが、業者が好意的にプロモーションとして提供してくれているわけですから、本来文句を言うべきものではないのはわかりますが、さすがにそれを使いこなすために難解で厳しい取引条件にチャレンジするというのは、FX取引の視点から見るといささか本末転倒の感が否めない状況です。
できることなら、あまり縛りのないプログラムを提供する業者を選択したいもので、金額的には劣るものの、日本人の個人投資家が普通に使いこなすことができるプロモーションとしてはXMTradingのほうが一段レベルが高いといえそうです。
こうした業者ごとのボーナスキャンペーンの利用方法が大きく異なるのは、利用者視点に立って設計されているのかどうかの違いがあることを強く感じる次第です。
XMTradingは、日本人個人投資家を当初から強く意識していますので、煩雑で理解しにくい条件をできるだけ排除していることが窺われます。
一方FBSのほうは、日本人だけを対象としているわけではないユニバーサルなキャンペーンプログラムとなっているので、業者側の設定論理が強く前面に出ている印象を受けます。
同じボーナスキャンペーンといえども、業者の発想で大きく異なるものであることだけはあらかじめ理解しておきたいところです。