海外FX業者の中では、かなり個人投資家の取引に寛容な姿勢で対応してくれるのがXMで、両建てに関しても証拠金が必要ないなどユーザーにとって使いやすい条件設定がされています。
しかしこの両建ての利用にあたっては、絶対にやってはいけないいくつかのトレードが決められており、これに違反した場合には、最悪口座凍結で資金すら出金できなくなるという厳しい処罰を受けることがあるのです。
今回はその両建ての禁止事項について、現状でXMに直接問い合わせをしてみて、判った範囲についてご説明していくことにします。
もくじ
■XMは両建て可能でも禁止事項がある
XMの運営マニュアルを、すべて拝見したわけではありませんから、漏れがあったりさらに詳細の決まり事がある可能性は否定できません。
また国内の投資家では、およそやらないであろうと思われるような内容も含まれていますが、少なくとも我々ユーザーがXMで安心して取引をするためには、自主的にやってはいけないことをしっかりと理解しておくことが重要で、そのためにもこうした内容をまとめてみました。
①XM内の複数の口座を使った反対売買ポジションを持つのは禁止
XMでは同一口座内での両建ては完全に許容されていますが、最大8つまで持てる異なる口座の中で反対売買ポジションを持つことは固く禁止されています。
例えば、A口座でドル円のロングを1万通貨もって、B口座で同じドル円のショートを1万口座持つことが禁止されているというのです。
これは同一口座の中で両建てを行うのと、何が異なるのでしょうか。
どうも、ゼロカットシステムを使って、口座の異なる両建ての片方を損切されてしまうような行為が許されていないようなのです。
本来損切は自分で行うのが基本ですが、ゼロカットシステムならば必要最低限の証拠金だけ入れて、それが無くなったら自動的に損切という形にも利用することができるわけです。
たとえばA,B2つの口座にポジションの証拠金と、30銭動いたときの分の余剰金しか入れないで両建てをしておけば、相場が動いて利がのったほうと反対のポジションは自動的に損をかかえて、証拠金分でゼロカットで消滅させることができるようになるのです。
こうした使い方が非常によろしくないようで、もともとどちらに相場が動くかわからないので、上も下もポジションを持ってダメなほうを損切するという利用を好ましく思っていないことが非常によく感じられます。
②月曜窓開けトレードでの両建て禁止
両方向にポジションをもつということでは、やはり禁止されているのが月曜の窓開けトレードと呼ばれるものです。
土日のうちに、選挙などの日にちの確定したイベントがある場合には、月曜の朝に前週の金曜日の終値から大きく窓があくケースがあるのですが、これを見越して土曜日の早朝NYタイムの終了時に、わざわざ両建てをポジションをもったまま週超えをしますと、週明けに窓が開いた方向のポジションで利益を出すことができ、反対の損失ポジションはその場で切ることもできます。
その後、窓埋めが考えられる場合には、そのまま放置しておくと損失を埋める形で利益確定できるといったトレード手法になります。
実はこれもXMでは禁止されているトレード方法になっているのです。
要するに、どちらに動くかわからない相場に、両方のポジションを用意して利益を稼ぐというやり方がよろしくないことがわかります。
こうした方向感不明の相場状況に仕掛けをして、利益を取りにいくというのが全く好ましく思われていないことは理解しておくべきでしょう。
③異なる通貨ペアを利用した実質的なヘッジの両建て禁止
これはかなり微妙なものですが、異なる通貨ペアを利用して、実質的にヘッジになるような変則的な両建てをすることにも、どうもXMは目を光らせているようです。
たとえばドル円をロングにしながら、ユーロドルもロングにするというのは、本来ドルが強い場合にはありえない組合せとなるわけです。
ただし、こうしたケースではユーロが強含む場合に、ドルストレートはほとんどドルが下落するにもかかわらず、ユーロ円が強含んでドル円も上昇するということはありうるので、あまり神経質になる必要はないと思います。
要するに、作為的に反対売買で、両建てになるような取引さえしないことを心掛けていればいいのではないでしょうか。
見る人が見れば、なにか意図をもってポジションを作っているというのは、結構わかるものです。
相場がどちらに転んでも、利益がとれるように画策したポジションづくりをしないということが重要です。
この手の微妙なケースは、運用監視部門が日々チェックして、あまりにもおかしいと思うものだけが指摘されるようですから、常に問題とは限りません。
④複数の人間でグルになって口座分散させて両建てを行うのも禁止
これは実際にどの位あり得る話なのか分かりませんが、複数の人間でグルになって口座を分散させた状態で、両建てを行うケースも禁止されているようです。
国内の市場においては、実際にこんなことをして稼ぐ連中が存在するのかという気もしますが、発展途上国のアジア圏などの場合には、そんなやり方をする投資グループが存在するのかも知れません。
これも、通常の個人取引なら意識するべきものではありません。
ただ気になるのは、外部の第三者との連係などという場合には、どうやってその事実を突き止めているのかということです。
別に積極的にやるべき内容とはまったく思いませんが、業者間で疑わしいアカウントがある場合に、なんらかの情報交換をしているのか?と詮索してみたくなるような話でもあります。
日本のようにユーザーが多い国では、実際に発見するのは至難の業ですが、発展途上国の特定地域だとこうしたことも見つけられるのかもしれません。
⑤複数業者を跨いだアービトラージは絶対禁止
両建てで、国内外を問わず業者がもっとも嫌がるのが、アービトラージによる利益の取得です。
アートとラージとは、日本語では裁定取引と呼ばれるもので、プロの世界でも実際に利益獲得取引法として利用されているものです。
本来は、一物一価のはずなのですが、一時的な歪みで価格差がでたときに、
・割高なほうを売り
・割安なほうを買い
両方に価格差が縮小したときに、それぞれの反対売買を行うことで利益を獲得するという手法です。
FX取引の場合は、殆どが相対契約に基づいて業者が提示する価格で売買しますから、カバー先のインターバンクからの提示価格や、スプレッドの違いなどで微妙に業者間で差が生じることがあるのです。
しかし現実には、相当細かい差になりますから、かなり大口の売買をしないと利益が出ませんし、片方だけハイレバレッジでは話にならず、ほぼ同じようなハイレバレッジの口座を利用することが必要になるなど、実際にアービトラージで利益をとるのはなかなか難しいのが実情です。
しかし実際にできる手法でもあるため、FX業者は国内外を問わずこの手の取引を非常に嫌がる傾向があります。
アービトラージ禁止に関しては、XMも例外ではないということでしょう。
⑥経済指標時の両建てもやんわり控えるように言われる
経済指標などの発表時に、あらかじめ買いも売りも入れて待ち構えるというのも、どうもXMではあまりよろしくない売買法と考えているようで、完全に禁止とはしていないようですが、できるだけ控えるように顧客にはアドバイスしているようです。
たとえば、ロングのポジションをもっているときに、一時的に反対売買もして両建てにすることで、経済指標の結果を乗り切るといったやり方は特段問題ないです。
しかし、わざわざ経済指標の発表にあわせて、「買いも売りもポジションを作って待つ」というのは禁止にはできないものの、かなり好ましくないやり方であると思っていることは間違いなさそうです。
そもそも、スプレッドが広がると、ストップなどを入れておいても結局儲からないことになりますから、そもそも邪道としか言いようがありません。
今のところ両建てで、明らかに禁止としている内容はこのようなものになりますが、公表はしていないもののイレギュラーな取引に両建てを積極的に使うことになりますと、担当部門が常にチェックをしていることから、不正とみなされた場合には、最悪口座凍結などの措置を受けるリスクがあります。
ですので、相当注意が必要になりますし、日頃から挙動不審と見られないような公明正大な取引姿勢が求められます。
とにかく、普通の取引をしていれば特別の問題になることはありませんが、XMが提供するゼロカットシステムやボーナス、ポイントシステムなどを悪用するようなことがあると、容赦なく罰則規定が適用され口座凍結に陥ることは認識しておくべきです。
■それなら両建ては何に使ったらいいのか?
ここまで両建ての禁止事項を書き並べますと、実際に何に利用することが許されるのかかなり怖くなりますが、通常の取引の中で反対売買が必要になるときに利用しても、XMからお咎めを受けることはありません。
ここでは、2つの両建て利用例についてご紹介しておくことにします。
①トレンド発生中の一時的な相場下落に使ってみる
トレンドが明確に表れ上昇している相場に、ロングポジションを保有している際、一時的に相場が下押しする時間帯というのはよくあるものです。
そんなときにあえてロングをリカクせず、そのまま保有する代わりに、下落時間帯だけ両建てで売りポジションをもって下落分の利益を得るといったときには、この両建ては非常にうまく機能することになります。
とくにXMの両建ては、証拠金コストがまったくかからず、負担するのはスプレッドと日を跨いだ時のスワップ分だけになりますから、とても使いやすいことになります。
この場合は、下落が終わったらそこでリカクすれば、下落分の利益を上乗せすることができますし、逆に同値で撤退するようにしておけば、ロングの下落時の損失をすべて免れヘッジとして機能することになるのです。
これは多くの個人投資家が、両建ての効率的利用として日常的に行っていることで、さすがにこうした利用についてはXMから何かを言われることはまったくありません。
ロングも下がり始めたら、さっさとリカクしてしまうとうい方法はもちろんありますが、安い価格でもっているポジションというのは精神的にもまた物理的な価格面でもプラスに働くことが多いので、とくに明確なトレンド相場の最終には、そのまま保有する方法のひとつとしてこうした両建ての使い方をすることがあるのです。
②損失を確定させるための両建て
もう一つ典型的な手法としてあるのが、損切をしないで損失を確定させるための両建てです。
どうせ損なのだから、さっさと切ればと思われる方も多いと思いますが、実は両建ての反対売買による損失確定ですと損切と違って証拠金が減ることはないのです。
とくにXMの場合両建てを利用して、往復のポジションをもつと証拠金コストが、まったくかからなくなるという大きなメリットがあります。
国内業者ですと、ほんの一部しかこの方式をとっておらず、少なくとも一方向の証拠金をとられたり、ひどい場合ですと往復二倍の証拠金をとられることもあるのですが、これでは両建て損失確定の意味はありません。
XMの両建てを使って反対売買をしますと、あくまで損失が確定されますが損切により証拠金が減少することはありません。
たとえば、ドル円1万通貨を113円でロングしていて、50銭想定下方向よりも下落して含み損が出ればここで損切すると、5000円の損失で証拠金がそのまま減ってしまいます。
しかし両建ての反対売買にしておけば、損失は5000円で確定するものの、証拠金は当初のままのフルの金額を利用できるので、そこからまた売買をすることで、少しずつ利益を積みあげ5000円以上稼げたところで、一斉にリカクしてあげればまったく証拠金を減らすことなく損失をカバーすることができるようになるのです。
5000円程度であればそもそも大した金額ではありませんが、これがもっと大きな損失の場合は、このやり方で少しずつ損失減らしをすることで完全にもとの状態に戻すことも可能になるのです。
証拠金をまるまる減らさずにそのまま使うことで、再度売買にチャレンジすることができるというのは大きな魅力です。
これは自分の証拠金を、かなり有意義に使う方法として役立つものといえます。
しかもこのやり方ですと、10分以上ポジションをもっていれば、損失確定に使ったロングとショートのポジ両方にXMポイントが付与されますから、ドル円の1万通貨ならロング分で175円、ショート分で175円の総計375円のボーナスまで獲得することができるのです。
このボーナス獲得法はまったく違法でも何でもなく、XMでも認められているやり方になりますので、問題なくポイントを得ることが可能です。
この場合よくあるのが、相場が戻ったので両建ての一方を外してしまうことですが、よほどうまくトレードができれば両建てを外すことで利益をもとに戻すこともできるのですが、大体失敗することが多く、むしろ価格が戻しても損失確定したポジションのことは一旦忘れて、別のポジションで利益を補うことで、マイナスを払拭したほうが結局すっきりとうまく損失を解消できることになるのです。
両建てを使う場合、とにかく取引を複雑にしかねないリスクがありますから、一旦損失を作ったポジションの価格のことは忘れて、新たに利益を上げるほうに専念することがお勧めとなります。
■まとめとして
両建ては、そもそもXMサイドが設定している取引サービスの形態ですから、利用すること自体はなんら問題のないものといえます。
しかし、ここまで御覧いただいてもお判りの通り、理不尽な使い方や海外FX業者の想定外の利用法で、無理やり利益を獲得するようなことに非常に業者側が神経質になっていることがわかります。
XMは、日本人投資家のみならず、アジア圏のかなり広範な個人投資家をターゲットにしていますから、ここでご紹介した内容は必ずしも本邦の投資家を想定した禁止事項ではなく、より広範なビジネスエリアで適用されているルートと言えますが、業者側の監視の視点というものはおぼろげながらご理解いただけるものと思います。
よく海外FX業者の入金ボーナスだけを利用して、最初から両建て設定で稼ぐといった手法が紹介されることがありますが、やはり最初からどちらの方向に動くかわからないから両建てから取引を始めるというのは、どうも業者としては決して快く思っていないようで、XMも例外ではありません。
両建ての機能は、ここ一番というときにトレーダーの危機とチャンスを活かすために使っていきたいものです。
すいませんXM両建てについて質問ですが、別々の口座でスタンダードでEAを運用したいのですが、2つどちらもスタンダード口座でも、XMで凍結されてしまうのでしょうか
コメントありがとうございます。
EAの場合は、普通の両建てとは異なりますのでなかなか微妙だと思います。
通常国内業者のループイフダンでも、YJ!FXは売り買い両方できますが、一つだけポジションが持てるだけで、他のループイフダンは買うか売るどちらかで対応するものですから、今のような激しいボラティリティをともなったレンジ相場のようなときには、売りのEAと買いのEAを両方起動させたいと思うのも理解できる状況です。
ただ、できることならば同じ通貨ペアで動きの異なるEAを、一つの業者で稼働させるのは避けたほうがいいのではないかと思います。
とにかく業者から誤解をもってチェックされる存在にならないことが重要ではないでしょうか。