海外FX業者を利用したことがないFX個人投資家にとっては、海外FX業者が果たして安全な取引のできる存在なのか、はたまた付き合わないほうがいいのかの判断をするのは非常に難しいものがあるといえます。
ネット上のブログなどでは大いに利用すべきと推奨する人もいれば、やめておいたほうがいいと忠告する人もいて、海外FXに対する反応は実に様々です。
さらに国内の金融庁からは、危ない海外FX業者名がホームページ上で一覧として公表されたりしており、さらに不安は募るばかりとなります。
このいわゆる国内無登録業者問題というのは、どこまで深刻なものなのか、またどのように理解すればいいのかについてまとめてみました。
もくじ
■国内に法人を開設するFX業者は金融庁の許認可を得る必要あり
まず国内で店頭FX業者として拠点があって、営業活動をして、顧客を獲得しビジネスを行うためには金融庁の許認可を得る必要があります。
これは単純に登録申請をし、審査を受けて営業の認可を受けるという行為で、金融庁が示すガイドラインに沿った内容であることが必須となります。
たとえば業者の財務の健全性を示す自己資本規制比率は、最低120%以上を維持することが義務付けられていますし、個人投資家の投資資金をしっかりと分けて管理するために信託保全も義務化されるなど、一定の要件をしっかりと満たした業者だけが国内での事業を許されることになるのです。
■金融庁は個人投資家への徴税から国内業者利用を推奨
金融庁が国内で許認可を出した登録法人業者を個人投資家に勧めるのには、こうした一定要件を満たした安全性を消費者保護のために確保することが狙いにはなっていますが、さらに国内業者を利用させることで個人投資家の投資利益というものを全数完全に掌握し、徴税の面で取りこぼしのないようにしたいという全く別の目的も介在しています。
海外の業者で取引をして、さらに国内にその利益を戻さないということになってしまいますと、徴税の視点では非常に問題になることから、すべて国内業者の枠組みの中で個人投資家に取引させたいというのが国内金融当局の大きな狙いでもあるのです。
したがってこうした状況下では海外FX業者はとにかく目の敵にされやすく、あらゆる面で国内業者よりも不利な扱いを受けることになっています。
■税制上も海外業者には優遇がない
国内のFX業者で取引した場合、利益がほかの雑所得を含めて20万円以上生じた場合には税金を支払うことが必要になりますが、国内FX業者を通しての売買はいわゆる申告分離課税が適用され、ほかの所得がいくらあっても一律20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税率が適用されます。
また損失がでた場合には確定申告時に申請することで向こう3年間の損失先延ばしもできるようになっていますが、海外FXで利益がでた場合には同じ雑所得でもすべて総合課税でほかの収入と合算してカウントされますので、もともと収入の多い人にとっては非常に厳しい税率になってしまうのです。
またサラリーマンの兼業トレーダーにとっても累進課税でその税率は厳しくなります。
■国内無登録業者は金融庁が勧告
また国内で登録していない中にあって、個人投資家の口座を獲得して相対取引を行っている海外FX業者は、ほぼ一律に金融庁が危ない業者として勧告をするとともに、その名称が一覧で金融庁のホームページ上で確認できます。
たしかに海外の国では単に登録しただけの業者というのも多く、信託保全すら実施できていないところが含まれているのは事実ですが、須らく危ない業者になってしまっている点は多少気になるところです。
■海外のFX業者を使うことは即違法行為ではない
米国では米国民は海外のFX業者で取引ができない法律があり、とにかくFXができるのは国内にエンティティのある業者だけとなっていますが、日本にはそうした法律は明確には存在せず、海外FX業者を利用することは即違法ではありません。
ただ、日本とオーストラリアの金融当局間では互いに協定を結び、オーストラリアのFX業者が日本人個人投資家を勧誘して口座開設し、取引をしないという取り決めをかわしたことから数年前まで日本人の個人投資家をターゲットしてプロモーションを行ってきた業者はいなくなりました。
逆に日本の個人投資家をターゲットにしているのはそうした取り決めのないニュージーランドの業者が多くなっておりますが、こちらも特段違法とは言えない状況です。
海外業者=いかがわしくて不安=違法という印象が巧みに操作されている感もありますが、すべての業者が危ないわけでもありませんし、違法というわけではないことだけはしっかり認識しておくべきでしょう。
日本に法人を開設しない業者は日本で事業税を支払う必要がなく、日本の金融当局の世界的にももっとも厳しい規制の制限を受けないことから、ネット取引を利用して、あえて日本に法人を開かないビジネスモデルを展開していることがご理解いただけると思います。
■欧州、英国等で金融当局の認可を得ている業者は安心
海外FX業者の中には欧州での顧客を対象にしたところも多く存在しており、UK(英国)の金融当局(FCA)からライセンスを取得し、信託保全もその要件を満たしているところも多く存在します。
日本でも人気の海外FX業者のXMも、そうした安心できる業者のひとつですが、最近ではEU内での対顧客プロモーションの条件が日本並に厳しくなったことから、あえてキプロスからセーシェルに拠点を移し、日本人投資家にはボーナスを継続して提供するためにセーシェルへの口座移動を勧めるといったことが2017年末に行われています。
セーシェルといいますと危ない業者が多い印象もありますが、国の規制が厳しくないということからあえて本拠地をこうしたところに移動させるケースも出ているのです。
■問題はどこにも登録されていない単なる呑み業者
ただし、海外FX業者にはどこの国の監督官庁にも登録されていない単なる呑み業者のような存在もあることには注意が必要です。
個人投資家のFX取引は、初心者の場合一定の資金を証拠金として取引しはじめても、ほぼ9割近くが取引開始後から6か月以内にほとんどの証拠金を失って退場していくという状況が残念ながらその実態となっていますので、まともなカバー先などを一切用意せず、高額のボーナスを支給しても個人投資家がすべての資金を使い果たすまで待っていれば丸々儲けになるという呑み業者といわれる存在が混じっていることも確かです。
こうした業者の場合レバレッジが高いほど証拠金の消耗率が高くなりますから、積極的にハイレバレッジを訴求してくるケースがあり、注意が必要となります。
1000倍以上のハイレバレッジを提供する業者については一応そのバックグラウンドなどを確認してから取引すべき状況といえます。
また呑み業者は基本的に投資家に資金を使わせてそれが枯渇するのをビジネスモデルとしていますから、儲かる投資家がでてきて頻繁に出金をされるのがもっとも迷惑な存在です。
したがってこうした業者の場合には必ず出金時にうまく出金できないなどのトラブルが発生しています。
ネットでもこうした出金トラブルのある業者は簡単に検索できますので、こうしたことをチェックしてみるのも有効です。
まとめ
海外FX業者でも国内の金融庁には無登録状態と聞きますと確かに不安が募ることになりますが、国内無登録の海外業者がすべて危ないわけではありません。
また金融庁の規制を受けていないからこそハイレバレッジを提供することができますし、国内景表法の規制を受けないことから多額のボーナスクレジットが支給されていることもまた事実であること認識しておく必要があります。
国内登録されていない海外FX業者を利用するメリットは、かなり大きいものがあるのです。
その一方で、本当に危ない業者も確かに紛れていますので、実際の利用者の評判なども常にチェックしておくことが肝要です。