海外FXで実際に取引をしていますと、MT4やMT5は、国内業者が提供してくれる売買ツールと同じように使えますし、すっかり海外のサーバーとやり取りをして売買していることを忘れてしまいがちです。
実は個別の売買注文や約定注文は、すべて海外のサーバーにアクセスして得た情報をもとに、構築されるチャートを見ながら売買することになるわけですから、利用している場所とサーバー設置国、その場所との絶対距離は確実に取引に影響を与えることになります。
もくじ
■海外FXのサーバーの距離
たとえば、国内の個人投資家がもっとも多く利用しているXMでいいますと、現在XMで日本人投資家が取引できるのはセーシェルを本拠地とするアカウントになりますが、実際のサーバーが設置されているのは英国ロンドン・シティのデータセンターにおかれたものとやり取りをすることになります。
東京から飛行機を利用した距離を考えても9600キロほどで、実際にはそれをはるかに超える距離での通信で行き交うことになるのです。
地球の一週の距離が、約4万キロですから、毎回その4分の1の距離でやり取りすることになりますから、正直なところ国内に頑強なサーバーを設置している店頭FX業者での取引と比較してみても、取引のパフォーマンスに関してはなかなか互角に勝負ができるとは必ずしもいえないことがわかります。
話はFXから外れますが、クラウドのITサービスを提供する会社は、アマゾンAWSやマイクロソフト、オラクル、IBM、Salesforce.comなど様々な企業が存在します。
クラウドサービス提供当初は、米国のサーバーに接続するといったところからはじめたこうしたサービスも、データの国外持ち出しの問題に加えて、データセンターの設置場所によるパフォーマンスイシューを解決するため、現在ではほとんどが利用者のいる国内にデータセンターを設置する方向になっています。
それぐらい、こうしたクラウドサービスというのはサーバーの設置場所が重要な問題になっているのです。
またアマゾンやグーグルなどは、自社のサービス向けに太平洋や大西洋などを横断する独自の光ファイバー海底ケーブルを設置することで、自社サービスへのアクセス速度を下げないという非常に高額な投資まで行っているのが現実なのです。
ですから、海外のクラウドサービスを利用してみて、いまやグローバルなインターネットはなんの問題もなく利用できると考えるのは大きな間違いで、少なくとも海外FXの利用環境ではちょっと違っているということに気づく必要があります。
したがって海外FXを利用する場合でも、ユーザー側がとにかく最適な売買ができるように、通常以上に自助努力を行うことは絶対必要不可欠であることをまず理解しておくことが重要なのです。
■安定したブロードバンドを利用するのは必須
国内でインターネットが接続できるようになってから、かれこれ25年近い時間が経過しようとしていますが、当初はホームページを見るだけでも精一杯で、動画をPCやスマホのようなデバイスで見られるようになったのは、やはりここ10年のブロードバンドの普及とデバイスの処理速度の速さが大きな要因になっていることは間違いありません。
今では、ほとんどの家庭でもブロードバンド加入によるインターネット接続が当たり前になっていますが、やはり速度の速い回線を利用した場合の海外FXトレードは、遅い回線よりも確実に売買情報のやり取りに有利になるということができます。
スマホで、公衆のWifiなどを使って専用アプリで取引しても取引ができないわけではありませんが、やはり海外FX業者を利用するときにはできるかぎりリスクを排除していくという姿勢が必要になります。
■ルーターやWifiなどでパフォーマンスを落としていないかチェック
ただ、一つ気をつけなくてはならないのが、家庭内でネットに接続するときに、間に登場する接続機器のパフォーマンスの問題になります。
光ファイバーによる高速通信が可能な回線契約をしていても、家の中でWifiを利用してその回線に接続するといった場合には、せっかく高速回線につないでいても、もともと提供されるパフォーマンスが100%発揮されないといった問題も起きることになるのです。
やはり高速インターネットを阻害しない補器類を、しっかり選んで利用することが、きわめて重要になることは言うまでもありません。
この問題は、意外に見過ごされていることが多いものです。
また集合住宅であらかじめインターネット回線が引き込まれている場合にも、パフォーマンス性能の問題が発生することが多くなりますので、取引するにあたってはしっかりそのあたりの情報を確認することが大切です。
■接続機器はやはり一定レベル以上のハイエンドなPCが一番
最近では、国内のFX投資家の多くがスマホからアクセスして取引をするケースが多くなっており、実はすでにPCからアクセスする人数をはるかに上回っているという驚くべき結果も発表されています。
このFX売買用モバイルアプリは、もともとモバイルデバイス上で動くように開発されていますので、アプリのサイズにも一定の制限があり、MT4用のアプリもEAが動かせないなどの制約がある代わりに、データを多く保有せずに簡便に動くように設計されているものです。
スマホやタブレットなどでアクセスすることは可能ですが、やはりパフォーマンスのことを考えますと、国内業者と同じようにはいかないことだけはしっかり認識しておく必要があります。
また、もともとのPC用に開発されたMT4と言うのは相当なデータをキャッシュでとりこんで利用することになりますから、長時間に渡ってソフトを立ち上げて取引をしていますとかなりメモリを喰うことになり、PC自体のパフォーマンスを想像以上に低下させる大きな原因となることも考えられます。
とくに、1台のPCでいくつものMT4を立ち上げたり、国内業者が提供する取引ソフトも併用したりして、ネット接続しながら複数の液晶画面を使って売買するようなケースでは、PCにかなりの負担になることは間違いなく、エントリーユーザー向けのPC一台で、それをすべてこなすのはかなり難しいものとなるのは言うまでもありません。
FXの取引きのために、そこまで気を遣うのかと驚かれる方も多いかも知れませんが、実は海外FXを利用して国内とほぼ同じような取引き環境で売買しようと思う場合には、そこまでこだわる必要があるのです。
■PCコアエンジンの処理速度よりもメモリ量のほうが重要
実際にPCベースで取引をする場合、相当な処理速度を持ったエンジンを搭載したハイエンドのモデルもありますが、取引きをしてみますとむしろ気になるのはメモリを、いかに多く実装することができるかのほうが重要であることがわかります。
最近のモデルでいえば、16GB程度のメモリは実装していることが間違いないですし、仮想メモリもできるだけ大きく設定してより多くのデータをキャッシュで取り込んでも、取引に支障がないPCモデルを利用することがお勧めとなります。
MT4と言うのは、我々が普段想像している以上にメモリを喰うソフトであり、これをひとつの業者での取引でも通貨ペアごとなどに複数稼働させるといったことは、PCに驚くほど負担をかけていることを忘れてはなりません。
巷では、ゲームPCというゲームのために特別なエンジンや、GPUなどを実装したハイエンドモデルが販売されていますが、厳密に言えば海外業者を利用したMT4取引きも、それと同じぐらい気を使ったスペックを持ったデバイスを利用することが、本来は大きなメリットがあるものだという点は理解しておく必要があります。
■1台のPC上でネット接続する余分な行為を並行利用しない
最近のPCは、マルチメディアといわれるだけのことはあって、MT4を見ながらSpotifyで音楽を聴いたり相場が動かないときはアマゾンプライムで映画を見る、あるいは時間のあるときにワードやパワーポイントを使って書類を作ることは、ごく簡単に利用できるようになっています。
しかし、こうしたアプリケーションのほとんどがネットを利用するものである場合には、やはり厳密にいいますとメモリを余分に食う大きな原因となりますから、FXのネット接続に影響を与えることがあることは間違いありません。
少なくとも海外FXで取引するデバイスについては、余分なソフトやアプリをできるだけ使わずにMT4専用化できると間違いのない取引が可能になるといえるのです。
利用するPCに余分な負荷をかけすぎないというのは、常に必要な心遣いとなるのです。
■定期的にレジストリクリーナーで余分なキャッシュファイルは消す
セキュリティソフトなどにはレジストリクリーナーが実装されていることも多くなっていますが、長時間PCを稼働させて余分なキャッシュデータを取り込んでしまっている場合、こうしたソフトを稼働させて定期的に削除するといったケアも重要になります。
また土日など使わない時には、定期的に再起動してMT4に蓄積された余分なキャッシュを取り除くことも考えてあげる必要があります。
■XMなら海外業者が用意するVPSを利用してみる
XMユーザーならば、考えてみてもいいのはXM自体が提供してくれるVPSを利用してみるということです。
XMによれば、ロンドンに位置するデータセンターからわずか1.5km先に光ファイバーで接続されたバーチャル プライベート サーバー(VPS)にリモートアクセスすることが可能で、クライアントPCのパフォーマンスのことなどはほとんど気にせずに、シンクライアントPC的にアクセスしてデータを見るという行為で取引が可能になるのです。
XMでは、最低金額5000ドル以上、またはそれに相当する額を口座で維持し、1か月に最低でも5ラウンドターンロット 以上の取引を行えば、会員エリアからいつでも無料で VPSサービスを利用することが可能になるのです。
仮にこの条件を満たさなくても、会員ページからXM VPSを申し込めば、毎月第一営業日に MT4/MT5口座から28ドルを支払って利用が可能になるのです。
XMのサーバーから至近距離にあるVPSですから、取引パフォーマンスは抜群によくなりますし、EAを使った自動売買やコピートレードを利用することも可能になります。
ただし、依然としてVPSサーバーから9600キロ以上放れた日本で売買することになりますから、完璧なブロードバンドは必要になることは言うまでもありません。
■本来的なサーバーの約定力の遅さはクライアントPCサイドでは解決不能
ここまで書いて、最後の記すのは心苦しい話しではありますが、クライアントPCサイドで回線、デバイスなど最適化をはかった場合には、MT4のチャートの表示が遅延するといったような問題は相当解決がつくはずですが、唯一問題として解決しないのは業者自身が提供する約定力の問題です。
同一のPCを利用して、今どき1000倍近いレバレッジ提供してくれるXMやGEMFORX、FBSなどで実際に取引をしてみますと、業者ごとにかなり本質的な約定力が異なることがわかります。
もともと約定力の遅い業者の場合には、いくらネットワーク環境やデバイス環境を最良のものにしたとしても、その遅さを改善することは残念ながらできません。
あくまで、距離に伴う問題の一部をなんとか解決することができる、ということに留まるということもあらかじめ覚えておく必要があります。
約定力の違いを体感するには、同一のPCの接続環境で異なる業者を比較利用してみると一目瞭然となります。
国内業者から乗り換えますと、少なからずその取引きスピードや、チャートの構築までの時間に違和感を覚えるのが海外業者のサーバーです。
しかし、いまや国内では絶対に利用できないハイレバレッジを使って売買するためには、できることはなんてもやってみるという姿勢が大事になります。
実際ここで書いたことは、私自身が本当にすべてやってみた結果です。
海外FX業者が提供するハイレバレッジな取引条件は、今や非常に稀少で魅力的なものと言えますが、それを最大限に有効利用していくためには、少しでも良好な環境で取引ができるように、ユーザー側もたゆまぬ努力が必要となることだけはよく理解していただきたいと思います。