海外FXには国内FXにはない魅力がたくさんありますが、海外FX業者を選択する際にスプレッドと並んで重視しておきたいので約定力・約定スピードです。
約定力とは、FXトレーダーが注文した売買価格に沿って約定できる力のことで、その執行する速さのことを約定スピードと表します。
30秒でわかる約定力まとめ
約定力は業者のサーバーの容量、設置場所からの距離、業者が利用しているカバー先とその数にかなり依存する話。
海外業者のほうが約定力が高いという話は、利用者ごとに違う可能性もある。
ロンドンにあるサーバーの隣と、6000キロ離れた日本とで約定力が全く同じにはならない。
ただ国内の場合、故意にスリップさせたりスプレッドを広げたりという調整を行う業者も多く、それにくらべればかなり海外業者は透明性は高い。
というわけで、それぞれ詳しく見ていきましょう。
もくじ
■約定力はサーバーのシステム処理能力の違いが大きい
ひと昔前までは、利用者の位置とサーバーの位置が離れていると約定がかなり遅くなったり、スリップしやすいなどという話がまことしやかに言われていました。
ブロードバンドが発達した今では、世界のどこにサーバーが設置されていても、そのサーバー自体の処理能力が高ければ確実に約定するようになってきているのです。
国内でも銀行系や利用者の多い店頭FX業者では、非常に強力がサーバーを設置していますので、約定力では信頼のおけるところが多くなっていますが、果たして海外の業者の場合、どこまでこのあたりの信頼性があるのかが気になるところです。
■約定力は利益に直結する
約定力・約定スピードは各FX会社のシステムによって異なるのですが、約定力が低い場合、実際に注文した価格と約定値の間に誤差が生じるスリッページや希望する売買注文自体が成立しない現象のリクオート(約定拒否)が起こる場合もあります。
逆に約定力が高ければ高いほどスリッページの発生率は低くなるので、希望する注文価格でFX取引が成立する可能性が高くなるわけです。
特にスキャルピングなどの短期売買をメインに取引するFXトレーダーにとっては、わずかな約定の遅れが致命的な損失に繋がるケースがあり、約定力の高さは利益に直結するクリティカルな問題となります。
いくらスプレッドの狭い口座でFX取引をしたとしても、肝心の約定価格が滑ってしまったり約定しないとなると利益機会は大きく失われることになるのです。
FXトレードの勝率を上げ、損失リスクを軽減するには、高い約定力を誇るFXブローカーで取引することが重要で、海外FX業者にも同様の要件が求められることになるのです。
■業者が採用しているDD方式とNDD方式で約定力が違う
FX業者の相対取引から先の売買対応方法には、大きくわけて現在2つのタイプが存在しています。
ひとつはDD(ディーリングデスク)方式と呼ばれるもので、FX業者社内にディーリングデスクと呼ばれる売買部門を設置して、顧客同士の売買での相殺を超えた部分については、業者自体がこのディーリングデスクにおいて反対売買を行うというやり方です。
実はこうしたDD方式を採用しているのは、世界広しといえどもほぼ日本だけという特殊な状況になっています。
一方、社内での反対売買を一切廃し、外部のインターバンクなどのカバー先8社から10社程度が提示する金額の中から最適なものをアルゴリズムを使って選び出し、それに手数料を乗せて売買していくというやり方がNDD(ノンディーリングデスク)方式と呼ばれるものです。
その名の通り社内には一切デスクをおかないわけですから、顧客との利益相反がまったく起こらないのが大きな特徴となります。
厳密にはNDD方式にもさらに2つのやり方が存在しますが、社内で反対売買を行わないという点ではどちらも同じものとなります。
まずECN方式は、NDD方式の中でも完全にアルゴリズムを利用して自動化してカバー先はインターバンクに直結し、そのなかから最適なものを見つけて外部に発注をし、マージン部分をオントップにして顧客に請求するタイプとなります。
またSTP方式は、外部のカバー先につなぐのは同じですが、ブローカーに出しているだけですので、その先インターバンクとどのようにカバーが行われているのかは明かされていない状況です。
したがって顧客の利益を守るという点ではNDDの中でもECNを採用している業者が確実で、しかも電磁的にカバー先を探していますので約定力も非常に速いのが特徴といえるのです。
実は海外のFX業者はほぼすべてがNDD方式をとっており、顧客と業者との利益相反といったものはまったく起こらない仕組みが確立しています。
それにも係わらず、国内では依然としてDD方式の業者が大勢を占めており、NDD方式をとっている業者はほんの一握りの状況が続いているのです。
なぜこうした違いが国内市場だけ蔓延しているのかといえば、そこにあるのは原則固定とされている狭いスプレッドの提供が大きな原因になっていることは間違いありません。
方式の違いで約定力には圧倒的な差も
DD方式を採用している国内業者の約定力は、海外業者に比べて平均的に劣っているのが現状です。
実際、大手ブローカー数社の平均約定率を比較すると、国内FX業者は約85%ですが、海外FX業者は約99.5%という圧倒的に優れた数値を叩き出しています。
『FXプライムbyGMO』『マネーパートナーズFX』『DMM FX』『外為ジャパン』などを含めてほとんどの国内FX口座は、顧客との取引方法に「DD方式(OTC方式)」を採用しています。
これはトレーダーとの間に業者のデスクが介入する方式なので、業者やディーラーの思惑ひとつで不利なスリッページやストップ狩りといった現象が起こる可能性があります。
国内FXはデスクが反対売買を行うわけですから、投資家が損すれば損するほどFX会社が儲かるという仕組みもあり、FX投資における透明性や信頼性は海外FXよりも低い評価となっているのが現実ですし、呑みを行っているのではといった疑問も持たれていますが、彼らも一定のカバー先はもっており、現状のやり方は一応金融庁からも認可を得ている合法的なものとされています。
■海外FX業者はNDD方式で高い約定力とフェアな取引環境を提供
DD方式が主流の国内FX業者とは違い、海外FX業者の取引方法は「NDD方式(ノンディーリングデスク)」がスタンダードです。
数多くの日本人トレーダーが取引先としてFX口座開設する『Titan FX』『AXIORY』『Big Boss Financial』『FBS』『MGK GLOBAL』などのメジャー系だけでなく、ほとんどの海外ブローカーがこのNDD方式を導入しています。
まずスピードは約定するまでの時間、そして約定率は成り行きでも、オーダーを出した場合に確実に約定するかどうかの比率で100%が望ましい状況です。
99%台はほとんど差が感じられませんが、それを下回りはじめますと体感的に約定力がないことがわかります。
◆海外FX業者の平均約定スピード(約定速度)ランキング
主な海外FX業者の約定力を徹底調査して比較しました。
平均約定スピードと注文執行率を比較してランキング形式で紹介するので、ぜひ海外FXで新規口座開設する際の参考にしてください。
【第1位:0.03秒】
『MiltonMarkets(ミルトンマーケッツ)』
【第2位:0.035秒】
【第3位:0.098秒】
『BigBossFinancial(ビッグボスフィナンシャル)』
【第4位:0.276秒】
【第5位:0.3秒】
【第6位:0.302秒】
【第7位:0.308秒】
【第8位:0.336秒】
【第9位:0.338秒】
【第10位:0.341秒】
【第11位:0.365秒】
『FXGLOBE(エフエックスグローブ)』
【第12位:0.379秒】
『FxPro(エフエックスプロ)』
【第13位:0.398秒】
『ACEFOREX(エースフォレックス)』
【第14位:0.399秒】
『IFCMarkets(アイエフシーマーケッツ)』
【第15位:0.78秒】
『GEMFOREX(ゲムフォレックス)』
(※約定スピードは常に同じ状態ではなく流動的です。リアルタイムの数値情報を知りたい場合は公式サイトなどで確認してください。)
◆海外FX業者の注文執行率(オーダー執行率)比較ランキング
【第1位:99.98%】
【第2位:99.92%】
【第3位:99.84%】
【第4位:99.79%】
『GEMFOREX(ゲムフォレックス)』
【第5位:99.22%】
『FXGLOBE(エフエックスグローブ)』
【第6位:99.21%】
『ACEFOREX(エースフォレックス)』
【第7位:98.62%】
『iFOREX(アイフォレックス)』
【第8位:98.22%】
『LAND-FX(ランドFX)』
【第9位:97.95%】
『IFCMarkets(アイエフシーマーケッツ)』
【第10位:95.0%】
『FBS(エフビーエス)』
『BigBossFinancial(ビッグボス フィナンシャル)』
【第12位:92.1%】
『FxPro(エフエックスプロ)』
【第13位:91.9%】
『Traderstrust(トレーダーズトラスト)』
【第14位:91.3%】
『FXDD(エフエックスディーディー)』
(※注文執行率は流動的です。リアルタイムの数値情報を知りたい場合は公式サイトなどで確認してください。)
実際の約定力の差は同じMT4を使っていても、同様の環境で二つ以上の異なる業者で同じ通貨ペアを売買してみますと、その差が歴然と現れることになります。
またEAを使った一括の決済ソフトなどを利用してみますと、約定力の高い業者のサーバーではアッという間に決済されますが、遅い業者のサーバーでは順次決済されるので非常に遅くなるケースが見られます。
このように数値だけでなく実際に売買してみますと、かなりの初心者であっても約定力があるのかないのかはすぐに認識できるようになります。
■VPSサーバー利用でさらなる高速約定取引を実現
NDD方式の海外FX業者での取引きにおいてさらに約定力・約定スピードを高めて有利なFX取引を展開するには、トレーダー自身の取引環境(サーバー環境)を整備することもその早道となります。
そこでオススメなのが、海外FX業者が提供するVPSサーバー(仮想専用サーバー)です。
海外FX業者のVPSサーバーを利用することで、通信速度は大幅にアップします。
注文処理も早くなり、理想的な高速約定環境を手に入れることができます。
特にスキャルパーの方や、EA(FX自動売買システム)で取引している方にとっては、わずかの約定力の差が結果的に大きく利益の差に跳ね返ってくるので、VPSサーバーを積極的に活用することも重要になります。
ただし、このVPSサーバーは基本的に自己管理となりますから、たとえばウインドウズをインストールしても定期的なメンテナンスの時間設定をうっかりウイークデーなどにしてしまいますと、取引の最中にリスタートになるなどとんでもないことが起きるリスクもあります。
ここからはFXに精通しているよりも、ITに精通していることを求められることになりますので、それだけの覚悟があり、しかも知見も備えている方だけがチャレンジされることをお勧めします。
■デモ口座とリアル口座のスリッページは大きく異なる
海外FX口座での取引が初心者の方は、まずFXデモ口座を利用してトレード経験を積むのがベストですが、デモ口座と実際のリアル口座ではすべてが同じトレード環境、トレード結果になるわけではありません。
その代表的なひとつとして挙げられるのが、スリッページです。
ほとんどの海外FX業者がリアル口座と同じ為替レートで取引できるデモ口座を用意していますが、リアルタイムで市場データと接続していない(正確な数値が反映されていない)ケースもあり、スリッページに関してはリアル口座の方がデモ口座よりも大きいことがほとんどです。
デモ口座は、カバー先になにも取引を打診しませんから、スピードが速いのは当たり前で、これだけから約定力があると判断するのは危険です。
■まとめとして
海外FX業者を利用するなら、できるだけ約定力のあるところに口座を開くことが重要です。
またNDD方式の中でも、ECNを利用しているところは確実に約定時間が早くなる点は覚えておいて損のないことといえます。
海外FX業者は全体として高いパフォーマンスが得られますが、中でもさらにレベルの高いところを選択するのが大きなポイントといえそうです。