
海外のFX口座で取引したとしても、日本の居住者である限りは日本で課税されるのがルールです。
申告して税金を支払う必要があれば納税する、この義務を怠ると脱税として重加算税を適用になることもありますし、最悪の場合刑事処罰の対象にもなりかねない状況です。
「海外FXなら申告しなくてもバレない」と考えて、海外FX会社を選択するトレーダーもまだいるようですが、脱税は犯罪行為です。
また金融庁も税務当局も、本邦の個人投資家が海外で投資活動を行いその利益をどのように扱っているのかについては、我々が想像している以上に随所から情報を集めて目を光らせていますので、簡単に税逃れができるような状況ではありません。
そこで今回は、脱税になる可能性や脱税が発覚した際のペナルティ、監視を強化する税務署、巷で噂になっている脱税の裏技、海外口座の情報、過去のFX脱税事例など、海外FXの脱税に関する話題を徹底解説していきます。
もくじ
■確定申告を怠ると脱税の対象になる可能性大
海外FXの取引で得た利益は課税対象となり、雑所得(総合課税)として納税義務が発生します。
確定申告する際の利益額とは、FXトレードで1年間に得た利益から経費等を差し引いた額。
これが最終的な課税対象額となり、それに対して税金が発生するわけです。
ちなみに、国内FXは申告分離課税で税率は一律20%ですが、海外FXの場合は利益額が多くなれば税率も高くなる累進課税となりますので、通常の収入が高い場合には非常にレートの高い税率が適用になるのです。
確定申告をする必要があるのに申告を怠ったり、不正行為を働いて虚偽申告をした場合は脱税の対象となり、多額の追徴課税が発生したり、最悪のケースとしては刑事告発されて逮捕・起訴される可能性があります。
「海外のFX業者は日本の金融庁の管轄外なので国税局にバレない」
「少額の利益なら税務署にバレない」
という安易な考えを抱いて確定申告をしないトレーダーもいるようですが、その時は罪の意識をそれほど感じていなかったとしても、その先には大きなリスクが待ち構えているのが現実です。
とにかく不正に課税を免れる行為(=脱税)は、所得税法違反という犯罪行為であることを強く認識しておいてください。
ここ数年は、個人のFXトレーダーに対する税務署の取り締まりも厳しくなっています。
税務調査の対象となってしまえば、せっかく稼いだFX所得を失ってしまうことにも繋がる可能性があるので、税法上のルールに則って正しく確定申告することを心掛けましょう。
■海外FXで脱税が発覚した際のペナルティ(罰則)
脱税をした場合のペナルティ(罰則)にはいくつかのパターンがあります。
まず、指定の申告期間中に確定申告をしなかった場合は「無申告加算税」が課されることになります。
「無申告加算税」は原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額を通常納める税金に加えて支払う必要があります。
さらに、隠蔽工作などの悪質な所得隠しが発覚した場合は、悪意のある脱税と判断され、「重加算税」が課せられるうえに「延滞税」と「利子税」も加わります。
「重加算税」は、申告税額が過小だった場合は過少申告加算税+35%、無申告だった場合は無申告加算税+40%が課せられることになります。
また、脱税の手口が悪質なものと判断されれば追徴課税が発生するだけでなく、刑事罰の対象となり逮捕・起訴される可能性があります。
数年前までは起訴されるのは数億円規模の脱税が発覚したケースに限られていたのですが、最近は数千万円の脱税でもその手口や動機によっては起訴されるケースが増えています。
悪質な脱税で起訴された場合は、執行猶予付きの懲役刑か罰金刑が言い渡されることになります。
もちろん、隠蔽工作の内容によって量刑は大きく変わってくるのですが、特に脱税の前科がある場合やその道のプロに指南されて脱税行為をしてしまった場合は、量刑が重くなる傾向にあるようです。
なお、脱税には時効があり、期間は5年間(悪質な場合は7年)に定められています。
ただし、期間の途中で催促状が届けばその時点で時効は中断。
リセットされる形で改めて時効までの期間がスタートするので、現実的に時効が成立する可能性はほぼないと考えていいでしょう。
■海外口座の利益を税務署は把握できるのか?
「海外でのFX所得は税務署に捕捉されにくい」という噂がトレーダーの中には根強くあります。
海外のFXブローカーは日本の金融庁の管轄外であり、日本の税務署に対して顧客の取引履歴などのFX情報を開示する義務はないとの認識から、「海外FXの利益は申告しなくてもバレない」と考えている方がいるようです。
海外のFX業界が日本の金融ライセンスを保有しない最大の理由は、レバレッジ規制などの金融商品取引法の対象になってしまうことを避けるためです。
少額の資金でもハイリターンを狙えるのが海外FXのポイントですので、国内のレバレッジ規制の対象となってしまってはそのメリットがほぼ失われてしまうので、海外のFX取引業者は日本の金融庁に登録しないのです。
また、ケイマン諸島やヴァージン諸島、マン島、シンガポール、香港など、海外FX業者の多くがタックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれるオフショア地域に本社が存在することも、「日本の管轄外だからバレない」というイメージを抱かせることに繋がっているのかもしれません。
しかし、最近ではTaxヘブンで有名な国の金融機関も、要請があればほとんど顧客の情報を開示するようになっており、昔のように安全な国というのは既に存在しなくなっているのが実情です。
確かに日本の法律は海外では適用外なので、国内FX業者と比較すれば追及は厳しくないかもしれませんが、それは数年前までの話。
最近は個人投資家の申告漏れが急増していることもあり、FX投資家が得た利益を正確に把握するため、税務当局は国内外問わず、あらゆる方面での監視を強化する方向に動いています。
実際、日本に支店を持つ海外FX業者などは、税務署からリクエストがあれば積極的に顧客の取引データを提出しているようです。
要求を拒んで逆に国税局に目を付けられては、日本で活動することが困難になってしまうので、この対応は当然なのかもしれません。
■海外FXで脱税する裏技はあるのか?
インターネット上には海外FXでの脱税を指南するサイトもあるようですが、正直なところ仮想通貨を使って自由に入金や出金ができるようにでもならない限り今のところ脱税の裏技は存在しません。
海外FXで得た利益を出金する場合でも、日本の銀行口座にある一定の金額(100万円以上)の海外送金が行われると、金額・目的・送金先口座などの情報が税務署に提出される流れになっており、すべて把握されてしまいます。
中には悪知恵を働かせて、出金を少額に分けて送金するという方法を用いたトレーダーもいますが、これも銀行に履歴が残っているため、結局は税務調査に入られてバレてしまったそうです。
海外のFX取引口座から海外の自分の口座に送金して引き出すなど、国内口座に海外送金の履歴が残らない方法を用いれば可能性はあるかもしれませんが、これもまた絶対にバレないという保証はありません。
もし、結果的に脱税に成功した人がいたとしても、それはたまたまラッキーだったと思ってください。
とにかく海外のFX投資でも、脱税は絶対にバレてしまうと考えた方が賢明です。
裏ワザの噂を単純に信じて行動した結果、脱税の対象となって追徴課税を納める羽目になっては何の意味もありません。
脱税がバレた時のリスク面を考えれば、裏技に頼るという行為は絶対に止めておいた方がいいでしょう。
■マイナンバー提出不要だから海外FXはバレない?
2016年からスタートしたマイナンバー制度ですが、海外業者は国内法が適用になっていませんのでマイナンバーの提出義務はありません。
行政手続きの簡略化や業務コストの削減などを目的に導入されたマイナンバー制度ですが、実際には国民全員の資産状況を完全に把握して税金を確実に徴収することが主目的だと言われています。
銀行口座とマイナンバーを紐付けすれば、税務署は今よりも簡単に個人の収入や納税状況を把握できるようになります。
もちろん、すべて把握されてしまえば確定申告の無申告などは簡単にバレてしまいます。
FXでも国内FX業者の場合は、FX口座や証券口座を新規開設する際にマイナンバーの提出が義務付けられています。
また、数年後には国内FX口座を開設しているすべての人がマイナンバーを提出する必要があります。
しかし、日本のマイナンバー制度は海外の口座まで影響力が及ばないということです。
とはいえ、マイナンバーを提出しないことが「=海外FXなら脱税してもバレない」ということに繋がらないのは別項で述べた通りです。
海外FX口座を利用していたとしても、国内の銀行に送金すれば確実にバレてしまいます。
その証拠に、最近は海外FXでの脱税で追徴課税される話もよく耳にするようになってきました。
今後はさらに脱税に繋がる申告漏れが発覚する可能性があるので、「マイナンバーの提出が必要ないなら大丈夫」という甘い考えは捨てて、海外FXでも利益が出れば正しく確定申告して納税するようにしてください。
■脱税できると噂のNETELLERもサービス中止へ
国内の銀行を経由しないで海外のFX業者からの出金を引き出すことができるとして注目を浴びたのがネッテラーのマスターカードとXMカードでした。
ネッテラーはオンライン口座の性格をもっており、特定国に帰属しないこの口座上に資金をプールしてマスターカードが発行したデビットカードを利用して国内のATMから金融機関を経由しない形で資金ひ引き下ろしを可能としたものでした。
引き出し手数料は意外に高いものがありましたので銀行送金に比べれば安いものという印象でしたが、最大のインセンティブは国内金融機関を経由しないで資金を引き出せることにありました。
この仕組みとほぼ同様のスキームを提供したのが、XMの発行するXMデビットカードでした。
こちらも実は発行元はマスターカードであり、XMに発行依頼をすると国際航空便で送られてくるというもので、やはりATMで引き出せばまったく国内金融機関を経由しなくてもお金を国内に戻せることが注目されました。
実はこのカード、XMがキプロスの銀行に顧客名義の口座を開設し、そこに入金することでカードで引き出すことができるようにしていたようですが、利用者にはカードしか送られてこなかったため、発行国不明のデビットカードとして注目されることとなったわけです。
この二つは結局マスターカードがサービスから撤退することにより消滅することとなりましたが、真相ははっきりしないものの、金融当局からマスターカードに相当なプレッシャーがかかった故の事であるのは間違いないようで、とうとうマスターカードはデビットカードの発行業務自体から撤退する憂き目を見ています。
こうしたカードが消滅したことで、うまい送金の手口が絶たれた形になりましたが、
最近ではiAccountというサービスが同種の中間的な口座開設に応じるようになっており、しかも出金はプリペイドカードという無記名のカードに切り替えて利用可能になっているため、改めて注目を浴びています。
ちなみにオンライン決済の同種のサービスを展開していたSkrillは既に日本から事業撤退をしており、この手のサービスの国内定着がかなり難しい状況になっていることがわかります。
■過去のFX脱税ニュース事例
テレビや新聞・雑誌記事などのメディアにも取り上げられる機会が多いFXの脱税ニュースですが、今回は億単位の脱税事件をメインに世間を賑わせたケースをいくつか紹介します。
【case1】約4億円の利益を隠蔽した脱税主婦
FX(外国為替取引)で8億円稼いだ主婦としても有名な池辺雪子さんの脱税事件。
FXや先物取引で2005年から3年間で得た約4億円の利益を隠蔽し、所得税約1億3900万円を脱税したとして、東京地検特捜部は池辺さんを所得税法違反の罪で在宅起訴。
その後、懲役1年6月(執行猶予3年)、本来納めるべき税金に加えて罰金3400万円の判決が言い渡されています。
池辺さんの脱税の手口は主に家族名義の口座を使って申告から除外するやり方で、隠した所得は運用資金や預金の他、宝飾品などの購入費に充てていたとか。
ちなみに最近の池辺さんは、FX投資や納税に関するセミナー、執筆など、自らの経験をもとにした活動を幅広く展開中です。
【case2】4億5000万円の所得隠しが発覚した元ヒルズ族
FXの利益に加えて会社の所得隠しも発覚し、2008年にマルサの強制捜査を受けた元ヒルズ族の磯貝清明さん(当時30歳)。
2010年に懲役1年6カ月(執行猶予3年)、罰金3500万円の有罪判決を受け、罰金の他、所得税1億6000万円、重加算税6000万円、年14.6%の延滞料を支払う羽目に(延滞利息は毎日5万円!)。
一時は10億円に達していた資産も、逮捕時にはサブプライム・ショックなどの影響で3000万円に激減しており、すべてを手放す形で六本木ヒルズも退去。
まさに絵に描いたような転落人生を歩んでおり、現在は金属加工業を営みながらコツコツと返済しているそうです。
【case3】約1億4000万円の脱税で逮捕されたFX自動売買のプロ
2009年・2010年分の所得約3億6800万円を申告せず、約1億4000万円を脱税したとして逮捕された溝田耕治氏。
取引方法がFXの自動売買ソフトだったこともあり、当時かなり話題となったので覚えている方も多いのではないでしょうか。
溝田氏は申告しないままシンガポールに移住。
もちろん、日本に居住していた時の所得は海外に住民票を移しても日本で課税されるので、名古屋国税局による強制調査を受けて逮捕される運びとなったようです。
また、十数人の知人名義の口座を借用してFX取引するなど、当初から脱税目的で利益を隠蔽工作する意図があったと判断され、溝田容疑者は懲役1年6月(執行猶予4年)、罰金3000万円の判決を受けています。
【case4】FXの利益3億円を申告せずに在宅起訴された元校長
退職後にFX投資を始め、2004年に約3200万円、2005年に約9600万円、2006年に約1億8400万円の利益を得ながらも申告せず、所得税法違反の罪で在宅起訴された和歌山県の元小学校校長。
脱税を企てた理由は「老後の生活資金のため」。
追徴税額は重加算税を含めて約1億4500万円となり、元校長は直ぐに修正申告に応じたそうです。
【case5】海外のペーパー会社を利用した脱税事件
FXや先物取引などで得た利益約7億6000万円を申告せず、約2億7000万円を脱税したとして、所得税法違反容疑で逮捕された小玉昭彦氏。
小玉氏はシンガポールに自分名義の口座を開設して所得を隠していただけでなく、バージン諸島に設立したペーパー会社名義の口座にも運用益を隠すなど、かなり手の込んだ悪質な脱税行為を展開。
新聞記事によれば、「海外取引なので黙っていればバレないと考えた」と語っていたそうですが、懲役2年(執行猶予3年)、罰金7500万円の有罪判決が言い渡されています。
【case6】FXで5200万円を脱税した医師
2004年12月までの2年間にFX投資で得た約1億5000万円の利益を一切申告せず、所得税約5200万円を脱税したとして所得税法違反容疑で告発された三重県四日市市の男性医師。
この方の場合は計画的な所得隠しではなかったという噂もありますが、「副業でやっていたので申告の仕方がよく分からなかった」という言い訳が国税局に通じるわけはありません。
結局、脱税額が高額だったこともあり、悪質な脱税行為と認定され、懲役1年(執行猶予3年)、罰金1200万円の判決が言い渡されています。
【case7】家族ぐるみの脱税で追徴税額3億3000万円
兵庫県に住む公務員の娘と両親の3人による家族ぐるみの脱税事件。
2003年~2005年の3年間でFXで得た所得計7億2600万円を隠し、計約2億5000万円を脱税していたとして、所得税法違反の罪で告発される。
無申告と虚偽申告を繰り返すなど、明らかに脱税行為を企てたとみられるが、3人は素直に容疑を認め、修正申告に応じた模様。
重加算税を含めた追徴税額は実に3億3000万円に上ったとみられています。
■脱税についての結論
海外FXで得られた利益というのは、国内持ち込む持ち込まないにかかわらず税務当局からかなり厳しく監視されており、それこそ海外で引き出して箱詰めにして日本に持ち帰るぐらいのことをしないかぎり、全く足がつかない資金利用はできない状況です。
したがって手立てをつくせば脱税できるというのはかなり甘い考えで、内容次第では罰金を超えて豚箱入りというかなり厳しい刑罰もまっていることを十分に理解しなくてはなりません。
節税の方法については手立てをつくして行う価値はありますが、脱税だけは安易に実行しないことをお勧めします。
海外fxで海外の口座にある儲けは国内に送金していなくても確定申告するんでしょうか。宜しくお願い申し上げます
ヒロタさん、コメントありがとうございます。
これはかなり微妙なのですが、各国間で個人の利益を補足する動きが強まっており、スイスの銀行でも開示要求があれば出しますし、日本人が多く使う香港やシンガポールなどでもかなり見つかりやすくなっています。
ただ、当サイトの「XM出金の記事」でご紹介しているMybitawlletのように、一応シンガポールで免許事業をおこなっているネット口座のようなところに出金しておいても、足元の状況ではほとんどばれないのが実情だろうと思います。
実際XMがキプロスの銀行に口座をつくって利用者に提供していたVISA発行のデビットカードは、利用者にはキプロスの銀行名すら開示されず、事実上儲けはカードの中だけにしまい込まれるという仮想通貨のウォレットもびっくりの状況が作り出されました。
当然金融庁は憂慮しVISAに働きかけて、このデビットカードの提供をやめさせましたので、XMカードもネッテラーカードも廃止となった次第です。
ただ、上述のMybitwalletのように、事実上ネット上だけで保管し特定国の銀行に送金しない場合は殆どわかりません。
またリスクは高いですが、XMの口座に保管して出金しない状態ですと、金融庁からの情報開示要求に第三国の企業が積極的に答える必要はありませんので、こちらも課税の対象にはなりにくい状況といえます。
税務署は海外FXの場合、まず国内の金融機関に多額の送金をしてくる利用者から確認し、次が海外口座のチェックということになります。
簡単に逃れられるという安易な発想は危険ですので、そのあたりは自己責任で判断してみてください。