年末が近づくと、今年のFX投資の利益がどのぐらいになるのかが気になるところです。
結構な金額が海外FXで利益として計上されますと、総合課税であることから一体いくら税金を払うのかが非常に心配になるものです。
今回はXMを例にとりながら、両建てで利益を翌年に逃がす合法的な方法を、いかに効果的に実施するのかをまとめてみることにします。
もくじ
■利益繰り延べの両建て手順
まず今年の11月末までの利益を確認します。
MT4には期間を設定して、損益を計算してくれる仕組みが導入されていますので、まずは1月から11月末日までの損益を確認します。
この時点でマイナスになっている人は、この繰り延べの話とは一切関係ありません。
1.ほかの収入と合算してみる
ここからが複雑ですが、自分の今年のほかの収入とFXの収益を足してみて、税率が変わるかどうかをよく調べる必要があります。
たとえばFXで40万円利益がでたので、なんとか20万円損失を出して他に雑所得がなければ、その20万円は申告の必要がないので、非常に繰り延べのやりがいがあると言えます。
しかし100万円の利益がでたので、なんとか40万円翌年に繰り延べできても、結局ほかの所得と合算して累進課税の税率が上がってしまうと、40万円繰り延べした意味はほとんどなくなることも考えられるのです。
つまり厳密にいうと、いくらまで繰り延べするともっとも自分に得になるのかをよく考える必要があるのです。
毎年コンスタントに給与所得ある人は繰り延べしても、結局毎年累進課税税率が高くなるだけといったこともありますので、ここは相当よく考えて下さい。
(累進課税のお話は今回は見送ります)
2.繰り延べする金額を確定し両建てを設定する
繰り延べする金額が確定したら、それをどう両建てで先のばしするかを考える必要がでてきます。
たとえば20万円を繰り延べするとした場合、20万の損失がでるためには、ドル円なら20万通貨で1円相場の方向とは異なる方向にポジションをつくらなくてはなりません。
しかし年末に、そんなに相場が動くかどうかという問題もありますので、できれば11月中に両建てを仕込んでしまう必要もあるのです。
XMの場合、888倍を利用しますとドル円が113円程度の価格の場合には、たった2万4500円程度の証拠金で両建てを行えますので、かなりお得です。
一般的にドル円は、11月末からは年末の需給の関係で比較的堅調に上昇しやすいことが予想されますので、早めに両建てを設定しつつ、目標損失がでればその部分は先に確定させてしまうことが必要になります。
3.相場状況によっては目標金額を繰り延べできないこともある
どんなに両建てをしたとしても、相場が動かない場合は損失が思ったように出ず、確定できないということも当然あり得ます。
この場合には、そこからさらに損の出るほうにポジションを積み増しするといった細かい作業も必要になります。
この両建ての繰り延べは合法的で、まったく違法性のないやり方ではありますが、あくまでも相場が動いてはじめて成立するものですから、目標に達成しなかった場合にどうするかを考えておく必要があります。
4.相場の流れが変わると損失だけでて収益が繰り延べできない事態も
113.500円でドル円を20万通貨両建てし、114.500円で見事20万円分のの損失がでた場合、その後の相場の価格水準が安定的114.500円台以上を維持していければ申し分はないわけですが、今度は残されたロングのポジションが下落しはじめると利益はどんどん失われることになります。
この場合には、再度その高値から相場の状況次第で、ショートを両建てで設定する必要がでてくることになるのです。
ただ下落が止まった段階では、このショートも一旦リカクして相場が戻るのを待つことになりますから、こうした繰り延べの両建てで片方を損切りした後というのも、かなり難しいことは理解しておく必要があります。
やり方を間違えると、繰り延べるハズだった利益がなくなったり、さらに損失を増やすことになりかねない点には相当注意が必要です。
よく年末ギリギリまで粘って、31日などに片方の損失を損切して、残りは新年早々にリカクするという話をききますが、繰り延べ額がいくらでもいいならそれが最善の方法となるものの、11月末もしくは12月の月初に両建てしても、その後まったく相場が動かない場合、ほとんど繰り延べにならないという極めて難しいケースも出てくることは頭に入れておく必要があります。
■まとめ
両建てを利用した利益の繰り延べは、合法的な方法ですから遠慮することはありませんが、年末まで引っ張り過ぎても想定した損失を出すことが難しいケースがありますから、想定損失を達成した際にはとにかく損切をして確定させることが重要になります。
また残ったほうのポジションも、そのまま放置しておいても利益が失われる動きになる可能性があり適宜判断して、さらに両建てのポジションをつくる工夫も必要になるのです。
この両建て繰り延べはほぼ毎年やっていますが、目標損失を設定してそれに近づけるというのは利益をあげるのと同じぐらい難しいものがありますので、全くうまくいかない年もあります。
口で言うほど簡単ではないことは、最初から覚悟しておくべきでしょう。
また両建ての期間が長引く場合には、スワップによるマイナスのコストが生じることも、あらかじめ想定しておく必要があります。
この両建ては、うまくいけば効果的ですが、冒頭にも書きました通り、そもそもほかの収入と合算してみて累進課税のランクが変わってしまうと、少々先伸ばしにしてもあまり効果がないということもあり、実は成功を収めるためには相当厳密で用意周到なやり方をする必要があることだけはあらかじめ理解しておくべきです。
ただ、それでも888倍で少ない証拠金で売買のできるXMでのこの手の取引は、かなり少ない資本で効果を出しやすい手法ということができます。
両建ての繰り越しに質問してもいいでしょうか?
ドル円でロングとショートのポジションをさっそくつくったところドル円が一時的に
大きく上がったのでショートのほうを損切して損失を見事だすことができました。
しかしまだ2週間ちょっとあるのでドル円のロングが下がってきそうな嫌な予感が
するのですが、この場合さらにショートを入れて利益を確定させておいた
ほうがいいのでしょうか?
実際やってみるとかなり難しくてドキドキしました。 でもサイトに載っていたように
やると確かにうまくいきます。
なにか追加のヒントがあったらぜひご教授ください。
よろしくお願いします。
両建てによる繰り越し法は、簡単に見えて相当難しく気を遣うものです。
一応予定の損失を両建てで叩き出した場合は、そのまま放置しておくと損失が減る可能性もありますので、まずは損失を出したポジションだけ損切してしまいます。
ここからせっかく繰り延べにした利益を減らさないためには、二つの方法が考えられます。
たとえばドル円で12月に入ってから、112.600円で両建てポジションを作って、113.700円でショートのほうのポジションを損切すれば、1.1円分の利益を繰り延べすることができることになりますが、その後の方法としては次のような二つのいずれかを実施してみるのがお勧めです。
1)相場が下がりそうなとき(現状のドル円がこれです)
一旦損切した価格で、あらためて同ボリュームのショートをつくり利益を確定してしまいます。
残念ながら、ここから2週間分のスワップポイントのショートとロングの差し引き分だけはコストとして負担しなくてはなりませんが、すぐに再度両建てすれば1.1円のうち、1円分以上は利益を確実に翌年に持ち越せますので、1月2日にさっそく両方をリカク損切してお仕舞いにできます。
2)年始に相場がまだ上がりそうな場合
一旦損切したあとも、運よくさらに相場が上昇しそうな場合には、両建てを使わずにトレーリングストップを置くことができます。
トレーリングストップ注文は一度、ポジションを持った後の決済注文としての逆指値注文(ストップ注文)をトレールできること、つまり追尾することができるのです。
簡単に言えば逆指値が為替レートの変動にあわせ切りあがっていくので、年始にむけてドル円が114円になるようならば、このままトレーリングストップで上昇についていき、下がり始めたら年明けにリカクする方法もありますが、もちろん年内に下がり始めてお仕舞いということになると、また利益がでてしまいますから相当危ない取引法になってしまいます。
したがってもっともリスクの少ない方法としては、1)の新たなショートを入れたまま年明けまで両建てポジションを持ち越すことがお勧めです。
片方だけ損切してもう片方をそのままにしておくと、ご指摘のとおり相場が完全に逆戻りして持ち越すはずの利益が無くなることは、十分にありえますので注意が必要になるのです。
しかしこれを12月31日まで持ち越しますと、繰り越せる金額がいくらなのか、まったくわからなくなりますから、やはり早めに損失だけは確定させるのが得策です。
ご丁寧にありがとうございます。実際にやられている経験者のお話なので実に的確で
よく理解できて助かりました。
損失だけ確定させたあとこのままではおかしいと思い始めましたがやはりそうなのですね。
トレーリングストップも確かに一つのやり方ですが、うかうかしているとまた年内に
利益が積み上がってしまうのでやはりショートの両建てを再度実施して来年早々
にリカクすることにします。
これは本当に教えていただいて助かりました。またよろしくお願いします。
取り急ぎお礼まで