海外FXでは口座開設時に、個人口座と法人口座どちらのFX口座を開設するか選択することができます。
通常ならば個人口座を開設する方が多いかと思いますが、法人口座には様々なメリットがあり、特に節税という面では非常に優秀です。
もくじ
海外FX法人口座について
FXトレードを行なっている方には、税金対策で悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、この記事では法人口座を開設した場合のメリットや口座の開設方法、税率などの情報を徹底解説していきます。
・法人口座の税率
国内FXの口座を開設する際に個人口座を選択した場合、収入は『申告分離課税』に分類されるので利益額に関わらず収める税率は一律20%となります。
しかし、海外FXの個人口座は国内FXと税の区分が異なり、『総合課税(雑所得)』に分類されるので税率は利益額によって変化します。
【個人での税率】
課税所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円~330万円以下 | 10% |
330万円~695万円以下 | 20% |
695万円~900万円以下 | 23% |
900万円~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円~4,000万円以下 | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
なんと、最大45%も税率がかかってくるのです。
これでは脱税をする方が後を絶たないのも無理はないかもしれません。
しかし、これはあくまで個人口座の話です。
法人口座の場合は、以下のように税率が変わってきます。
【法人での税率】
課税所得金額 | 税率 |
400万以下 | 21% |
400~800万円以下 | 23% |
800万円以上 | 36% |
なんと、800万円以上は一律34%固定となるのです。
また、法人口座を設立することにより、常勤役員に支払う報酬が必要経費として計上することができるようになるので、『所得の分散』を行なう事が可能となります。
・法人口座の社会的信用
法人口座を設立するために会社を興した場合、社会的信用も増すこととなります。
特に、銀行などの金融機関に融資等を受ける場合、個人と法人では融資を受けることができる可能性が大幅に上がるでしょう。
今後事業として組織化を考えているならば、法人化を行うことによって得られる信用は大きいです。
・海外FXにおいては、レバレッジの変化は特になし
国内FX業者を個人口座で利用している場合、法人口座を開設することによってレバレッジ規制適用外となります。
そのため、法人口座を開設することによって大きなメリットが生まれるといえるでしょう。
しかし、海外FXの場合は元々の最大レバレッジが大きいので、レバレッジに関してはそこまで大きな変化はありません。
・法人口座の納税手続き
法人口座の納税を行なうためには、確定申告を行なう必要が出てきます。
法人の方は、税理士の方に頼むことが多いかと思いますが、ここではあえて自分で確定申告を行なうケースについてみていきましょう。
法人の確定申告は、個人の確定申告と異なる部分があります。
まず、法人の確定申告は事業年度内の所得を計算して、その結果を申告書に記入して税務署に提出します。
提出期限は、原則事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。
確定申告を行う場合、提出方法も複数種類あります。
① 書類を作成し、税務署に直接提出
② 書類を作成後、郵送にて提出
③ インターネット(e-tax)にて申告書を提出
① のインターネットでの提出は、最初に登録や設定等で少し手間がかかりますが、初年度以降は非常に申告書の提出が楽になるのでおすすめです。
② の郵送も申告書を送るだけなので税務署に足を運ぶ手間が省けます。
③ の税務署に直接足を運ぶ場合は、手間と時間がかかりますが書類等に不備があった場合でもその場で修正が可能です。
最近ではインターネットを利用して確定申告を行う方が増えており、パソコンで全て完結するのでおすすめです。
また、法人が確定申告を行う場合は以下の書類が必要となります。
①決算報告書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)
② 法人税・地方法人税申告書
③ 都道府県民税申告書
④ 市町村民税申告書
⑤ 法人事業概況説明書
⑥勘定科目内訳明細書
※地域によって変動あり
確定申告書は基本的に税務署から送付されてきますが、万が一紛失してしまった場合は国税庁HPからプリントアウトするか税務署に取りにいきましょう。
・法人口座の開設方法
一見複雑そうに感じる法人口座の開設方法ですが、実は個人口座を開設する場合と開設手順はほとんど変わりません。
まずは、海外FX業者のHPにアクセスし口座の申し込み画面を開きます。
すると、「個人口座」か「法人口座」どちらかを選択できると思いますので、法人口座を選択しましょう。
また、法人口座の開設方法はシンプルですが、用意する書類が中々多いので注意が必要です。
『法人口座開設時に用意する書類』
① 株主と各役員の身分証明書
② 株主と各役員の住所証明書
③ 法人住所の証明書
④ 登記書類など
ほとんどが証明書類なので、役所にて用意できるものばかりです。
書類の取得方法が不明な場合は、各役所に問い合わせてみましょう。
■資金の出し入れは法人名の銀行口座、クレジッドカードのみ
また当然のことですが、法人名で海外FX口座に入金、送金をするわけですから、その名義も国内に法人名の銀行口座やクレジットのコーポレートカードである必要がある必要があります。
個人やそれ以外の口座ですと、マネーロンダリングの可能性もでてくるわけですから、業者からは受け付けられないことになりますので、これだけは気をつける必要があります。
さらに海外に開設した法人名の口座からも入出金は可能ですが、こうした対応をした場合には国内法人の場合には税務当局からかなり厳しく調査が入ることもありますので、当初から理路整然としたロジックでの運用が必要となります。
それ以外の項目は、ほとんど国内のFX業者の法人登録による取引と同じですから、違和感なく取引することができます。
■法人口座が開設できる海外FX業者
節税など多くのメリットがある法人口座ですが、実は全ての海外FX業者で法人口座を開設できるわけではありません。
そこで、この項目では法人口座を開設できる海外FX業者を一部ご紹介していきます。
Big Bossの法人口座
Big Bossはニュージーランドに本拠を置く会社です。
注文の約定方式はNDD方式を採用しているので、透明性が高く約定力のある取引を行なう事ができます。
また、2016年以降急速にサービスの強化を行なっており、
① サーバー増強
② 追証撤廃
③ ライブチャットの導入
④ 最大レバレッジの広大
⑤ ビットコイン入金の導入
など上記のようなサービスが増えています。
また、日本円建て口座も提供されており、日本語によるカスタマーサポートも万全なので日本人トレーダーからの評価が高いです。
IFC Marketsの法人口座
IFC MarketsはIFCM ホールディンググループの傘下企業であり、銀行とのコネクションが強いというメリットがあります。
銀行とのコネクションが強ければ破産などの可能性も低くなり、結果的に自分の資産を守ることに繋がるのです。
また、顧客資産には保険がかけられるので万が一の場合にも備えてあります。
IFC Marketsは入金1ドル&100通貨単位から取引を行なう事ができるので、海外FX初心者の方でも相場に参加しやすいです。
取引ツールはメタトレーダー4 と NetTradeXの両方を提供しています。
FxProの法人口座
FxProは、日本語のサポートが非常に充実している業者であり、入金・出金・取引などに関して、全て日本語でサポートを受けることが可能です。
トレーダーの資金は信託保全されているので、仮にFxProが倒産してしまったとしても最大20,000ユーロの補償を受けることができます。
狭いスプレッドと約定力の高さに定評のある業者であり、取引ツールも最新であるMT5とcTraderの両方を提供しています。
その他の法人口座可能な業者一覧
実際に、海外FX業者で法人登録できるところは、日本人が個人で登録できるところなら、ほぼすべてが対応可能で選択肢は想像以上に多いのが実情です。
現状で取引できる法人口座開設可能業者は、以下のとおりです。
※この一覧表ではXMは法人口座が開設できるようになっていますが、2017年の7月以降法人口座開設を一旦止めているところもあり、実際の開設にともなっては最新の情報を確認する必要があることも理解しておいていただきたいと思います。
■まとめ-法人口座は利益と相談
法人口座は節税効果が高いですが、一定の利益が上がっていないとその効果は薄れてします。
法人口座は、
① 9年間の損失繰越
② 役員報酬の計上
③ 経費の計上(個人より範囲がアップ)
などを行い、節税対策を施します。
しかし、法人口座を開設するには初期費用がおおよそ30万円ほどかかり、それと毎年の税金も地方税が7万円かかってくるのです。
しかも、この地方税は例え赤字だった場合でも支払わなくてはいけません。
法人口座は、一概に「いくら以上利益があったほうがお得」とは断言できません。
トレーダーによっては利益が300万円以上あれば節税効果が高い方もいらっしゃいますし、800万円の利益があっても個人口座のほうがお得な方もいらっしゃいます。
しかし、法人口座は家族が多ければ多いほど節税効果が高いことは間違いありません。(役員に任命できるため)
法人口座を開設するか否かは、海外FXの利益や周囲の環境と相談し決定しましょう。