海外FXを紹介するサイトでは、なんでもかんでもメリットとして紹介しているところが多いものですが、冷静に見ますと必ずしもメリットとは言い切れない要素が多いこともまた事実です。
ここでは他のサイトではメリットとして紹介していても、決してメリットとして言えそうもない部分についてあえてご紹介することにします。
もくじ
■信託保全があるのはメリットにならない
多額の資金を証拠金として預託して取引を行うFXでは、預けている証拠金が業者の破綻で消失してしまうのではないかという心配が常に付きまとうものです。
実際国内の店頭FX業者も2004年ごろまでは、業者の口座に振り込むと自社の事業資金と混在した形で利用されるというとんでもない時代があったわけですが、2005年以降やっと信託保全という形で、少なくとも業者の事業資金とは別に管理するようになった次第です。
海外の業者もほとんどが自社の事業資金とは別にして管理する、いわゆる分別管理を行っていますが、これは口座を分けているにすぎず、厳密な信託保全とは異なるものであることは理解すべきです。
よく分別管理を信託保全のひとつのように紹介しているサイトがありますが、それは真っ赤な嘘で、潰れてみないことには証拠金が戻るかどうかはわからないというのが実際のところです。
またいわゆる第三者機関に預託する信託保全も、返済される金額に上限が設けられている国が多いことから、信託保全が国内業者と同じように設定されていて安心です、というのもほとんど嘘に近い解説です。
欧州圏の事業者の場合個人には上限で2万ユーロ、足元ではほぼ250万見当までの資金は返還されることになっていますが、それ以上はどうなるかわかりません。
また2010年に債務危機で話題にになったギリシャでは、ベイルインという法律が欧州全般に施行されていることから、銀行などに預金を預けている個人でも金融機関が破綻したら応分の損失を利用者として負担する、という猛烈な法律がすでに履行されていますから、FX業者に預けている資金も仮に信託保全が適用されているとしても、破綻してみないと上限金額まで戻るかどうかはわからないのが実情です。
信託保全というと世界共通の補償のように思われがちですが、業者の所属国によって実態は全く異なるという点はあらかじめしっかり理解しておくべきでしょう。
■入金や出金に色々な手段が設定されているのも苦肉の手段
よく海外業者にはさまざまな入金、出金手段が設定されていて、それが便利などと書かれているサイトがありますが、こちらもとんだ勘違いです。
国内では銀行からの入金を24時間休みなしでリアルタイムに口座に反映させる仕組みが導入されていることから、業者によっては入金銀行に制限があるものの、相場の状況にあわせていつても簡単に、かつクレジットカードなどを利用しなくても入金ができるようになっています。
しかし海外業者はそうはいかないことから、長年苦労して国内業者と同じようにリアルタイム入金に近いサービスができるようにしてきたのが足元の状況で、ひとつの解決策がクレジットカードやデビットカードによる入金なのです。
また仲介事業者を介して、国内に法人を持たなくても銀行口座を開設して、そこに振り込みができるようにしたのも努力の結果といえます。
そのほかのオンラインウォレットの導入も、国内のようなリアルタイム入金に近いサービスレベルを作り出すために悪戦苦闘して設定しているもので、それでも現状では国内業者のリアルタイム入金サービスに比べると見劣りする部分が残されています。
特に決定的に異なるのは出金の部分で、入金はなんとかリアルタイム性に近いものが提供できているものの、出金は海外から資金が国内に戻るプロセスを経なくてはなりません。
その時間も、出金のために個人投資家が自ら負担しなくてはならないコストも、国内業者のように無償で1日以内に戻るということは、いまだ実現できていない状況です。
最近では、出金プロセスにもオンラインウォレットが導入されて便利だかなりコスト削減ができるようになっていますが、こちらも苦肉の策ということで、入金や出金に様々な方法が導入されているなどという話は、決してメリットとは言い難いものがあります。
■ビットコイン入金は本当に利用できているのか疑問
ここ1~2年でいくつかの業者が話題性から先行導入したビットコイン入金ですが、ビットコイン自体決済通貨としての需要は国内では著しく低いの現状です。
頭の中ではビットコインを利用してFX取引ができれば便利だとは思いますが、実際に入金してみますと国内の仮想通貨取引業者がお粗末であることから、リアルタイム入金にならないことが多く、しかもマネーロンダリング上の問題から、入金した以上は出金できないことからほとんど意味がない状況になっています。
これが本当に仮想通貨でどんどん出金できるようになるのなら素晴らしいメリットになりそうですが、現状ではほとんど役にたつサービスとは言い難いのが実情です。
■国内FXよりロスカット水準が低いことはメリットではない
海外FX業者は国内業者と違って強制ロスカットのレベルがかなり低く設定されています。
主な業者を比較してみますと次の通りになります。
AXIORY: 20%以下
XM: 20%以下
TitanFX: 20%以下
LANDFX: 30%以下
FXPro: 30%以下
LandFX:30%以下
ThinkForeX: 50%以下
こうしてみますと、すぐにロスカットにはならないからかなり便利だと言った解説をしているサイトもありますが、要はゼロカットシステム用に設定されているもので、ギリギリのちょっと手前に強制ロスカットを置くことで、結果的にほとんど資金が残らないようにしてあるだけで、証拠金以上の損失がでないという点では個人投資家は喜ぶべきではありますが、強制ロスカットレベルが低いのはなんら嬉しいものではないといえます。
むしろ間違って取引したと思ったら、ハイレバレッジの口座ではとにかく即刻躊躇なく損切をすることが重要で、強制ロスカットのお世話になること自体が大間違いといえます。
■「NDD方式で約定力が高くリクオートなし」というのは業者次第
多数のカバー先を有し、アルゴリズムによって常に最適化をはかっていますので論理的には約定力が高くなってしかるべきなのですが、これもすべてのNDD法式採用業者に一律で当てはまるものではないのが現状です。
まず業者のサーバーがどこに位置しているのか、またネットとの接続環境やサーバー自身の処理能力と約定力は微妙に関係していますので、カバー先につけるだけのNDD法式だから絶対的に約定力が早いと断定するのはさすがに言い過ぎです。
またリクオートについても一部の海外業者は今も結構でることが多いので、このあたりは個別に業者選定をして使い比べてみてから結論を出すべき事項といえます。
■コンテストが開催されるのもメリットかどうかは微妙
海外FX業者では無償で参加できるコンテストが魅力であり、大きなメリットだと記載しているサイトも結構多くみられますが、実際にこうしたコンテストに参加してみますといい経験にはなるものの、とてもではないですが本邦の個人投資家がドル円の売買などで上位に入賞することなどできないのが実情で、とにかくチャレンジしてみるという方は止めませんが、こうした場で本当に稼ぐことを考えるのには無理があると思われます。
できることならばコンテストで稼ぐことを考えるよりも自分の資金でしっかり利益を上げることを優先すべきではないでしょうか。
■まとめとして
よくある話ですが、もし海外FXを本当に使いこなしている人間が紹介しているサイトならば、ありえないようなメリットが結構平気で記載されているケースが目立ちます。
100歩譲ってもおよそメリットとは言い難いものも多いだけに、あまり適当なことが書いてあるところはそもそも信頼に値しないということは念頭に置いて利用していくことが必要なのではないでしょうか。