よく海外FXに役立つようなチャットができる場所はないかという話がでることがあります。
残念ながら国内の個人投資家で、海外FXを主体にして売買している人たちの数は、国内のアクティブユーザー100万人以上に比べればごく僅かな存在であるため、コミュニティとして集まる場もありませんし、チャットで話ができるようなところもほとんどないのが実情です。
そもそも為替を専門にチャットで書き込みできる場というと、ZAI(ザイFX)のサイトに設置されているツイッターアカウントを利用したチャットがあるぐらいで、ここも必ずしもチャットで話しあいをしているというほどの感じでもない状況です。
そこで今回ご紹介したいのが、海外でトレーダー同士がコミュニケーションできるソーシャルトレーディングサイトの存在です。
■日本にはほぼ存在しないソーシャルトレーディングサイトeToro
eToroはもともとロシアのブローカーサイトで、日本語には一切対応していないのですが、結構大盤振る舞いのボーナスをつけてくれることで有名になったサイトです。
面白いのは証拠金をすべて失って退場しようとすると、運営者から「もう少し頑張ってみろ」と、あらたなボーナスが与えられたりしたことで話題になった業者でもあります。
その一方で金払いが悪く、うまく出金できないといった苦情もかなり集まるなかなか微妙な口座となっていました。
このeToroですが、いつのまにか本拠地をキプロスに移動させ、しかもEAのような人工的ストラテジーではなく実際にうまくトレードをする人をフォローしてコピートレードを実施することができることでまた大きな話題になっています。
基本は口座開設をして、自分で通常の海外FX業者と同じようにトレードをすることができますが、口座を持っている参加者とコミュニケーションがとれるようになっており、それぞれの通貨ペアごとにトレーダーが思い思いのトレードの考え方を披露し、そこに質問やコメントを載せることができるようになっている点も面白いサイトといえます。
一般的には口座開設者同士がコミュニケーションをとるということは、国内業者ではできないわけですが、それができる点がかなりユニークな存在といえます。
ご覧のようにユーロドルのような特定通貨において、この先相場がどうなりそうかなどということを独自の理論で展開する向きもいて、なかなか面白いやり取りができるのです。
もちろんポジショントーク満開の部分もありますから、必ずしもこうしたところで情報を得ることがプラスに働くかどうかは使い方次第ではありますが、チャットで単なる言い合いをするよりはもう少しプラスに働く部分があるといえます。
ただ、残念なのは使用言語がすべて英語をはじめとする外国語になっていることで、最低限英語のリテラシーがないとだれともコミュニケーションがとれないという大きな問題が起こります。
また利用者の大半が欧州系のトレーダーですから、活発に売買する時間帯も日本とはかなり異なるため、利用時間帯によってはチャットというよりは書き込みになってしまうこともある点は注意が必要です。
■秀逸なのは優秀トレーダーのコピートレードができること
国内FX業者では、トレーダーズ証券が細々と実施してきたサービスがあります。
投資助言業の資格を持ったトレーダーのトレードを、そのまま真似することができる選択的シストレというサービスでしたが、最近では優秀な個人投資家の売買をみんなのFXが吸い上げて、シグナル配信によってコピートレードができるようにしています。
eToroが提供するコピートレードはもっとダイレクトで、サイト上で大きな利益を収めているトレーダーをダイレクトにフォローし、まったくそのトレーダーと同じようにトレードをすることができる仕組みとなっています。
上のページのように、それぞれのトレーダーは損益を常に公開していますから、どんな相場状況のときに損を出しやすいのかなども事前にチェックすることができ、かなり突っ込んだ仕組みとなっているのです。
ただ、これはただでフォローしてまねることができるわけではなく、フォローすると投資家が保有する証拠金の2%をフォローするトレーダーに支払う必要があり、売買による収益がでた場合は実際に裁量取引をしたトレーダーに利益の25%を上納する必要があるのです。
現段階ではだれもフォローできていないためチャートをお見せすることはできませんが、優秀トレーダーがどこでエントリーしてどこでリカクしているのか、あるいは損切をどのように行っているのかなどが粒さに確認できるため、まさに人がやっている売買手法をそのまま見ることもできる点はかなり秀逸です。
ただ、欧州系のトレーダーが多いことからユーロクロスの取引も多く、馴染みのない通貨ペアでの売買が主体になると本当にお任せで売買することになってしまう点はちょっと気になるところです。
コピートレードはeToroのサーバー内部でコピーされますから、シグナルをEAに配信してもらって個別のMT4で売買をするといった遅延が出やすいコピートレードよりもかなりよくできているといえます。
今のところは優秀な裁量トレーダーのコピートレードだけですが、ごく近い将来AIのコピートレードもできるようになるのではないかという期待も高まるところです。
こうした裁量トレーダーのトレードをリアルタイムでコピーしてトレードするというのは国内の金融庁がもっとも嫌がるタイプのサービスで、ヘッジファンドに資金を託して運用を預託するのも似たようなものなのですが、国内では絶対に同じサービスが開始されることはなさそうな状況です。
このような仕組みはソーシャルトレーディングシステムなどと呼ばれていますが、まさにソーシャルサイトを通じて情報交換をしたりコピートレードを依頼したりして売買していくというやり方はFXとの親和性がかなり高いものといえます。
サイト内ではビットコインなどのトレードもコピーできる点が注目されますが、裁量トレーダーが大失敗しても損害補償はどこからも得られませんからまさに他力本願だけで行うトレードであり、よほどの目利き感がないとすべての証拠金を失うことになりかねない点には相当な注意が必要です。