もくじ
■金融商品取引業とは
FX取引をやっていると「金融商品取引業」という言葉をよく目にするかもしれません。
なんとなく「お金に関するビジネスだ」ということは理解と思いますが、実はこの言葉にはしっかりとした定義があるのです。
4つの金融商品取引業
この「金融商品取引業」は金商法で定められており、金融商品取引業を行うことの登録を行う必要があり、これをしないで金融商品取引業をすることは違法となります。
顧客から信託財産を預かるわけですから、法律でこのように定めているのです。
そしてこの「金融商品取引業を行うことの登録」をFX業界では「金融ライセンスがある」と呼んでいるのです。
さらに「金融商品取引業」と言っても実はその中に4種類あり、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業となります。
第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業の2つが「有価証券の売買」に関係するものです。
取り扱う商品、つまりそれぞれ当該有価証券によってその種類が別れてきますが、第一種金融商品取引業が主に証券会社、外国投資証券、つまり外国為替証
拠金取引(FX)業者に関わってきて、第二種金融商品取引業はファンドや信託受益権売買業者などの投資信託に関わってきます。
投資運用業は投資信託委託会社、投資顧問会社がそれにあたります。
投資助言・代理業は投資顧問契約を投資運用業者などと結びアドバイスなどをするという業務という区分になります。
適格機関投資家等特例業務
しかし実は金融商品取引業として登録申請書を作成しなくても、顧客と契約し、投資証券を売買するなど投資法人として金融商品取引業を営むことができる権利を得る抜け道が存在します。
それが「適格機関投資家等特例業務」というものです。
この「適格機関投資家等特例業務」の届け出を申請すれば、金融商品取引業に登録しなくても、書面の上では問題なく金融商品取引業を運営していくことが可能です。
では具体的にこれがなんなのかというと、簡単に言えば、1名の適格機関投資家(法令で定められたプロの特定投資家)から投資してもらうことができれば、49名
以下の一般投資家から金融商品取引業の登録なしで投資してもらうことができるということです。
「それなら金融商品取引業にわざわざ登録しなくてもしなくていいじゃん」という声も聞こえてきそうですが、この特例業務は書類作成が難しく、例外がとても多いので、ちょっとでも基準や記載事項からずれればすぐに対象から外れてしまいます。
また当該顧客(投資者)が49名以下と小規模な運営しかできないのもかなりのデメリットといえるでしょう。
■金融商品取引業に無登録の海外FXは危ない?
上で述べたことを踏まえると、つまりは金融商品取引業に無登録でも海外FX業者も日本で運営をできることになります。
そして実は大多数の海外FX会社が、日本でこの金融商品取引業に無登録で運営しています。
例えば「海外FXランキング」などで人気となっていたり評価されているFX業者のほとんどは、日本金融庁のライセンスを取得していないでしょう。
では、そんな海外FXブローカーで我々一般トレーダーが取引していくのは危険なのでしょうか。
海外FX業者が日本の金融庁の登録を受けていない理由
もちろん、日本でのライセンスを取得していたとしたら、その企業は安全といえるかもしれませんし、何より日本人顧客にとって印象がいいので、当然金融商品取引業に登録した方がメリットがあると思われがちですが、実は日本の金融庁のライセンスをとってしまうことで非常に大きな代償を支払わなければならないのです。
まず、最大のネックと言われているのが海外FXブローカーが金融庁の「第一種金融商品取引業」のライセンスを取得したとしたら、最大レバレッジが25倍までに制限されてしまうということです。
世界的に見て、海外FX業者の最大レバレッジは400-500倍あたりが相場となっており、中には最大レバレッジ1000倍で証拠金取引ができるなどの国内業者が真似できないようなハイレバレッジを提供する業者もあります。
これと比較すると国内FX会社の最大値である25倍というのは、計算せずとも明らかに低い数字となります。
現在では多くのトレーダーがハイレバレッジをかけたトレードをするためにわざわざ海外FXで新規口座開設をするというケースも多いために、ライセンスを取得し
てレバレッジを25倍以下にしてしまっては業者と投資家の双方に対して不利益になってしまうのです。
また一度ライセンスをとってしまえば、国内FX業者と同じ基準で運営をしなくてはいけなくなります。
もし同じ基準でビジネスをした場合、やはり日本人としては国内FX会社を選びたくなってしまい、ブローカーとしての競争力も失ってしまいます。
このような理由から海外FX業者は基本的に日本の金融庁の登録をしない方針をとるのです。
金融商品取引業の届出は難しいのか?
「日本の金融商品取引業の届出は難しいのか?」という質問もよくいただきます。
これの答えは、捉えようによってかわってきます。
ある海外FX業者が一度、「よし取ろう」と決めてそのような方針を取れば、おそらくどの業者も取得可能なので、難しくはありません。
しかし例えばそのために「最大レバレッジを25倍に制限してくれ」という要求に応えるのは非常に難しいと言えるでしょう。
つまり届け出自体は難しくはありませんが、それが「できない」というよりは「しない」と見るのがベターでしょう。
海外における金融商品取引業
さて、日本でも金商法による金融商品取引業があるように、海外のそれぞれの国でそれぞれの金融機関が、金融商品取引業、または別のライセンスを定めています。
他の多くのブログ記事などで紹介されている海外FXブローカーは、海外で金融商品取引業に登録しているケースもたくさんあります。
海外のライセンスを持っている場合、やはりその基準にそって金融商品取引業を運営する必要があるため、運営において信頼性を持つことができ、かつ最大レバレッジなどの規制を大幅に改善することができます。
たとえ日本国内で日本の金融庁の登録を受けていなくても、海外でライセンスをとっているならば、そこから外れた運営はできないため、そこでFXトレードする限り安心できる取引環境で公平な取引ができます。
つまり特定の海外FXブローカーで取引をしたい場合は、日本での金融商品取引業の登録の有無ではなく、海外のライセンスを取得しているかどうかをまず確認するべきなのです。
加えて英国金融行為監督機構(FCA)、キプロス証券取引所(CySEC)、ニュージーランド金融市場庁(FMA)、ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)などが主に海外FX業者に取って人気のライセンスとなっていますが、ひとえにライセンスといっても様々で、非常に安全性の高いライセンスから、あまりそうでもないライセンスまであります。
この中ではイギリスのFCAライセンスが一番信頼性の高いライセンスといえるでしょう。
しかし信頼性が高いということはその反面規制に縛られて、顧客にとっては儲けにくくなるということとも関連してきます。
これらのことを平均して、FX取引業者一覧を参照しながらどこがベストなのか見極める必要があります。
■金融商品取引業を取得している海外FX業者一覧
日本の金融商品取引業を取得している業者であれば、当該会社は金融庁がWebサイトで公表されているのでそれを参考にするといいでしょう:
参照 金融庁HP↓
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
しかしここを見ても海外FX業者として人気のある業者、名前を知っている業者は大抵、日本の金融商品取引業には登録していないので、リストに名前はないはずです。
では「海外でライセンスを取得している海外FX業者はどうなのか」ということですが、それは非常にたくさんあります。
以下であげると
TITAN FX(タイタンFX)
XM
LAND-FX(ランドFX)
FBS
iFOREX(アイフォレックス)
HotForex(ホットフォレックス)
AXIORY(アキシオリー)
TRADEVIEW(トレードビュー)
FXOpen(FXオープン)
ACEFOREX(エースフォレックス)
IronFX(アイアンFX)
OloTrading(オロトレーディング)
MyFX(マイFX)
Dynamic Trade(ダイナミックトレード)
FXDD
IFC Markets(IFCマーケット)
PivotMarkets(ピボットマーケッツ)
以上のFX業者はすべて、海外でライセンスを取得しています。
なので特定の投資対象が決まっているのならば、この中から探してみてもいいかもしれません。
加えて、上で述べたこれらの業者のほとんどが金融庁が公開警告している業者リストに載っています。
もちろん日本の金融庁の言う通り「海外のライセンスを取得している」というだけで100%信用していいわけではありませんが、一定の水準と信頼性で取引ができる取引環境があるということが少なくともできるでしょう。
■主なトラブル
出金トラブル
一番トレーダーとブローカーの間で起こりがちなトラブルが出金に関してのトラブルです。
これに関してはよほどライセンスがないか、評判の悪い企業を使っているのでない限り、その業者の取引規約に引っかかってしまったため出金できないという場合が大多数のようです。
例えば、業界最高水準の低スプレッドを達成しているLAND-FX(ランドFX)はライセンスとしてもニュージーランドのライセンスであるFSPとイギリスのFCAを取得しており、その信頼性について疑うところがないのにもかかわらず、多くのトレーダーが出金トラブルにあっています。
理由としてLAND-FXはスキャルピングを嫌っている傾向があり、取引基準が厳密なので、あまりにも早いペースで取引を繰り返すと禁止取引とみなされ出金拒否されてしまうケースがあ李ます。
せっかく利益を出しても出金で引っかかってしまっては元も子もありませんので出金周りに関してなるべくトラブルが出ていない業者を選ぶべきでしょう。
そしてこの出金トラブルが起こった場合には取引業者のカスタマーサービスに連絡しなければなりませんが、海外のFXなので基本的にはその国の言葉でサービスが展開されています。
もちろんほとんどの場合英語でもサービスを受けられますが、日本語のものがあるとは限りません。
英語が得意な方は大丈夫なのですが、そうでない方は日本語ザポートがあるかどうかというのは本当に重要な要素となってきます。
悪質業者もある
LAND-FXのように取引の基準が厳しいため出金トラブルがある場合が大多数だと思いますが、中には本当に悪質業者に引っかかってしまっている投資家の方もいます。
本当に注意した方がいのは本当にどこにも登録されていないFX業者でしょう。
そのようなFX企業は悪質な詐欺業者である可能性が非常に高いと言えます。
いくつかの企業は法人登録番号をさもライセンスであるかのように見せて、サイトページで登録業者のようなふりをします。
比較サイトなどで口コミ数が多く良い評価がされていたとしても、投稿者が勧誘のためのサクラという可能性もあるのでしっかりとライセンスの有無などのしっかりした情報で評価しましょう。
スプレッドの広さや入金ボーナス、サービスにつられて騙されないように本物のFX会社であるかどうか金融監督機関一覧をしっかりと確かめましょう。
財政危機や破産時の対応
出金トラブルに関連して、財政危機や破産時の対応に関しても多くのトラブルが報告されています。
例えば少し前のスイスフランショック時は多くのトレーダーが被害を被ったかもしれません。
ご存知ない方のためにスイスフランショックについて簡単に説明すると、2015年1月15日にスイス中央銀行のスイス国立銀行が行ってきた無制限為替介入を突然撤廃したことによるユーロスイス通貨の急変動、大暴落がありました。
この時ユーロスイス為替相場は一時41%ほどの大暴落をおこし、多くのスイスフラン建てをしている投資家は大損害を被りました。
この時、例えば、多くの日本国内FX各社はこの時損失分額の追加請求を要求してきましたが、ほとんどの海外FX業者は彼らの公言している0カット制度をきっちりと守り、マイナス分になったものをすべて0にリセットし、トレーダー側に追加の追証請求が行くことがなかったので、評価を得ています。
逆にこの時に、急に規約を変更し、約束を破り、例外的に追証を請求した会社もありました。
財政危機はFXをやっている以上避けようがない場合もあるのですが、このような事態が起こった時に過去に顧客財産に対し、どのような対応をしたのかどうかということが、その業者の信頼性を確かめる一つの基準と見ることができ、トラブルを未然に防ぐ方法ともなります。
日本向けの営業禁止
数年前になりますが、オーストラリアの企業で利用者が多く、大人気の海外FXブローカーThinkForexやPepperstoneも日本でのFX業務から撤退してしまいましたが、これらの業者も決して悪徳というわけではなかったのですが、これらも噂では日本の金融庁の圧力のせいと言われています。
このように最近の日本の金融庁から海外FX業者への圧力が強まりトラブルが多くなっているという話がFXサイトの記事の管理人や投稿者でしきりに取り沙汰されています。
このように急に、その企業のせいなのかどうかにかかわらず、日本向けの営業をやめてしまう可能性があるということは覚えておきましょう。
このような場合も信頼性のある企業ならばしっかりと顧客資金を返還してくれるので、やはりその企業の安全性、信頼性、ライセンスの有無というのはあらかじめしっかりと確かめるべきでしょう。
■金融先物取引業者に勤務中でも、海外FX取引を行えるのか?
単刀直入にいうと、残念ながら、金融先物取引業者に勤務中の場合は、海外国内問わず、個人でFX取引はできません。
厳密に言えば金融先物取引業務内部管理責任者または金融先物取引業務外務員の資格をとっているFX業者勤務者なのですが、FX業者に就職したばあい、ほぼ十中八九この資格が必要だからです。
もしこれをした場合は法律違反となります。
ただし例えば「清掃員としてFX業者に雇われている」など直接業務に関わっていない場合は例外になる可能があります。
■まとめ
「金融商品取引業」というものは厳密に金商法として日本の法律で定義されているものです。
つまり、国内FX業者による「金融商品取引業」と海外FX業者におけるライセンスの有無とは全く別物になるのですが、ではどちらかがあるのか、ないのかということと安全性、信頼性の有無はまた別の話になってきます。
例えば、金融商品取引業として運営している国内FXブローカーはNDDではなく、DD方式を採用しているという取引システムの中、顧客の注文にブローカー側が投資判断をし、実際に注文をしないなどの「呑み行為」ができるような環境になっていますが、果たしてこれが信頼性があるのかどうかということを考える必要があるでしょう。
最終的には、ライセンスは最低限の保障としてみておいて、やはりその企業の日頃の姿勢をつぶさに見ていくことが業者選びにおいて大事となってきます。