もくじ
海外FXのデメリットを徹底的に洗い出してみる
国内FXと比較して、海外FXの利用には多数のデメリットがあります。
海外FXについて検索して調べてみると、個人投資家の方が運営しているブログなどで、海外FXに対しての辛口レビューなどを見つけることができます。
しかし、辛口レビューと言っているわりには、そのブログ内容を見てみると、本当にこれが辛口なのか?と疑ってしまうような優しいレビューになっていることが多いです。
実際に海外FXを利用したことがあるのか?と疑ってしまいたくなるような、信憑性のないレビューも多々見かけます。
そこで今回は、海外FX利用歴が10年余りの私が、「海外FXは危険なので使わないほうがいい」という、かなり否定的な視点で、海外FXについてのデメリットを1つずつ解説していきます。
相当慎重な視点で、デメリットについて深堀して徹底的に解説していきます。
デメリット1■業者の詳細な会社情報を探せない
国内からですと、海外業者は実際にどの位の年間取引料があるのかといった基本的な情報を検索しても、なかなか必要情報を取得できない問題があります。
国内店頭FX業者ならば、年間の取引額や顧客数など基本的な情報をかなり得やすくなりますが、海外業者はどこかの国に上場でもしていませんと企業としての詳細情報が非常に取りにくいということになってしまいます。
資本金とライセンス保有国だけがわかって、はたして本当に取引して大丈夫なのかということは、実は判断できないケースが非常に多い点には注意が必要です。
当然、経営状態がどうなのかという点について判断がつきにくいところは非常に気がかりです。
たとえば国内で人気口座であるXMは、ホールディングカンパニーが存在しますが、FX事業における取引規模などは一切公表していません。
ですのでキプロスでどの位の口座があり、セーシェルに設立したエンティティでどれだけの口座が設定されているのか、預かり証拠金額がどれぐらいなのかといった、国内業者では簡単にわかる情報をネットでもまったく見つけることができない状況です。
デメリット2■日本語対応への不安
多くのメジャーな海外FX業者は日本語サイトを提供していたり、日本語対応サポートをしているのですが、やはり元が海外企業なので、日本語対応が十分機能していない企業もあります。
いざという時に日本人相手ではないことが、海外FX利用の不安点でもあります。
また日本語対応のヘルプデスクを設置しているところでも、その対応時間は制限があるため、問題が起きると基本的には英語のチャットもしくは電話でコミュニケーションが取れませんと相当リスクがあります。
とくに入金した資金が反映しないとか、フリーズしてしまって取引ができないといったクリティカルな状況に陥ると、最悪資金をすべて失うことにもなりかねませんので、英語でコミュニケーションができないことは命取りになりかねません。
英会話も大変ですが、チャットでリアルタイムで英語でやりとりをするのは、さらに英語力を必要とすることは覚悟しておかなくてはなりません。
英語がわからないがゆえに大損するなどという信じられないことも、現実に起こりうる可能性があるということです。
デメリット3■信託保全義務がない事への信頼性の不安
日本のFX業者は金融庁へ登録されているので、信託保全が義務化されていますが、海外FXの場合は日本金融庁の登録業者ではないので、信託保全の義務がありません。
例えば、万が一自分が利用しているFX会社が倒産してしまった場合に、預けている資金が全く戻ってこないこともありえるのです。
信託保全という制度は、FX業者が資金を信託銀行に分別管理し、もしものことが起きた場合でも、信託銀行経由で資金が自分の手元に返ってきます。
さらに信託保全という制度にも種類があります。
大きく分けて
「完全信託保全」
「一部信託保全」
「分別保管」
の3種類があります。
一番安心なのは、「完全信託保全」です。
「一部信託保全」や「分別保管」だった場合、証拠金の一部しか返ってこないことになります。
安全性を確保する上で、口座開設を検討している海外FX業者が、どういった信託口座に投資した資金を預け入れているかどうかを確認してみてください。
但し、信託保全の制度があるといっても、欧州ではEU自体がベイルインといって銀行のような公共性の高い機関の破綻であっても、利用者が応分の損失負担をすることを法制化して当たり前のようにしていますから、FX業者が破綻しても信託保全があるから安心と考えるのは、昨今の金融情勢からかなりかけ離れた発想であるということは理解しておく必要があります。
そもそも信託保全に供せられた個人投資家の資金は、業者破綻時には保全先からすぐに利用者に返金されるものではなく、あくまで管財人が判断してから返金されるという性格のものである点にも注意が必要です。
日本で考える信託保全と海、外業者がそれぞれの国の法規にあわせて施行する信託保全とでは、まったく異なるものになりかねないという基本認識が必要です。
場合によっては、業者自体がまさかの時のために保険会社と契約している賠償金制度のほうが、よほど信託保全より安心であったりもするのです。
デメリット4■海外送金手数料がかかる
海外FXはもちろん海外の口座となるので、海外送金が必要となります。
基本的に海外FXは出入金手数料無料のところが多いですが、海外FXブローカーとは関係のないところでかかってしまう手数料はたくさんあります。
国内業者における国内送金と比較して、海外送金は銀行の窓口でしかできません。
毎回窓口に行って送金フォームを埋め込みをするのは非常に面倒くさく、ストレスになってしまいます。
営業日外の日などもあるので、緊急の場合にも非常に困った事になってしまいます。
上記の理由も相まり、海外FX口座に入金した際に、証拠金の残高反映にも若干時間がかかってしまいます。
そもそも為替売買で利益を得ているにもかかわらず、その利益を通常のバカ高いコストの銀行などを経由して多額の手数料を支払い、返金してもらわなくてはならないというのは、実に理不尽な話でその送金コストなどを見ますとよほど儲かっていないかぎり、海外でFX売買をするメリットがないことがよくわかります。
どれだけ取引条件のいい海外FX業者を利用しても、利益部分の出金には確実に余分がコストがかかるのは大きなデメリットといえます。
デメリット5■投資資金を入金する際の不安
FXプリペイドカードやクレジットカード入出金方法もありますが、出金に関してはキャンセル扱い(返金扱い)となるため、入金した額までしか出金できないのです。
さらにカード会社ごとに最大利用限度額もあるため、クレジットカードでの大規模な額の入金には向いていません。
これは、決済方法として普及している電子決済会社のPaypalでもクレジットカードがベースとなるので同じです。
デメリット6■利益や証拠金の出金が難しい
以前ならば、ネッテラーという便利で安価なWeb送金サービスが使えました。
簡単に言えばe-wallet、オンラインウォレットのことであり、オンライン上で電子マネーを使って決済できる送金手段サービス、オンライン決済サービス、出金サービスの手段の一つとしてネッテラーがありました。
もちろん国や通貨を飛び越えて使える国際決済サービスともいえました。
送られてくるNETELLERカードというマスターカードのデビットカードでカード入金や、ATMから現金引き出しの機能もありました。
海外企業でありながら日本語対応もしており、非常に使いやすい送金サービスでした。
しかし、2016年9月15日にネッテラーは日本における顧客へのサービス終了のお知らせをだしました。
そして今では、ネッテラーで海外FX業者から出金をするのは極めて難しくなってしまいました。
これはAML(アンチマネーロンダリング)の法令遵守によるものです。
決してネッテラーが詐欺業者だったと言う訳ではないのですが、これの背景として、FX業者側の問題というよりは、日本人ユーザーの増加に伴う取引量の増加、セブン銀行ATM詐欺事件などから金融庁からの圧力が高まったとみられます。
日本の金融庁は、なるべく国内FX業者の口座開設をして欲しいという思惑と、税金の管理を簡単にしたいと言う思惑があるため、現在多くの海外の金融関係の規制を進めています。
投資家にとっては迷惑な話ですが、今のところは海外銀行送金で銀行口座へ送るのが現実的なようです。
また、国内では金融庁が海外FX業者を利用した取引を未登録業者の取引とみなしていることから、業者との間で支払いなどにトラブルが生じても、消費生活センターを含めてあらゆる公的機関が一切サポートして助けてくれないという大きな問題もあります。
デメリット7■スプレッドが広い
海外FX業者は国内業者と比べ、NDDのために取引手数料であるスプレッドが概して広いです。
なぜならば、国内FX口座ではDD取引のため、相対取引をしてそもそも実際に取引をしていない可能性があるので、取引をする間に発生するスプレッドというものがそもそも発生しません。
実際にちゃんと市場取引する場合もあるので必ずしもそうとは言い切れませんし、無料をいうわけではないのですが、概してその取引ごとのコストを抑えることが可能です。
そのため相対的にNDD方式の海外FX企業のほうが、平均して見た目のスプレッドが広めになってきてしまいます。
海外FXのECN取引と、STP取引の間のスプレッドを見ると、概してSTPのほうがスプレッドは広めとなります。
デメリット8■ノミ行為や不透明性がある
金融業者に非常に甘くライセンスを支給しているのがニュージーランドです。
そのような国に登録された業者は、本当にまともな業者として主要国で金融監督機関から厳密な審査を経て開業したライセンス取得業者とはかなり異なる存在で、企業を設立したら自動的に取得できるナンバーだけを開示してライセンス取得業者であると名乗っているものも少なくない状況です。
どこにもライセンスがなく、まともな金融機関と取引をしなくても、ハイレバレッジのFX業者としてやっていけるのにはひとつの大きな理由があります。
それは口座開設をして資金を投入して取引を始める個人投資家の、実に9割がほぼ3か月から半年程度で投入した資金をすべて失って退場していくからなのです。
したがって呑みで、どこにもカバーをしなくても、9割のユーザーは自滅して退場していきますから、たとえば10億の入金があっても9億円分は何もしなくても利益として確保できることになるのです。
たとえ残りの1割のトレーダーが総計で2億稼いだとしても、利益は8割残るわけですから、完全な放置ビジネスとなっている可能性がある点は非常に注意が必要です。
デメリット9■利益が総合課税(雑所得)になる
海外FX会社を活用していきたいという場合、注意しなければならないのは、税金です。
国内FX会社を通して生み出した利益は基本的に、一律の税金のみを支払えばそれでよいことになっています。
一方で、海外FXではその利益がすべて雑所得となるため、給与所得などの合算で支払う必要が出てくるのです。
所得税の合算による総合課税は、海外FXでの利益の金額が大きくなるごとに税率が変わり支払う所得税も大きくなります。
それでも、少額からの投資であれば海外FXのメリットは最大限に活かせるのではないでしょうか。
しかし、その最大所得税率は課税所得金額の50%にも及び、2000万の利益の場合半分の1000万に減ってしまうことを意味します。
法人口座を作れば半分ほどに減らすことも可能ですが、基本的には大きく税金として引かれることを覚えておかなくてはなりません。
デメリット10■損失の繰越ができない
FXでは資産を損失したとしてもその繰り越しは認められず、基本的には毎回その損失分が引かれていきます。
外国為替市場でFX取引業者は決済期限があり、通常2営業日に必ず決済を行わなければならないルールがあるためです。
FXでロールオーバーというものがありますが、これはドル円に限らず特定の為替でポジションを保有している際に24時間を境に次の日の取引へと繰り越すことです。
これを考えると、損失分の繰り越しができそうな印象を受けますが、マイナス分はもちろんこの限りではありません。
ちなみにロールオーバーが起こる時間ですが、基本的にはアメリカの時間が基準となります。
補足■ハイレバレッジによる危険性はデメリットではない
国内FX業者と比較して、海外FX口座でのFXトレードの魅力的な取引方法としてまず一番に上がるのは「ハイレバレッジ」でしょう。
例えば10万円証拠金を預けいれて、レバレッジが400倍だとしたならば4000万円の注文取引ができることになります。
このようなトレード方法において、大きな証拠金を使える事は大きなチャンスになるのですが、その分当たり前ですが、取引額が多ければ多いほどリスクは大きくなります。
つまりハイレバレッジにすればするほど強制ロスカットシステムが働く可能性が高くなり、口座残高が少なければ多くの損失をする可能性も上がってくるという事です。
しかし、このハイレバレッジがデメリットになるというのはおかしな話で、ハイレバレッジこそ、海外FXの魅力でもあるわけです。
ハイレバレッジだから危険、そしてそれがデメリットになるわけではないので、このハイレバレッジの危険性に関して、投資家自身の自己管理に委ねる部分となります。
【結論】デメリットを知りつつ利用を考える
以上のように、たくさんのデメリットを紹介しました。
人気の海外FX業者には信託保全もあり、スプレッドが狭い業者もあれば、日本語サポートの対応がしっかりしている業者もたくさんあります。
海外FXに対する上記のデメリットは、あくまで一般論であってそれは回避できるものなのです。
つまりどの業者も経営方針はまちまちで、すべてメリットとデメリットがあります。
今の自分の状況でFX投資家として、何が優先順位として上がってくるのかしっかりと考えましょう。
例えば取引ツールを使い、自動売買がしたいなら特定の機能がある業者を選ぶなどの決め方があります。
例えばゼロカット制度などは、ほとんどの国内業者が提供していない優れた制度です。
まずは自分なりのトレードスタイルを決めれば、自ずとどの企業が自分に適しているのかも決まってきます。
デメリットを理解しておくことは重要ですが、自分にとってプラスなる点を探して行く姿勢も大切となってくるでしょう。
特に国内で店頭FX業者のレバレッジがさらに下落することが金融庁から正式な規制として施行されることになれば、ハイレバレッジ取引は国内に全くないインセンティブとなることは間違いありません。
こうなるとデメリットとメリットを比較して、なにがプラスになるかどうかを考えるといった柔軟な発想が求められることになるのです。
損よりも得が増えれば、デメリットを乗り越えていくことができることになるという点にも、しっかり目を向ける必要がありそうです。