海外FX業者は、様々なタイプのFX口座を私達トレーダーに提供してくれます。
また、スワップポイントが全く付かない「スワップフリー口座」もそのうちの一つです。
スワップフリー口座は賛否両論ありますが、実際に内容がよくわからず手を出せていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、そんなスワップフリー口座の情報を徹底解説していきます。
もくじ
・スワップポイントとは?
スワップフリー口座を知るためには、まず『スワップポイント』の内容を知らなくてはいけません。
スワップポイントとは外貨預金の利息のようなものであり、低金利の通貨から高金利の通貨を買い、高金利の通貨のポジションを持つことで受け取る事ができる「金利差」をスワップポイントといいます。
また、勘違いされやすいのですが、スワップポイントはただの利息ではなく「金利差の利息」であるため、場合によってはプラスの利息ではなくマイナスの利息が生まれることもあります。
通常、銀行などに預金などを行なえば発生する利息はプラスの利息だけですので、通常の利息とは異なるという点には注意しなくてはいけません。
・スワップフリー口座とは?
スワップフリー口座とは、その名の通りスワップポイントの付かない口座のことを言います。
スワップポイントとは、前述の通りプラスの利息もマイナスの利息も発生する可能性がありますが、スワップフリー口座はそのどちらのスワップポイントも発生しなくなります。
・スワップフリー口座の活用例
スワップフリー口座はスワップポイントが発生しない口座と前述させて頂きました。
では、スワップフリー口座にはどのような活用方法があるのか?
それは、両建てを行なうことにより大きな効果を発揮することとなります。
両建てとは、ロングポジションとショートポジションの両方のポジションを持つことでどのように相場が動いても利損益が±0円となる投資法であり、本来はリスクヘッジなどを目的に用いられる事が多いです。
例えば、「豪ドル/円1万通貨のロングポジション」を持ったとしましょう。
するとスワップポイントが発生するので、ここでは毎日80円のスワップポイントが発生すると仮定します。
しかし、この程度のわずかなプラスでは、相場が少し動いただけで為替損益によってなくなってしまう可能性が高いです。
そこで、両建ての登場です。
今度は別の海外FX会社の口座で豪ドル/円1万通貨のロングポジションを持ちます。
すると、
『A社:ロングポジション:スワップポイント+80円』
『B社:ショートポジション:スワップポイント-80円』
という状況となります。
現状、どのように為替変動が起きても為替損益が生まれることはありません。しかし、スワップポイントも同様であり、限りなく±0となります。
しかし、このB社のショートポジションを「スワップフリー口座」にしてしまったらどうでしょう?
『A社:ロングポジション:スワップポイント+80円』
『B社:ショートポジション:スワップポイント±0円』
上記のようになり、為替変動リスクを受けることなくスワップポイントだけを受け取る事が可能となるのです。
また、ハイレバレッジを用いればスワップポイントも倍増するので、年利50%~100%といった高利の資産運用も数字上は可能となります。
・スワップフリー口座の種類
スワップフリー口座は大きく分けて以下の2種類に分けることができます。
①イスラム口座
イスラム口座とは、その名の通りイスラム教徒の方に向けた取引口座です。
実は、イスラム教徒は利子のやり取りが禁じられているため、スワップポイントが発生しないスワップフリー口座が設けられています。
また、イスラム教徒の方は世界中にいらっしゃるため、ほとんどの海外FXブローカーはイスラム口座を準備しています。
しかし、イスラム口座はイスラム教徒の方のために作られている口座ですが、日本人FXトレーダーが口座開設を行なえないわけではありません。
ですが、あくまで宗教上の問題にあてた口座なので、両建て(アービトラージ)を行なうことは禁じられており、発覚時には口座凍結等のペナルティが課せられる場合もあるので非常にリスクが高くなります。
②マイナー業者のもの
大々的に広告を打っているような大手海外FX業者などではなく、知名度の薄いマイナー業者などは集客目的でスワップフリー口座を提供しているケースがあります。
しかし、このような業者はライセンスを取得していなかったり、日本語に対応していなかったりと問題があるケースが多く、場合によっては「出金拒否」などのトラブルに巻き込まれてしまう可能性も否定できません。
一見すると魔法のような口座である『スワップフリー口座』ですが、基本両建ては禁止されており、ばれた際のペナルティは重く、尚且つ信頼性の低い業者のスワップフリー口座は様々なリスクがあるなど問題点が多いというのが実状です。
そのため、統計上は魅力的な口座ですが、実際にはそこまで有効活用はできないといえます。
・スワップポイント狙いの注意点
スワップポイントとは、前述の通り低金利国の通貨で高金利国の通貨を買うと発生する利息のようなものです。
また、日本は超低金利国であるため豪ドルなどの高金利に驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、安定した利益が見込めるように感じるスワップポイント狙いの取引も、以下のような注意点が存在します。
①スワップ利益は微々たるもの
スワップ利益というのはそもそも微々たるものです。
高金利の豪ドル円でさえ1万通貨あたり1日50円~80円といったところですので、年間では約18250円~29,200円程度となります。
勿論、「ポジションを保有しているだけ」という点だけを考慮すれば、「十分」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、スワップポイント狙いは他にもリスクが伴います。
②為替差による損益のほうが大きくなりやすい。
スワップ利益とは前述の通り微々たるものです。
そのため、為替損益で結局のところ「損失の方が大きくなる」といったケースは珍しくありません。
例えば、豪ドル円が90円の時に1万通貨ロングポジションを保有したとし、1年後に約2万円のスワップポイントを受け取ったとします。
しかし、その1年後に豪ドル円が87円まで下がっていたとすると、為替差損が3万円ですのでトータル1万円のマイナスとなるのです。
勿論、長期的に通貨が上昇トレンドを描いていけば為替損益とスワップポイントの両方で利益を得る事ができる可能性はありますが、そのような取引は上級トレーダーでも中々難しいです。
スワップ目的の取引は安定した取引のように感じますが、実際のところデメリットが多いというのが実状です。
また、金利は意外と変動するものであり、各国の経済状況や金融政策によっては支払いに転じる可能性もあります。
同じリスクを背負うならば、他の取引手法を用いたほうがリターンは大きいといえるでしょう。
・スワップフリー口座を利用する場合は要注意
スワップフリー口座は、利用法を誤ると口座凍結などのリスクが伴う口座となっていますので注意が必要となります。
また、スワップポイント狙いはリターンよりもリスクの方が大きいのであまりおすすめできません。
海外FXで大きな利益を狙っていくためには、為替損益による取引がおすすめです。