もくじ
■固定スプレッドとは?
固定スプレッドの話に入る前にスプレッド自体についておさらいしておきましょう。
国内FX業者と同様、海外FX口座開設の際には最大レバレッジ、日本語対応サポートの有無、入金、出金方法や、信託保全をしているかどうか、最低入金額、詐欺業者を見分ける金融ライセンスを取得しているかどうかなど、注意すべきポイントがいくつかあります。
スプレッドはFX口座開設の際に注目すべきポイントの一つで、株取引などでも共通して起こるものです。
さて、スプレッドとはもともと何かというと、ある注文をしてから実際に注文されるまでに変化した通貨量に対する損失分の支払いのことになります。
実はFX為替取引では注文ボタンを押したからと行ってその瞬間注文が決まるわけではなく、実際に注文が決まるためにはその後裏でいくつもの処理をしているのです。
そして本当に注文が決まるまでにはその為替の値が表示されていたものと若干変わってきます。
これが本来のスプレッドの正体で、今では取引手数料と同じような役割を果たしています。
つまり取引手数料往復が無料と書かれてあっても、スプレッドでトレードコストはかかってきます。
このようなことから約定力、約定スピードにも大きく関わってきます。
その意味でもFXトレーダーは、業者選びの際にスプレットの狭さというのは非常に大切な要素となってきます。
■固定スプレッドは業者によって作られた人工的な設定
国内業者の国内FX口座と比べて、海外FX会社はスプレットが一般に広くなっています。
これは利幅の設定に関する発想がかなりことなり、国内業者はとにかく競争上利用者の多いドル円などは徹底して見かけ上のスプレッドを狭くすることで顧客の獲得に漬かっているからで、小規模な売買では実際には存在しない原則固定というやり方でスプレッドを狭く設定して顧客に提供していまう。
一方海外業者の場合には、殆どの顧客からの注文取引は外部のカバー先に投げていますので、自社のマージン分を自動的に上乗せしていますが、国内の業者には存在しないボーナスのプログラムの費用捻出のためにスプレッドは広く設定し固定化していることがわかります。
平たくいえばボーナスポログラムは、結局のところ顧客自身がスプレッドのコストを負担することで提供されているということなのです。
いずれにせよ固定スプレッドというのは業者により人工的に生成されているもので、FX本来の取引上にはそのようなものは存在しません。
■通貨ペアによって固定でもスプレッドは異なる
またFX通貨ペアごとにスプレッドは全く異なってきます。
これは流動性の話に関わってきます。
流動性とは、その通貨の取引が活発かどうかを示すものです。
つまり流動性が高い通貨とは取引が活発に行われ、売買が容易な通貨と評価することができます。
反対に流動性が低いとはその通貨あたりの絶対数、取引量が少なく、売買がしにくい通貨となります。
そして流動性リスクについてですが、これによって取引がしたいときに取引ができないというリスクが高まってきます。
これは約定力、約定スピードやスリッページにも関わってくるのですが、ドル円やユーロドルなどは日常的に取引が多い、流動性の高い通貨ペアとなることから業者にとっては多くのカバー先も存在し、比較的狭いスプレッドを常時提供できる通貨となっています。
しかしクロス円などはドルストレートとドル円の掛け合わせによって無理やり作っている通貨ペアですから、そもそも実需の需要がないことから流動性はそれほど高い通貨とはいえず、スプレッドは通貨ペアによってかなり広がることがあります。
これはユーロ、ドルを中心とした取引の多い海外FX業者では特に顕著であり
国内業者では需要のあるユーロ円や豪ドル円などは、海外業者で取引すると非常にスプレッドが広がって設定されていることもありますので注意が必要です。
■スプレッドが一律で変動スプレッドに比べると高め
さて、スプレッドにはさらにいろいろな種類があり、固定スプレッドを採用しているFX企業では一度企業が提示したスプレッドが変えられずにそのまま継続していきます。
一方変動スプレッドは、スプレッドレートが常に変化していく取引システムになります。
他にもリアルタイムスプレッドというものがあります。
リアルタイムスプレッドはその名の通りリアルタイムでスプレッドが変わっていくため、FXトレードの間、時事刻々とスプレッドが広くなったり狭くなったりします。
本来カバー先10社なり20社なりが提示する常に変化するスプレッドを、アルゴリズムにより最適設定するのが取引の仕組みになりますから、常にスプレッドは変化するものですが、業者により平準化されているのが固定スプレッドですから、海外系の業者では結構幅広く設定されているのが実情です。
■固定スプレッドのメリットは損益までのラインが常に一定
固定スプレッドの最大のメリットは市場がどのような大幅な値動きをしても、一定のスプレッドなので、損失、利益予想が正確に出しやすく、資産運用としてのFXがより容易となります。
常にほぼ同じスプレッドが維持されていますからスキャルピングなどでも、どの位動けば利益がでるかが事前から認識できるのがメリットといえばメリットですが、固定スプレッドだから取引がしやすいというのは大きな錯覚で、本来はできるだけ狭いスプレッドが常に提供されたほうが利益は出しやすくなりますし、なにより取引コストがバカ高いという点では現実的なメリットは乏しいといえます。
■固定スプレッドのデメリット
固定スプレッドという取引き形態でも相場が大きく変動するときには、決して一定のスプレッドを保っていないのが現状です。
たとえば経済指標の発表や要人発言で急に相場が大きく動いたときは、海外業者が提供する固定スプレッドもかなり開くことがあります。
実はこれは国内業者でも同様で、全体時間の97%は固定とうたっていても残りの3%が驚くほどワイドスプレッドになるケースもあり、決して額面どおりのメリットが得られているわけではないことはあらかじめ理解しておく必要があります。
■海外業者はSTPは固定スプレッド、ECNは変動スプレッド
海外FX業者の口座を調べてみますと、同じNDDと呼ばれる社内にディーリングデスクをおかない外部カバー先利用の売買であっても、STP方式はほぼ固定スプレッドで完全にインターバンクにマル投げして別に取引手数料を徴収するECN方式は変動スプレッドを採用しています。
一般的にECN方式は取引単位が大きくなりますし、ボーナスなどのプログラムが外されていることも多くなりますから、少額でハイレバレッジの取引をするのであれば、固定スプレッドの口座を選ばざるを得ないというのが実情になっています。
主要な海外FX業者ではほとんどのところがこの2つのタイプの口座を設定していますので、トレーダー自身が選択することが可能ですが、本邦の個人投資家が喜んで使いやすい口座は固定スプレッドのものが多いといえます。
■まとめ
固定スプレッドは、FX業界では人工的に作られたもので、本来は変動スプレッドが基本です。
固定なら取引しやすいという見方もできますが、その分余分なコストを支払っているのが現実ですから、中身を見ますとそれほどうれしいものではない点はよく理解しておくべきです。
また相場が大きく変動するときには原則固定のスプレッドも大きく開いてしまうことがありますので、いつも固定していると思い込むのは危険です。
固定スプレッドは、利用者よりもむしろ業者にとって都合のいいことが多いものであるという理解も必要になりそうです。