国内FX業者と、海外FX業者が提供する取引環境にはメリット・デメリットがありますが、「明確な違いが分からない」という意見もあります。
2018年、金融庁は国内のFX業者すべて、もしくはその一部の店頭業者に対し10倍という過去にはないもっとも厳しいレバレッジ規制を導入しようとしており、個人投資家としては、改めて国内FX業者と海外FX業者が提供する取引内容を、精査すべき時期に差しかかってきていると言えます。
そこで、この記事では海外FXと国内FX(店頭・取引所)の違いを一覧にしてご紹介していきます。
海外FX業者と国内FX業者の代表業者でもある、XMとDMMを比較は、下記記事をご覧ください。
もくじ
■3分でわかる国内FXと海外FX
取引環境や条件比較で、海外FX業者が優位性をもっている部分はかなり少なくなりつつあるが、ハイレバとボーナスを提供する海外FX業者は、国内FXとの差別化に成功している。
国内FXを利用していて海外FXに移行すると、取引条件が酷く悪くなった印象があるが、実は国内業者の取引条件はかなり人工的に作り出されたもので、世界のスタンダードからはかけ離れている。
国内業者は、利用者の判らないところで利益を出している。
DD方式という、社内にデスクを置いた取引形態は実に不透明。
国内業者は、正直なにをやらかしているのかわからないので、業者と顧客の利益相反は必至。
8月13日のトルコリラ暴落で、国内一部業者はワイドスプレッドにさえならないという不可解な事が起こった。結局かなり呑みが行われているのではという疑問。
海外FXは、人の手間をできるだけ廃した効率的ネットビジネスで業者のため、作為的な取引き操作が発生しないのが大きなメリット。
2018年8月以降、海外FX業者の状況も一変。ESMAの規制で、海外FX業者のハイレバ、ボーナスという仕組みはかなり消失した。(EUではむしろ日本の国内業者レバ条件やプロモーション条件に準拠したような動きが顕在化)
明確な違いがあるのは、海外業者のゼロカットのみ。
ハイレバ、ボーナスを獲得するなら、規制の緩い国に本拠地を置く業者を使わざるを得ない
何を評価軸にして、また何を目的にして海外業者を使うのかに大きな変化が現れている。最終的にはハイレバとゼロカットが海外業者選択の大きな利用条件となってきている。
では、それぞれ項目ごとに詳しく解説していきます。
・最大レバレッジの違い
国内FX会社はレバレッジ規制があるため、最大でも25倍までしかレバレッジをかけてFX取引を行うことはできません。
さらに今年このレバレッジ規制が、店頭FX業者を中心として10倍にまで下落させる案が金融庁から示されています。
しかし、海外FX会社ならば国内の金融庁の規制の対象にはなりませんので、平均400~500倍のレバレッジをかけてFXトレードを行なう事が可能となっており、トレーダーが求めるならば1,000倍を超えるハイレバレッジトレードを行なうこともできます。
https://mokuzai-points.jp/2018/05/13/fx%E3%83%AC%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E8%A6%8F%E5%88%B6%E5%BE%8C%E3%82%82%E7%A8%BC%E3%81%92%E3%82%8B%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81/
・スプレッドの比較
一般的には海外FX業者よりも、国内FX業者の方がスプレッドは狭いと考えられています。
しかし、「スプレッドの狭い国内FX業者の口座を開設しよう」と安易に考えるのは大きな間違いです。
そもそも、海外FX業者が国内FX業者よりもスプレッドが広いのは、ほとんどの海外業者がNDD方式という透明性の高い取引方法を用いているためなのです。
NDD方式は、トレーダーの注文をディーラーが仲介することなく直接カバー先の金融機関に流し、業者の利益もスプレッドのみと明確なため、トレーダーは透明性の高い取引を行なう事が可能となります。
ですが、DD方式を用いている国内FX業者の場合、トレーダーに提示するレートから注文を約定させるか否かまで、全てにおいて業者の裁量が入る余地があり、少なくとも明らかにDD方式よりも取引の透明性は低いと考えられています。
また、注文を直接流すことのないDD方式は、相場が急変した際に『リクオート』や『スリッページ』が発生する可能性も高く、トレーダーは様々なリスクを背負いながら取引を行なわなくてはいけないのです。
スプレッドが狭く、透明性の低い国内FX業者か、スプレッドが多少広くても、透明性の高い取引方法を採用している海外FX業者か。
どちらがいいとは一概には言えないですが、少なくとも取引手数料の高低だけで業者を決めることはあまり推奨できません。
今後レバ10倍規制が現実のものになりますと、これまで年間5000兆円を超える取引規模であった国内FXは投資家が証拠金を増やさないかぎり、取引規模が大きく縮減することが考えられ市場規模は足元の4割程度まで落ち込むことが予想されています。
このレバ規制は取引所FXには適用されないという見通しもありますが、市場の99%を占めていた店頭取引から個人投資家がどれだけ「くりっく365」に移行してくるかははっきりしておらず、結果的にFX取引そのものが廃れてしまうリスクも高まりそうです。
これまで薄利多売が実現していたからこそ狭いスプレッドを提供してきた店頭FX業者もその多くが、今後今まで通りのビジネスモデルを提供できなくなり、海外FX業者と同等の広いスプレッド設定へと移行することも十分に考えられる状況です。
実際問題として、取引所FXの「くりっく365」が顧客に提供している足元のスプレッドは既に海外業者の提供するスプレッドよりも広い状況で、取引条件は相当悪いことがわかります
したがって今後は、国内業者がスプレッドで有利という話はなくなる可能性もでてきているのです。
・約定力の違い
海外FX業者は、国内FX業者比較すると非常に約定力が高いです。
では、なぜ海外FX業者の方が約定力が高いのか?
その理由は採用している取引方法にあります。
海外FX業者が採用しているNDD方式は、注文を直接カバー先へ流すため余計な介入がなく約定率が高くなります。
しかし、国内業者が採用しているDD方式は、場合によっては「注文拒否」や「リクオート」など、業者が注文に介入してくる可能性もあるのです。
そのため、国内業者は海外FX業者よりも約定力や約定率が低くなると考えられています。
また将来的にはレバ規制による市場縮減の影響を受けて国内業者もコストを軽減するために、多くがDD方式からNDD方式のSTPタイプへと移行する可能性がでてくる可能性が十分に考えられます。
この場合には約定力にも変化が現れるものと思われます。
・追証の有無
追証は、FX取引を行なうにあたって最も怖いシステムといっても過言ではありません。
追証とは、大きな損害を出してしまい証拠金が不足した際に発生するシステムです。
取引口座へ追加入金を行なわなければ、ポジションは強制決済され、それでも資金が不足していた場合はトレーダーの借金という形で残ります。
通常ならば、いくらレバレッジをかけて取引を行なっているからといって、借金が残るような大きな損害が出ることは稀です。
しかし、近年で言えば「リーマンショック」や「スイスフランショック」など、予想を遥かに超えた、市場を揺るがす大きな出来事があった場合話は別です。
事実、多くのトレーダーが借金を残して市場から退場していきました。
それほど恐ろしい追証の存在ですが、あくまで追証を採用しているのは国内FX業者のみであり、海外FX業者はそもそもこの追証というシステムは採用していません。
そのため、海外FX業者を利用すれば追証という存在に気にすることなく、思い切ったFX取引を行なう事が可能となっているのです。
今年実施が確定しそうなレバ10規制が実現したとしても、相場の大きな下落により証拠金を上回る損失がでるリスクは変わりませんので、国内業者で取引していく限り追証の問題は引き続き継続した大きなリスクとなることは間違いありません。
・ゼロカットシステムの有無
海外FX業者を利用してFX取引を行なっていく場合、取引口座の資金以上に損失がでることはありません。
なぜならば、海外業者は『ゼロカットサービス』を採用しているからです。
ゼロカットサービスとは、トレード口座の口座残高以上の損害が出た場合でも業者が負担してくれるというカットシステムです。
そのため、いくら為替市場に大きな動きがあり多大な損失を受けたとしても、口座の資金は最悪「0円」になるだけであり、借金が発生することもないのです。
しかし、国内FX業者の場合はそうはいきません。口座の資金以上の損失が出れば、その分を補う義務が発生してくるので、追加入金が不可能となれば借金となってトレーダーに残ります。
「ゼロカットサービス」と「追証無し」は、海外FX業者ならではのメリットです。
国内でもこのゼロカットを検討するといった話が金融庁周辺から出始めているようですが、国内業者はいかなる取引でも顧客に損失を補填しないという基本発想があるかぎり実現は望み薄で、今後ともゼロカットシステムは海外FX業者だけに設定されたサービス内容となりそうです。
・取引プラットフォームの違い
国内FX業者のプラットフォームは、ほとんどが自社プラットフォームを提供しております。
しかし、海外FX業者の場合はほとんどの業者が共通して世界でも人気とトレードツールである「MT4(メタトレーダー)」を採用しており、トレーダーは無料でMT4を利用する事ができるのです。
また、MT4ではEAをセットすることにより「自動売買」を行なう事ができますが、ほとんどの国内FX業者では不可能となっています。
そのため、自動売買を目的とするならば海外FX業者の方がおすすめです。
この国内店頭FX業者による独自プラットフォーム開発と提供も、今後レバ10倍規制の実施で国内FXの市場規模が6割近く縮減するような危機的状況になれば、自社プラットフォームを断念するところも現れる可能性が高く、世界に類を見ない国内業者ならではの質の高いプラットフォームサービス提供が終焉するリスクも高まっています。
海外業者がほぼ一律にMT4を利用するのは、こプラットフォームがシェアウエアで開発一切金がかからないからで、今後日本でも取引プラットフォームには変化が現れる可能性も考えられます。
なお、取引所FXの「くりっく365」のほうは市場規模も小さく、積極的に自社プラットフォームの開発に勤しむ業者はほとんど存在していません。
・利益にかかる税金の違い
FX取引で得た利益には国内FX、海外FX問わず税金がかかってきます。
しかし、両者の税率は異なってくるので注意が必要です。
国内FX業者の場合、利益額に関わらず税率は一律20%となっていますが、海外FXの税率は利益額によって変動し「15%~50%」の税金が課せられることとなります。
また、両者を比較すると、控除の豊富さから国内FXの税金の方が若干優遇されていると言われています。
・入出金方法の比較
国内FX業者の場合、ネットバンキングなどから簡単に入出金を行なう事が可能となっています。
しかし海外FX業者の場合、「クレジットカード入金」や「国内銀行送金」など入出金方法は豊富ですが、それでも手数料の高い「海外送金」を利用せざるを得ない場合は多く、この入出金時に発生する手数料の大きさは海外業者の大きなデメリットといえます。
・信託保全への信頼性
日本の金融庁へ登録を行なっている国内FX業者は、信託保全を行なう事が義務付けられていますので、万が一業者が倒産したとしても顧客の資産は守られます。
しかし海外FX業者の場合、信託保全を行なうか否かは業者の判断に委ねられていますので、絶対に信託保全が行なわれているわけではありません。
そのため自分の資産を守るためにも、海外FXの口座時開設時には信託保全の有無をしっかりとチェックする必要があります。
但し、信託保全という制度は国内では店頭FX業者に必須の仕組みにはなっていますが、万が一FX業者が破綻したときに、そのまま保全先から預託資金が自動的に返金される仕組みではありません。
あくまで業者の事業資金とは分別されて第三者の金融機関に信託されているだけですから、資金の返還は破綻した企業の管財人が決定することで、返還にもそれなりの時間がかかるものであることもよく理解しておくべきでしょう。
・サポート体制
国内海外問わず何か問題が起きた時に備えて、サポート体制が充実した業者を利用することはFX取引を行なっていく上で重要です。
基本的に、国内FX業者のサポート体制は総じて高いといえるので、よほど対応が悪い業者を利用しなければ問題ないといえます。
しかし海外FX業者の場合、国内FX業者のように対応がいいだけではなく、そもそも日本語に対応しているか否かを調べる必要があります。
今では多く海外業者が日本人に向けたサービスを開始していますが、全ての業者が日本語に対応しているわけではないので注意が必要です。
■国内FXと海外FXの比較まとめ
以上、国内FXと海外FXを比較してきました。
国内FX | 海外FX | |
最大レバレッジ | 25倍 | 平均500倍 |
スプレッド | 狭い | やや広い |
約定力 | 悪い | 良い |
追証 | あり | なし |
ゼロカットシステム | なし | あり |
取引プラットフォーム | 独自 | MT4 |
利益にかかる税金 | 20% | 15~50% |
入出金 | 簡単 | 難しい |
信託保全の信頼性 | 安心 | やや不安 |
サポート体制 | 安心 | 日本語
対応業者あり |
どちらの業者を利用したとしてもメリット・デメリットがあるので、業者を選択する際には情報を把握し、納得した上で口座を開設するようにしましょう。
とくに今後は、国内の店頭FX業者とFX取引所の二つと、さらに海外FX業者を比較してみることが極めて重要になることはあらかじめ理解しておくべきでしょう。
海外FX業者と、国内FX業者の代表業者でもある、「XM」と「DMM」を比較したので、下記記事もご参考ください。