国内の店頭FX業者が、DD方式という自社内にディーリングデスクをおいて、顧客のオーダーと反対売買も辞さないという世界的にも珍しい特別な取引方法を採用しているのに対し、ほとんどの海外FX業者は、NDD方式(ディーリングディスク)による透明性の高い取引を行なう事が可能となっています。
実はFX業者を比較したときにはもっとも大きな違いであり、レバレッジとボーナスだけが注目されやすい海外業者の非常に重要な特徴のひとつでもあるのです。
このNDD方式にも、2つの異なるものが存在しており、その違いはかなり大きなものがあります。
海外FX業者を利用するにあたっては、この違いを業者選択の段階でよく理解しておくことが非常にプラスに働くのです。
ということで今回は、このNDD方式におけるECNという仕組みを解説していくことにいたします。
「ECN採用の主要海外FX一覧」
もくじ
■ECN方式とは?
ECN口座とは、「Electronic Communications Network(エレクトロニック・コミュニケーションズ・ネットワーク)」の略であり、和訳すれば「電子取引所取引」と呼ばれるものです。
ECN口座は、その名の通り全ての取引プロセスをインターネット上で複数をインターバンクと結び、アルゴリズムが最適な取引を実現するという電子FX取引にあたります。
そのため、物理的な取引所というものは存在しません。
ECN口座とは、FX業者がバーチャルに設定された取引の場所を提供し、参加者(銀行や海外ブローカー、個人トレーダーなど)がその場所で注文を出し合うこととなります。
また、各注文状況は板情報として参加者が確認しながらFX取引を行なう事が可能であり、自分が納得いった価格で注文を出し、お互いがその価格で合意すれば売買が約定となります。
簡単に説明すると、トレーダー同士がオークション形式で外貨注文を行っているイメージです。
ちなみにECN方式は日本の株式投資と同様のシステムなので、株式投資の知識がある方はそちらをイメージして頂ければ分かりやすいでしょう。
この取引方式は完全に参加者同士で行なうため、海外FXブローカーが基本的に介入する事がなく透明性が非常に高い事が特徴的です。
海外FX業者も取引手数料として利益を得るので、お互いがWinWinの関係となる取引方式となっています。
■ECN口座のメリット
ECN口座には様々なメリットが存在します。
最適な口座選びを行なうためも、どのようなメリットがあるかを知っておきましょう。
① 板情報がわかる
ECN口座は、板情報と気配値を見ながら取引を行なう事が可能です。
「○○円で買いたい人が△△人いる」といったように「各レートの注文量」や「カバー先の取引内容」を確認しながらFXトレードを行うことができます。
また、板情報がわかるということは、
「情報が明確なため透明性が高い」
「買い注文の量と売り注文の量を見ることによって、今後の値動きを予測できる」
などといったメリットがあります。
買い注文が多ければ「レートが上昇しそう」、売り注文が多ければ「レートが下降しそう」といった具合に予測する事が可能です。
勿論、板情報をそのまま鵜呑みにすることは危険ですが、情報が増えることは取引を行なっていく上で相場の動向を常に把握できるだけにかなり便利な仕組みといえます。
② スプレッドが狭い
ECN口座は、スプレッドが狭いです。
また、取引手数料を加味したとしても、STP口座よりも安くなるケースがほとんどです。
(※STP口座とは?)
ECN口座の手数料が安い理由としまして、インターバンクのそのままの価格で取引が行なえるというという事が第一の理由といえるでしょう。
また複数のインターバンクが出してくる価格の中で、もっとも最適なものをアルゴリズムが瞬時に見つけ出してマッチングをはかることも狭いスプレッドの実現に寄与しています。
最小スプレッドは0.0pips~という業者もありますので、かなり狭い事が分かります。
短期売買を好むトレーダーの方にとってECN口座は、特に有利な口座といえるでしょう。
③ スリッページがない
そもそもスリッページとは、為替相場の変動等によりトレーダーが注文した価格と、実際に約定した価格にかい離が生じる現象です。
しかしECN口座の場合、参加者同士で直接売買を行ない決済するため、スリッページが起きる事がありません。
約定スピードそのものも早く、満足のいく取引を実現可能となるのです。
そのため、ECN口座では自分が求めている価格で売買を行なう事が可能となっているのです。
④ リクオートなし
リクオートは、トレーダーが出した希望の価格での注文を業者側が拒否し、新たに業者が価格を提示してくることをいいます。
また、その場合ほとんどのケースで業者は元値よりも悪い数字を提示してくるため、当然ながらリクオートは発生しないほうが好ましいです。
ですが、スリッページと同様ECN口座ならば、リクオートも発生することはありません。
理由も同様、参加者同士で売買し業者が介入する事がないからです。
そのためECN口座なら、「スリッページ」や「リクオート」といった想定外の事が発生しないトレードを行なう事ができます。
このように、沢山のメリットがあるのがECN口座です。
ここだけを見てみるとメリット一辺倒な口座のように見えますが、当然ながらデメリットも存在します。
では、どのようなデメリットがECN口座にはあるのでしょうか?
■ECN口座のデメリット
① 取引手数料が有料
通常FX業者は、取引手数料がかかりません。
その代わりにスプレッドとして利益を徴収しており、そのためレートはスプレッドが上乗せされたものが提示されます。
しかし、ECN口座の場合取引ごとに手数料が発生します。
その分スプレッドはかなり狭くなっていますが、取引を行なう場合は手数料を含めた実質のスプレッドがどれほどなのかを把握した上で取引を行なわなくてはいけません。
基本的に、ECN口座は取引コストを加味したとしても標準口座(STP口座)と比較すると平均スプレッドは狭くなるよう設定されています。
しかし、絶対ではないので注意が必要です。
需給の問題で売買に流動性が確保されない時間帯や時期になりますと当然のことながらスプレッドが広がることもありうる点はあらかじめ理解しておくべきです。
② 最低取引通貨量が大きい
ECN口座の最低取引通貨量は基本的に高めに設定されており、中には「10,000通貨」に設定されている業者もあります。
そのため、少額でコツコツ取引を行なう方や、海外FX初心者の方には不向きな口座といえるでしょう。
1000通貨単位というのは個人投資家が少額でも取引しやすいように、無理やりFX業者が作り出した売買単位でもありますので、最低が1万通貨でもやむを得ない状況といえます。
■ECN口座が向いているトレーダー
ECN口座での取引が向いているトレーダーは以下のような要件を満たしている方といえます。
① 取引量が多い人
ECN方式はSTP方式と違い、ブローカーが注文をマッチングするわけではありません。
そのため、どんな大口取引でも歓迎されるのです。
100万通貨以上の取引も問題なく行なえます。
ブローカーが間に入るSTP方式ですとあまりにも大きなオーダーは成立しないという不思議なことも起きてしまうのですが、ECNであればそうした心配はいらなくなります。
② スキャルピングする人
ECN取引は、取引手数料を含めてもスプレッドは常に最適化されますので狭いといえます。
ですので、スキャルピングを行なう方にとっては、非常にメリットの大きい口座なのです。
しかも、前述の通りハイレバスキャルピングを行なうことも可能であり、EA(自動売買ソフト)を利用したスキャルピングもどんどん取引できます。
実際の取引は最小限のスプレッドを実現し、その取引に伴う手数料は外だしで業者に支払うというのは何もかも込々で幅広いスプレッドのSTP方式の売買よりもかなり透明感が強く納得のいくものとなることがわかります。
■取引量が多いECN業者を選択するのが有利
ECN口座は、取引量によって約定力が左右されます。
取引量が多ければ多いほど流動性が高くなり、注文がマッチングする可能性や約定スピードも上がります。
しかし、逆に取引量が少なければ理論上はいつまでも注文のマッチングは行なわれません。
勿論、そのようなケースは稀でありほとんど起きることはありませんが、ECN口座を開設するならば、口座開設数が多い海外FX業者の方がおすすめとなります。
とくにユーロドルなどは海外業者のほうが圧倒的に流動性が高くなりますので特に有利といえます。
■経済指標発表時にはECN口座が有利
STP取引口座を利用している場合、経済指標発表時にはスプレッドが広がり、スリッページが発生してしまう恐れがあります。
ですが、ECN取引口座ならばスリッページが発生する心配がないので、気にせず取引を行なう事が可能であり、しかも経済指標時には取引量も増すので流動性も高まります。
そのため、約定力もグッと上がりどんどん有利に取引できるようになるのです。
ただし大きな暴落などが起きるとインターバンクでも値が出ないこともありますから、どんな状況でも有利と断定してしまうのは禁物です。
■結論: 上級者にはメリットの多いECN口座
ECN口座は、スプレッドの狭さやスリッページや、リクオート無しなど非常にメリットの多い取引口座です。
最低取引量が大きいので、あまり初心者には向かない口座ですが、取引に慣れている方には非常におすすめの口座となっています。
また業者が全く介入しないので、透明性が高い取引を行なう事が可能です。
簡単に言えば、家にいながらにしてインターバンクと直接取引ができる仕組みを手に入れることができるものと理解できるものです。
ほとんどがDD方式を採用している国内FX業者ではまったく実現できないようなメリットを、海外FX業者は私達トレーダーに提供してくれるのです。
取引き単位は大きくなりますが、逆にレバレッジが大きい業者を利用すれば取引コスト自体はかなり小さく抑えることができますので、まさに海外FX業者を利用するメリットはここにあると言っても過言ではありません。
プロアクティブな取引をFXで実現するならば、迷わずECN口座を利用するのがお勧めとなります。
ちなみに現在ECNが利用できる、主な海外FX業者の口座アカウントは以下のようになっています。
FX業者名 | 口座名 | 取引き手数料(PIPS) | |
AXIORY | ナノスプレッド口座/MT4/ECN | ナノスプレッド口座/cTrader/ECN | 0.3 |
FxPro | cTrader口座/ECN | 0.45 | |
TRADEVIEW | ILC口座(MT4)/ECN | cTrader口座/ECN | 0.25 |
TitanFX | Zeroブレード口座/ECN | 0.35 | |
LAND-FX | ナノスプレッド口座/MT4/ECN | ナノスプレッド口座/cTrader/ECN | 0.3 |
XM | XM ZERO | 1.0 | |
FBS | ECN | 0.6 |