国内のFX投資家の、実に9割がドル円の通貨ペアを選択して取引を行っています。
これは外貨としてドルがもっとも馴染みが大きいうえに、メディアでのドル円に関する報道が多く、情報が豊富であることがその選択要因の一つでると考えられます。
このドル円を海外FXでも取引するべきなのかについて、今回は考えてみることにします。
もくじ
■海外FXドル円の取引のメリット
FXの証拠金取引ではハイレバレッジを用いた取引システムが魅力ですが、通貨ペアがたくさんありすぎてどの通貨ペアで通貨取引を始めたらいいか迷われる方も多いと思います。
①取引量が多い
まずドル円のFX取引の特徴を挙げるとすれば他の通貨ペアと比べて圧倒的に取引量が多く、世界中のFX取引で見ますとユーロ圏をカバーするユーロドルに次いで18.3%のシェアを持っています。
そのため通貨の流動性が極めて高く、約定スピード、約定力が強いこと挙げられます。
これによりスプレッドを狭く保つことができ相対的に取引手数料を抑えることができます。
また、まずどの業者で取引口座を開設しようとドル円を取り扱っていない業者を探す方が難しいので、どの業者を選んだとしてもこの取引を開始することができます。
片方が円であるため入金や出金方法も簡単で、銀行口座などの国内銀行送金からトレード口座に円で入金して、最終的に円に戻せばいいので為替手数料も抑えることができます。
これは国内FX業者の国内口座でも海外FX業者でのFXトレードでも変わるものではありません。
②比較的値動きが小さい
ドル円の通貨ペアは歴史的に見ても大きく値動きした通貨ですが、現在のところFXレートは非常に落ち着いていて、この二つの通貨間の値動きは他と比べて非常に小さいと言えます。
なので最大利益が生み出せるというわけではないですが、大きな損失する可能性も抑えることができます。
なので比較的長期にわたってドルを保有するようなロングポジションをリスクを抑えながら取るなどの長期取引を中心とした取引方法が可能です。
このことはまだFX口座に投資金を大量につぎ込むできないFXを始めたばかりのトレーダーにとっても証拠金維持率、つまり必要証拠金を保ちやすいので、入金額も少なくても始められるという意味合いでメリットとなります。
③重要指標発表時はチャンス
このようなことから通常の値動きで利益を生むのは少し難しい通貨ペアであるとも言えます。
なのでこの通貨ペアで利益を出すには重要指標発表時がチャンスと言えます。
日頃は安定していて重要指標発表時のみチャートが動きやすいという特徴から、戦略的に計画を立てれるFX投資家からは人気の通貨となっています。
■海外FX業者ごとのドル円平均スプレッド
それでは各FX会社ごとに、スタンダード口座のドル円の平均スプレッドを見ていきます。
ここで紹介する業者は、詐欺業者などではなく金融ライセンスを保有した信頼できる企業ばかりです。
そして基本的に海外FXブローカーは、日本FX業者と比較してスプレッドが狭いことが魅力です。
スプレッドはその時々で刻一刻と変化していくので、平均スプレッドで見ていきます。
STP口座のドル円平均スプレッド
XM(エックスエム)マイクロ口座 STP変動: 1.7
XM(エックスエム)スタンダード口座 STP変動: 1.7
XM(エックスエム)スエグゼクティブ口座 STP変動: 1.7
Axiory(アキシオリー)スタンダード口座 STP変動: 0.9
TitanFX(タイタンFX) スタンダード口座 STP変動: 1.3
LAND-FX(ランドFX) ライブ口座 STP変動: 1.2
TradersTrust(トレーダートラスト) スタンダード口座 STP変動: 2.1
TradersTrust(トレーダートラスト) 低スプレッド口座 STP変動: 1.5
FXGLOBE (FXグローバル) スタンダード口座 STP変動 : 1.2
FXGLOBE (FXグローバル) アルゴゼロ口座 STP変動 : 0.7
ECN口座のドル円平均スプレッド
()内はECN手数料込み
XM ZERO口座 ECN変動: 0.3 (1.3)
Axiory(アキシオリー)ナノスプレッド口座 ECN変動: 0.4(1.0)
TitanFX(タイタンFX) ブレード口座 ECN変動: 0.2(0.5)
LAND-FX(ランドFX) ECN口座 ECN変動: 0.9(1.5)
TradersTrust(トレーダートラスト) ECN口座 ECN変動: 0.4(0.9)
ACEFOREX(エースフォーレックス) マイクロ口座 ECN変動: 1.2
ACEFOREX(エースフォーレックス) スタンダード口座 ECN変動: 1.0
ACEFOREX(エースフォーレックス) VIP口座 ECN変動: 0.8
FXGLOBE (FXグローバル) アルゴゼロ口座 ECN変動 : 0.7
FXGLOBE (FXグローバル) ECN プロ口座 ECN変動 : 0.6(1.0)
となります。
スタンダード口座平均スプレッドでは手数料無料となりますが、ECNではそうではないため取引ごとの手数料を加味しなければならないので、()内の数字が実質的なコストになります。
■ドル円に関する重要指標
米雇用統計
これはアメリカでどのくらい多くの人が働いていて、どのくらい多くの人が失業しているのかを示す指標で毎月発表されます。
これには全部で10つの項目があり、特にFXに関係するものは非農業部門就業者数と失業率になります。
アメリカは国民1人1人の消費がGDPの約7割を占めていると言う国柄もあるので、その国民一人一人の経済状態、すなわち雇用状態がアメリカの経済に非常に大きな影響を与えます。
これはFXトレーダーにとって、さらにドル円通貨ペアで取引をしているFXトレーダーにとって大変重要な指標となってきますので毎月必ずしっかりサイトなどでチェックしましょう。
米小売売上高
この指標も米雇用統計と並んで非常に重要な経済指標となってきます。
アメリカの百貨店やスーパー等の小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査をベースとした景気の経済指標となります。
毎月第2週に前月の統計を発表することになります。
上にも述べた通りアメリカは国民1人1人の消費がGDPの約7割を占めているので、個人の消費がわかることによりアメリカの経済の動向がわかるという点において、米雇用統計と同等の価値を持ちます。
これもドル円FXトレーダーならばしっかりとチェックしましょう。
FOMC
FOMCはアメリカの金融政策を決定する会合のことで、6週間毎の火曜日に年8回開催されます。
その他にも金融危機などの際には必要に応じて臨時で開催されます。
マネーサプライ(通貨供給量)の調整や金利・為替レート、FF金利(フェデラル・ファンド金利)や公定歩合などアメリカ経済に関わる需要事項を決定するため、この後にトレンドが変わったり為替の値動きが起こりやすいです。
米大統領選
最近では大統領がオバマ大統領からドナルド・トランプ大統領に変わりましたが、このアメリカ大統領が変わるということはアメリカ経済に多大な影響を及ぼします。
これも世界でアメリカ大統領戦が非常に注目されている要因の一つともいえるでしょう。
アメリカ大統領は強いリーダーシップがあり発言権が強く、大統領の一声で金融も含め政策ががらりと変わってしまいます。
どちらの党がどちらの通貨をサポートしているかなど、FXトレーダーは日頃から記事サイトなどで米大統領選を注意深く見守らなくてはなりません。
■円建て口座とドル建て口座を比較
海外FXには日本の個人投資家の利用を強く意識して、円で入金しそのまま円建てで取引できる口座を用意している業者がいる一方で、ドル建てかユーロ建ての口座しか用意していない業者も存在します。
ハイレバレッジを提供してくれて魅力的だから、ドル建てで取引きしても仕方ないと割り切る国内の個人投資家もそれなりにいるようですが、国内に居住されていて、日本円で口座に入金し、利益がでたら日本円で国内に戻すことを基本とする個人投資家にとっては、ドル建て口座の利用は途方もなく損失を生じるものになり、本来であれば為替取引のために選択するのはナンセンスともいえるような存在なのです。
上の図は、円建てとドル建てによる入金、出金時の違いを示したものですが、円建てであれば日本からの入金は円建てで、業者も円で資金を受け取り口座にそのまま入金してくれますから、一切無駄なコストはかかりません。
また出金時には円として出金されますので、仮に一番コストのかかる銀行経由の海外送金でも円送金扱いとなるため着金までのコストがセーブできるのが大きな特徴です。
銀行への手数料支払いは発生しますが、着金時にドルを円に両替するコストはかかりません。
一方、ドル建て口座の場合には、まず日本から円で入金した場合、業者に資金が到着した段階でドル転しますので、まずここで両替手数料が発生することになります。
FX業者の両替ですから入金時には大きな手数料は発生しませんが、出金時にはドル建てで資金を海外から送金してくることになることから、銀行経由の場合国内で着金して口座に振り込まれる段階で銀行の為替レートが適用となることから、非常に不利な両替が適用されてしまうことになります。
ドル円なら平気で1円以上のコストがかかることになりますから、せっかくFXで稼いだ利益なのに通常の銀行の為替手数料を支払って国内口座に戻さなくてはならないという実に理不尽なプロセスを経ることになります。
為替に詳しい投資家ならば絶対に利用しないのがドル建てのFX口座ということになります。
■円口座を使える海外FX会社
円建て口座に関しては、日本人投資家を積極的に取り込もうとしている海外FX業者は上の表のようにほとんどが、ドル建て、ユーロ建て、ポンド建てと同様に円建ての口座を開設できるようになっています。
eToroとFBSは残念ながら円建て口座がありませんが、eToroはコピートレードが可能ですし、FBSは3000倍のレバレッジを利用できることからあえて口座を開設されるトレーダーも見受けられる状況です。
■ドル円チャートの確認方法
ドル円に限ったことではありませんが、チャートを確認する場合、長い時間足からチェックしていくことで、相場にトレンドが出ているかどうかをまず認識していくことが重要です。
月足、週足、日足から4時間足、1時間足などを見て、スキャルピングをするならばさらに5分足、1分足をチェックしていくことになります。
また前日の高値、安値、終値をチェックしておきますと、相場の動き次第では順張りでついていくか逆張りでエントリーするかを判断する重要な材料になることを覚えておく必要があります。
ドル円の場合1日に動くのはよほど特別なことがないかぎり1円未満であることが殆どで、日足以上のチャートでトレンドがでるのは大きなものは年に2回程度で、あとはほとんどがレンジ相場になっていることが多いのが実情ですから、日足でトレンドが確認できない場合には、ごく短い時間足をチェックすることでエントリーポイントを確保する作業が必要になります。
■まとめ
ドル円は日本人がFXを始めるにあたって非常に親しみやすく、その安定性から売買をする上で非常に取り扱いの楽な通貨でもあります。
経済の重要指標に注目して、戦略的に取引を進めればかなり手堅く儲けを取ることが可能です。
両方とも世界三大通貨のうちの一つであり、FXを含めた経済のことを勉強するにあたって、FX初心者が口座開設時にまず始める通貨としておすすめできる通貨ペアであるといえるでしょう。