まずネッテラー(Neteller)とはなんだったのでしょうか?
ネッテラーはロンドン証券市場上場会社であるPaysafe(ペイセーフ)が運営する電子マネーでした。
簡単に言えばEwallet、オンラインウォレットのことであり、オンライン上で電子マネーを使って決済できる送金手段サービス、オンライン決済サービスの手段の一つとしてネッテラーがありました。
もちろん国や通貨を飛び越えて使える、国際決済サービスともいえました。
送られてくるNETELLERカードというマスターカードのデビットカードでカード入金や、ATMから現金引き出しの機能もありました。
日本国内業社で言えば、楽天EdyやSuicaやau WALLETと類似のサービスということができます。
海外FXトレーダーの取引先FX口座への入金方法としても、出金手段としても人気を集めており、取引方法のプロセスのうちに入れていた方も多かったのです。
海外企業でありながら日本語対応もしており、非常に使いやすい送金サービスでした。
もくじ
■現在ネッテラー対応の海外FX業者なし
2016年9月15日にネッテラーは、日本におけるサービス終了のお知らせというものをだしました。
実際はサービス自体が終了するというものではなかったのですが、日本国内からネッテラー経由でギャンブルゲーム業者(オンラインカジノ、ブックメーカー、オンラインポーカー、オンライン麻雀)などの取引システムへの入出金ができなくなりました。
そして今では、ネッテラーで海外FX業者から出金をするのは極めて難しくなってしまいました。
これはAML(アンチマネーロンダリング)の法令遵守によるものです。
似たようなサービスを行う業社で、Skrillも10月以降日本での利用が停止となりました。
背景として、日本人ユーザーの増加、に伴う取引量の増加、セブン銀行ATM詐欺事件などから金融庁からの圧力が高まったとみられます。
ただネッテラーの日本でのサービスが終了してしまったわけではなく、サイトで無料口座開設もできますし、マイページログインもできるようです。
しかしその際でも、2016年10月以降からマイナンバーの提出が必要になるなどの対応が必要となりました。
これはネッテラーを通じた税金逃れを防ぐ方法だと考えられます。
多くの海外FX会社の口座開設でマイナンバーは今の所提出の必要はない中で、非常に珍しいケースといえるでしょう。
海外FX業社のFXDD&FXCM、ThinkForex、Pepperstoneとどれも人気があり信頼も実績もあった優良企業でしたが、近年金融庁の圧力によって利用停止、日本から撤退を余儀なくされました。
日本の金融庁の圧力というよりオーストラリアの金融庁ASICによる圧力が直接的なきっかけのようですが、そのASICに圧力をかけたのが日本の金融庁という見方もあります。
今後もこのような海外の金融サービスが、日本から撤退させられるケースは続くと予想されます。
もっとも人気のあった送金サービス「ネッテラー」と、もっとも人気のあったFX会社の「Pepperstone」さえ日本から撤退してしまったので、今後どこの企業が撤退するのかは予想しにくいというのが現状といえるでしょう。
(※Pepperstoneは、経営陣がTitanFXを立ち上げて現在、日本でサービスを展開しています。)
■ネッテラーを利用した海外FX口座への入出金
ネッテラーは入金方法が複数存在した
ネッテラーには、複数の入金方法が存在しました。
1つはクレジットカードを利用する方法で、VISAとMASTERカードのブランドであれば入金が可能でした。
また、デビットカードでも入金が可能でした。しかし、この方法は海外で発行されているデビットカードに限られていたこともあり、日本のユーザーはほとんど利用できませんでした。
更にバーチャルカードについては非対応で、日本のユーザーが入金させるためには対応しているカード会社のクレジットカードを持つしかなかったのです。
2つ目は国内銀行からNETELLER口座へ入金する方法です。
日本から海外への送金を行う際、国内銀行口座で手数料を取られてしまいますが、ネットバンキングなどを利用によって入金はとても楽に行えました。
ネッテラーへの入金時には、ネッテラーのアカウントIDを記載する必要があります。
入力がなければ入金の確認に時間がかかり、中には入金の反映に1週間以上を要する場合もありました。
ネッテラー側は、必ず口座IDの記載を行うようにホームページ上でも注意喚起を行っています。
取引口座への反映が早かった
銀行振込送金であれば手数料が高い上に反映されるまで時間がかかりましたが、ネッテラーなら非常に高速で、平均1営業日ほどで取引口座に反映されたので、海外FXトレーダーの間で重宝されました。
ネッテラーからの出金は24時間コンビニなどででき、デビッドカードと同様の使い方ができました。
海外送金であっても国内送金手数料がかかるのみで、出金手数料などもかかりません。
相対的にまたは最小に取引手数料を抑えることができ、非常に割安だったと言えます。
複数業者間での資金管理に便利だった
オンラインカジノ、ポーカーのサイトほぼ全てを網羅していて、数多くの通貨ペア、海外FX業者間の資金の移動にも使え、為替手数料も低く、非常に便利なサービスでした。
さらにネッテラーカードというネッテラーで口座をつくるともらえるマスターカードはオンラインでのFX口座への入金、出金が無料という海外FXでトレードをする上で欠かせないカードだったのです。
ネッテラーの運営元が最初にも述べた通りロンドン証券取引所に上場しており英国金融行動監視機構(FCA)の認可を受けていたので、取引の安全性は保証されていました。
利用者の100%の資金を信託保全されていたと言うので、経済危機などが起こっても資金が守られるという点でも安心して使うことができました。
リスク分散という面でも一つのFX業社に資金を置いておくのではなく、定期的にネッテラーに資金を移動することで、資金管理を容易にしていました。
■ネッテラーからの出金と手数料
海外銀行送金の場合
先ほど述べたAMLのせいでネッテラーからの出金は基本的には銀行口座からの銀行送金のみとなってしまいました。
この場合3-5千円程度の手数料が発生してしまうため、ある程度まとまった額を出金する必要があるといえるでしょう。
Net+カードでATMから引き出しの場合
これは以前ではよくある出金方法だったのですが、大幅に手数料が引き上げられました。
以前は日本円の場合一律で650円だったのですが、2016年の4月17日より現金の引き出し手数料が1.75%となったようです。
Net+カードは現在発行停止中
残念ながら、現在Net+カードは発行できません。
カードの発行再開についても未定で、日本人はNet+カードを持てないことになりました。
出金に必要なカードを発行できない点も、日本人がネッテラーを使えなくなった要因です。
現在Net+カードを保有している人は、マイナンバーをネッテラーに提出することで、カードを使えるようになります。
マイナンバーの提出がなければカードは利用できず、ATMに挿入しても手続きは行えません。
利用停止後の出金方法は?
現在ネッテラーでは、日本人の入出金を停止しています。
残されている金額については、ネッテラーからの出金対応を代行で行っている会社があります。
この代行している会社にお願いして、指示された手続きを行えれば、現在でもネッテラーに残されているお金を出金できます。
ネッテラーの口座維持手数料
ネッテラーは、休眠状態のアカウントに対して、口座維持手数料を請求しています。
これは13ヶ月以上利用していないユーザーに警告のためのメールを送信し、一定の期間が経過するまでに取引を行うように指示しています。
現在日本人は、ネッテラーを利用して取引を行うのはかなり難しいことで、中には口座維持手数料を請求されているユーザーもいます。
もし、口座維持手数料を請求されたのであれば、別の入出金サービスへお金を移行する、もしくは出金の代行業者を利用するなどして、口座内に残されているお金を減らしてください。
その上でネッテラーの口座を閉鎖して、口座を放棄してください。
これによって口座維持手数料は請求されません。なお、口座を閉鎖は以下の方法によって行えます。
1.ネッテラーの設定をクリックする
2.口座タブを選択した状態で口座の閉鎖というリンクをクリックする
3.後はページの指示に従って手続きを完了させる
なお、数ドル程度のお金は出せないようなので、出金できない程度の金額が口座に残されているようなら、そのまま放棄しなければなりません。
■ネッテラーの代替手段は?
ネッテラーがこのような状況になってしまった上に、大手FX会社XMからXM口座開設すると発行するFXカード出金ができるXMカードまで利用停止となってしましました。
今のところ比較してみて、代価サービスとして考えられるものは大きく2つあります。
それはEcoPays(エコペイズ)とOKPAY(オーケーペイ)です。
どちらも英国金融監督機関のFCAの認可の元電子マネーのサービスをしています。
FCAと言えば世界的に見ても非常に厳しい基準として有名なので、どちらも信頼できる優良企業といえるでしょう。
ただしネッテラーもFCAの認可ではあったので、今後この2社がどのようになっていくかはまだはっきりとしないというのが現状です。
手数料で考えるならOKPAY
手数料の安さから、多くのサイト記事でOKPAYは人気のようです。
しかも、電子マネーへの出金が可能であること、デビットカードを発行できる点など、ネッテラーと同じような利便性も持ち合わせています。
しかし日本語サポートサービスは未対応ですので、英語が読める必要があります。
また、英語の本人確認書類を準備しなければ、OKPAYは使えません。
日本語の本人確認書類では対応できない点が、OKPAYを利用するためには大きな課題となります。
ネッテラーに一番近いサービスだったエコペイズにも問題が
一方でエコペイズは、日本語のサービスに対応しているだけでなく、ネッテラーと同じようにプリペイドカードのecoカードによってATMから現金を引き出すことができました。
しかし、2018年に8月までにecoカードの発行を停止すると発表し、ATMから現金を引き出すことはできなくなりました。
原因はecoカードに関連するトラブルが多発したことに加えて、ecoカードの発行を希望しているユーザーが増えたためです。
更に、エコペイズはクレジットカードを使っての入金ができなくなりました。
今までVISAカードがクレジットカードでの入金を可能にしていましたが、現在エコペイズではどのクレジットカードも対応していません。
これにより、エコペイズはネッテラーのように使えるサービスではなくなり、かなり利用しづらい入出金サービスへと変わってしまったのです。
今後はさらに規制を強化する可能性があり、場合によってはネッテラー同様に日本からの撤退も考えられるのです。
近年注目を集めているビットコインも可能性あり
そのほかの手段としてまだまだ利用者の数は限られていますが、ビットコインなどが選択肢として浮上してくるのではないでしょうか。
bitpayなどのサードパーティーのビットコイン決済サービスを通したとしても手数料が1%ほどかかるだけなので、ネッテラーと比べても圧倒的に安いです。
そして送金速度も数時間で完了するなど圧倒的に高速です。
安全性もブロックチェーン技術というものを使って送金経路の情報を追跡可能なので、問題はないでしょう。
今のところの問題点としては、ビットコイン自体の相場の変動が激しい点といえるでしょう。
また、仮想通貨取引所の信頼性に問題があり、業務改善命令などを受けている会社が日本では相次いでいます。
ただ海外FXの入金目的だけならば代価手段として、そしてFX手法としてメジャーになる可能性は大いにあると言えます。
STICPAYを利用する業者も増加
また最近では、STICPAYというサービスが開始されています。
こちらはすでに、TradeView、MyFX Markets、LandFXといった海外FX業者で採用しています。
■今のネッテラーはビットコインも買える?
イギリスでビットコインなどの仮想通貨を扱っているCubitsは、ネッテラーを経由してビットコインを購入できるサービスを開始しました。
購入するための方法は、Cubits上でビットコインを購入する手続きを行い、支払いが面でネッテラーを選択します。その後画面がネッテラーに切り替わります。
後は支払いの処理を行うだけで、Cubitsのビットコイン残高に加算されます。
ネッテラーを使うことで、現在はビットコインの購入も気軽に行えるようになりました。
このビットコインが将来的にFXの入金手段として使われれば、ネッテラーを経由してビットコインを買い、FXへ入金するという手法が活用されるかもしれません。
■ネッテラーについてのまとめ
このように、FXに限らず日本在住者で海外業社を使うことに対しての規制が続いています。
金融庁としても国内FX業社を使って欲しいというのが本音でしょう。
詐欺業者からユーザーを守るという役割があるため厳しいことはある程度は仕方がないのですが、このような規制ラッシュがすこしでも収まるよう祈るのみです。
だからといって海外FXがやりにくくなったのかというと必ずしもそういうわけではなく、またそれに代わる代価手段もあります。
今後どこまで国内での規制が強まるかはまだ未知数ですが、現在このような情勢であるということを念頭に置きつつ、FXブローカーおよび、入金、送金手段を選択していきましょう。