もくじ
海外FX口座の凍結事例
私も海外FXにおいて口座凍結はいくつか経験しています。
自らの経験も交え、海外FX業者でどのようなトレードを行った場合に口座凍結されるのかをご説明します。
海外FXには口座凍結の可能性があると、海外口座でのFX取引を不安視する投資家もいますが、はっきり言って実際に口座を凍結されてしまうケースはほとんどありません。
確かに凍結リスクはゼロではないのですが、素性の怪しい無資格の詐欺業者ではなく、金融ライセンスを保有している優良な海外FX業者を利用すれば、そういった心配は比較的ゼロに近いと思います。
しかし、中には法人登録番号をさもライセンス番号であるかのように見せて、登録業者のようなふりしている悪質業者も存在します。
①最も多い理由は、スキャルピングによる口座凍結
スキャルピングとはもともとの意味はアメリカの先住民族に対して行っていた皮をはぐという行為ですが、FXでは一種の取引手法として使われている言葉で数秒~数分間の取引のことを指しデイトレードよりもさらに細かい取引回数単位での取引となります。
さてFX業者には大きく分けて2つの経営方針があり、DD方式とNDD方式となります。
DD方式はトレーダーからの注文を受けた場合、ディーラーであるFX業者側がその取引を行うかどうか判断する方法です。
それに対し、NDD方式の場合はFXブローカーがトレーダーの取引に関わることの一切を禁じ、注文が自動的に処理されます。
スキャルピングの可否はFX業者によって異なります。
基本的にはDD方式のFX業者はスキャルピングを嫌いNDD方式のFX業者はスキャルピングOKの場合が多いです。
理由はDD方式の国内FX業者では顧客と業者が利益相反関係にある場合が多いからです。
なぜかと言うと、DD取引は投資家が注文通りの売買を「しない」というトレード方法だからです。
例えば具体的にドル円で米ドル買い注文をトレーダー側から出したとしても、証券会社がその買い注文とおりに米ドルを買うとは限らないということです。
これはカバー取引という方法でもあり、FX業者側にとって不利益となるFXトレードをカバーするという意味でこのような名前でも呼ばれます。
非常に不公平で一見するとまるで詐欺FX業者のように聞こえるこの方法で何が起こっているかというと、投資家が負ければ負けるほど国内FXブローカー側が儲かることになります。
理由は、FXトレーダーが実際にある通貨を購入してもしそれが上昇したら、国内FX会社側からFXトレーダーにより多くの資金を支払わなければなりません。
海外FX企業のようにFXトレーダーが注文した通りにその通貨ペアで購入していれば、何の問題もなくそのままそれを払えばいいのですが、そうでない場合、国内業者は投資家の注文とおりに買っていないので、投資家が勝てば、国内証券会社の利益としてはマイナスになってしまうのです。
逆に投資家のトレンド予想が外れて、投資家の資産がマイナスとなれば、国内業者側の利益となるわけです。
つまり投資家が損をすればするほど、国内FX企業が儲かるという仕組みがDD取引で、多くの日本FX業者がこれを採用しています。
海外FX業者情報サイトなどには、スキャルピングOKの業者かどうかも記載されていますので、事前にスキャルピングOKの業者かどうかサイトを確認してから行う必要があります。
そうしなかった場合、いざスキャルピング手法の取引をしようと思ってもできない可能性また、できたとしても口座を凍結される可能性があります。
またスキャルピングの定義はFX業者によって判断が曖昧で5分以内決済や5pip以内の決済など海外FX業者によって定義が異なります。
もしこのような制限が煩わしいのであれば取引手法に制限がない海外FX業者で取引するのが一番良いですが、自分の現在の取引資金と合わせて究極的にどこが自分にあっているのかどうか見極めて行く必要があるでしょう。
②OTC業者だった場合、稼ぎすぎて口座凍結の可能性あり
OTC業者とは呑み業者のことで、顧客とブローカーが利益相反関係にあります。
顧客の勝ちは業者の損失、顧客の損失は業者の利益となります。
そのため大きく稼ぐと口座凍結や出金拒否されるリスクがあります。
トレーダーが儲けすぎて口座凍結される、という笑えない状況になるのです。
このような悪質なブローカーを回避するためには、金融ライセンスを取得している海外FX業者を選ぶことは勿論ですが、金融ライセンスの中でも違反があった場合に厳しく罰せられるライセンスである必要があります。
一つ例を挙げるとキプロス規制(Cysec)の金融は非常に厳しく、ライセンス違反があった場合、金融取引をする免許停止などの措置が取られるため、取引の公平性を保つ上で顧客にとって非常に安心出来ます。
https://mokuzai-points.jp/2017/02/15/%E6%B5%B7%E5%A4%96fx%E6%A5%AD%E8%80%85%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%A2%BA%E8%AA%8D/
③業者に対して不利益な取引を行った場合
例えば口座開設ボーナスや入金ボーナスが付与される2社に入金し、両建て取引を行えばノーリスクで口座開設ボーナスや入金ボーナス分ゲットすることが可能です。
しかしながら両建てのような手法は業者が損失を被ることになるので、不正にボーナスを得る手法を疑われた場合、口座凍結になるリスクがあります。
④業者間の価格差を利用した裁定取引を行った場合
MT4取引業者では、極稀に指標時などサーバーに負荷がかかる時間帯にレート配信が遅くなる業者などがあります。
私も実際に経験したことがありますが、接続遅延や他にもレートを不正に遅れさせたりする操作レート遅延などを使った手法で利益を上げた場合も口座凍結になる可能性があります。
また近年では余り出来なくなりましたが、海外FX業者間のスワップポイント(為替金利)の価格差などを利用した裁定取引などを行った場合も、口座凍結の可能性があります。
具体的にはある会社Aで円ドルのスワップで買いが+3で会社Bの同じ通過ペアでの売りが-1だった場合、毎日Aを買い、Bを売ることで+2のスワップを得ることができ、この金利でずっと儲けることができます。
これが裁定取引の一つの手法でもある「アービトラージ」なのですが、これはFX業界では禁じられてる場合が多いです。
なぜならトレーダー側にリスクがなく、FX業者側が損をしてしまう取引なので海外FX業者側は凍結をせざるを得ないからです。
⑤そもそも口座開設した業者が悪徳業者だった場合
海外の規制先に金融庁が発行したライセンス登録がされていれば、必ず安心かと言うとそうではありませんが、ライセンスを取得していない無免許の海外FX業者は避けるべきでしょう。
またリスク分散の意味でも、いくつかのFX業者に口座を開設し資金を分けながらFX取引を行うのもいい方法です。
さらに100%入金ボーナスを度が過ぎて頻繁に行う業者や、日本語対応業者でかつ入金催促の電話連絡をしてくる業者などはOTC業者(呑み業者)の可能性が高いので注意する必要があります。
口座開設したFXブローカーが国内の金融庁に登録していなかったからと言って、それが即詐欺業者になるのかと言うとそうではありませんが、どこの規制先にライセンス登録されているか、海外FX業者情報のレビューサイトなどに出金拒否情報がないかなども事前に口コミなどの生の声を確認してから口座開設しましょう。
また日本から海外FX業者への入金方法には使えなくなりましたが、ネッテラーというサービスがありました。
ネッテラーは非常に審査が厳しくネッテラー採用業者はそれだけで信頼度が少し上がります。
そのため詐欺業者を見分ける上では、ネッテラーを採用しているかを目安にするのも良いでしょう。
またNDD方式を見分ける方法としては上記に述べたエクイニクス社にサーバーを借りているか、カバー先の情報を開示しているかなどが目安となります。
何故エクイニクス社のサーバーを採用しているとDD方式の業者を避けることが出来るかと言うと、エクイニクス社のサーバーは高額なため、DD方式の業者が利用している可能性は低いです。
また情報開示については透明性を謳っている業者であれば開示してくれるので、開示されない場合は何かしら疑ってみるべきでしょう。
※凍結されても証拠金は没収されない
口座の凍結と聞くと何かこの世の終わりのように、全て失ってしまったかのように思えてしまいますが、たとえ口座が凍結されたとしても入金した証拠金や資金が没収されてしまうわけではありません。
ただ単に「凍結」しただけなのです。
預けたお金は自分のものという認識を忘れずに、早期解決に努めましょう。
一定期間利用がなく凍結された場合
実際に海外FXで口座凍結されるケースはあるわけですが、原因として最も多いのが「海外FX口座を一定期間利用していない」というパターンです。
長期間利用されていない場合は、凍結される可能性があります。
以前作ったままほったらかしておいて、再び使おうと思っても凍結されているかもしれませんので注意しておきましょう。
海外FXで人気No1であるXMなどでは一定期間取引がないと口座凍結になっている場合があります。
だいたいの海外FX業者では、6ヶ月~1年間取引がなければ口座凍結して、利用者が入出金できなくなるというルールを採用しています。
(ルールは業者によって異なります)。
これは長期間使用していない海外FX口座が、何らかのトラブルを引き起こす危険性を防ぐための業者側の都合による処置なので、カスタマーサポートに連絡して指定の手続きを行えばすぐに口座の凍結は解除されます。
筆者も実際に出金拒否の経験が一度あるのですが、サポートに連絡して口座再開申請書などを提出すれば、何の問題もなくFXトレードを再開することができます。
この時は日本語サポートの充実している業者だったので対応も早く、かなり助かったことを記憶しています。
もしも休眠状態ならば再度口座開設するかサポートに連絡することで取引を再開することができますので、ご自身の状態が凍結なのか、休眠なのかしっかり確かめるためにまずはサポートに問い合わせしてみてください。
その時のためにも、日本語対応のサービスがしっかりしている海外FX業者を選ぶことも重要です。
海外FXはNDD方式のため国内業者より凍結されづらい
純粋に取引をすることを阻害される口座凍結や出金拒否事案は我々トレーダーにとって海外FXの利用を検討する場合の心配事ですが、口座凍結に限って言えば国内FX業者の方がこの確率が圧倒的に多いのです。
基本的には金融ライセンスを取得している顧客と業者が、利益相反関係にないNDD方式のECN口座でFX業者の規約を守っていれば口座凍結にはなる可能性は少ないです。
FXの注文方式には大きく分けて二つの取引システムがあり、DD(ディーリングデスク)方式とNDD(ノンディーリングデスク)方式です。
日本国内では主にDD方式が多くこれは顧客の注文が、そのまま為替市場に出されているわけではありません。
一方NDD方式はディーラーを介さず市場と直結してトレードする取引方法で、海外FX企業に多いです。
スプレッドのことを語る場合、海外FX業者は国内業者と比べ、NDDのために取引手数料であるスプレッドが広くなってくることがわかります。
なぜならば、国内FX口座ではDD取引のためそもそも実際に取引をしていないので、取引をする間に発生するスプレッドというものがそもそも発生しません。
実際に取引する場合もあるので必ずしもそうとは言い切れませんし、無料をいうわけではないのですが、概してその取引ごとのコストを抑えることが可能です。
そのため相対的にNDD方式の海外FX企業のほうが、平均してスプレッドが広めになってきてしまうます。
上記のようにDD方式では顧客と業者は利益相反関係のため、スキャルピング(短期売買)で顧客が利益を出すと業者にとっては損なため、嫌がられます。
そしてそのよう取引方法をされてはFX業者側は実際困ってしまうのです。
国内FXの場合はトレーダーが負けることでFX会社が儲かる仕組みなので、顧客の儲けはFX会社の損になってしまいます。
自社に損が出るほど荒稼ぎしているFXトレーダーや取引システムに負荷が掛かるような手法を用いて取引するトレーダーの口座を凍結するケースがあるのです。
国内業者は金融庁から厳しく指導されていますので出金拒否までは珍しいですが、このような背景から、口座凍結自体は日本の業者の方が多いです。
そして顧客の注文をカバー先に流さずに呑む行為や顧客同士の注文をぶつけ合い相殺しスプレッド分をそのまま自社の儲けにします。
顧客の注文を呑むことも顧客同士の注文をぶつけることは必ずしも悪いことではありません。
このDD方式のFXサービスが成り立っているのは、スキャルピングを行っている口座を凍結、稼いでいる口座を凍結して勝ち組を排除しているからです。
つまり国内FX業者の立場としてはトレーダーに儲けられたら困ってしまうのです。
そのため稼げるトレーダーになると自然と国内FXから海外FXに目が向くようになります。
海外FX業者の中で、本当にNDD方式で運営している業者はむしろFXトレーダーが取引回数を増やし利益を出してくれた方が会社として手数料収入で儲かるので、NDD方式で運営されている業者では口座凍結や出金拒否を行うことはないと言っていいでしょう。
ここで我々トレーダーが直面する問題としてはNDD方式を謳っているDD方式業者が存在するので、本当にNDD方式で運営されているかどうかを見極めるのが難しいことが挙げられます。
見きわめる手段としては、多くの海外FX業者が採用していて、取引のレイテンシー(遅延)が比較的ないことで知られるエクイニクス社のサーバーを利用している業者や、売買先が決定しない場合の受け皿となってくれるカバー先の情報を開示しているかどうかなど、きちんと情報開示している海外FX業者を選ぶことでDD方式を回避することは可能です。
まとめ
FXにおいて口座凍結される事案の多くはスキャルピング取引によるものです。
また一部、両建て取引を禁止している業者も存在します。
口座開設する時に、取引手法に制限がないかどうかを業者サイトに行ってしっかりと確認しましょう。
またOTC業者のように顧客と業者が、利益相反関係にある場合も口座凍結になる可能性があります。
OTC業者の場合、NDD方式の業者などよりスプレッドが狭い場合もあり、必ずしもデメリットばかりではありません。
しかしながら、上で解説したように利益相反関係ですので出金トラブル等に合う可能性は高くなります。
他のトレーダーが出金できているかなど、海外FXレビューサイトなどを参考にし、出金拒否の事例がある業者などでの取引は出来るだけ避けましょう。
スキャルピング禁止など取引手法の制限がなく、利益相反関係にないNDD方式の海外FX業者で取引していれば出金拒否に合う可能性は低いと言えます。
FXをこれから始めようと考えている方は、ハイレバレッジやゼロカットシステム、入金ボーナス、日本語対応、多彩な通貨ペアなどのサービス面だけでなく、この辺の取引手法に制限がないかなども確認してから業者を選び、口座開設を進めるようにしてください。