日本の国内FXよりも、少額の資金で多額の利益を得ることができると注目を集めている海外FX。
日本だとレバレッジは25倍までと規制されていますが、海外だと最大3000のレバレッジをかけることが可能です。
しかし、だからといって良い所ばかりかというと、そういうわけにもいかないのが現実です。
では、海外FXにはどんなリスクがあるのでしょうか?
この記事では海外FXのリスクについてご紹介していきます。
もくじ
■海外FX業者が危険と言われる理由
まず海外FX業者は、国内のように世界でもかなり厳しいと言われる日本の金融庁からライセンスを得て業務を行ういわゆる免許制のような業者ではない点が、そもそも非常に危険な存在といえます。
G7加盟国に属する各国のFX業者は、各国の申し合わせで日本人の顧客を勧誘しませんし、顧客側から口座開設をしたいと申し出ても基本的に受け付けない取り決めができています。
したがって海外FX業者で日本人投資家が取引できるのは、それ以外の国を本拠地にしているところということになりますから、そもそもかなり高いリスクの中で業者選択をしなくて名はならないのです。
欧米の主要国を除く国では、FX業者ライセンスといっても登録を申し出たところには、ニュージーランドのように特別な審査をしないで自動的に番号を提供しているだけの国も多いため、そうした国のライセンスを保有していると言われても、どれだけしっかりした会社なのかはよくわからないところが多いのが実情です。
したがってEU圏の国の取引要件を求められる、キプロスの証券監視委員会の金融ライセンスを持つとか、世界でももっとも厳しい国のひとつであるUKの金融部門が発行する金融ライセンスを持つ業者などが、安心できる業者ということになるわけです。
ただ、昨今の国内の金融庁の動向を見ていますと、ライセンスを与えた仮想通貨の取引所でも、その多くが問題を抱え大手でも業務改善命令を受けているわけですから、日本の金融庁のお墨付きがある国内業者ならなんでも安全とは言い難く、海外業者だからとにかく危ないと判断するのにもいろいろ問題がではじめていることもまた事実で、海外業者=危ない業者と判断するのは間違いと言えるのです。
■危険な詐欺業者の存在と見極める方法
とはいえ、数多く存在する海外FX業者の中には正真正銘の危ない、詐欺業者も確実に含まれていることは事実です。
海外業者の多くなNDD方式と呼ばれる複数のカバー先の金融機関を使って、顧客からのFXトレードのオーダーをすべてカバー先に出し、そこに自社で設定した手数料を載せるというビジネスモデルを展開しています。
したがって、通常は社内にディーリングデスクを置いたりして、顧客からのオーダーの反対売買をするといった複雑なことは一切行いません。
できるだけ人件費をかけないように自動化して顧客の利用分を増やし、そのマージンで利益を出すことをビジネスモデルの基本としているのです。
ですから、まず一つの判断要素としてはNDD方式を採用した業者であるかどうか、またカバー先の金融機関の名称を公開しているかどうかが、危なくない会社を見つける一つのベンチマークとなるのです。
NDD方式を謳わず、しかも原則固定スプレッドなどという謎の条件設定をしている海外FX業者は、カバー先を持たずに顧客からのオーダーをすべて呑むだけの業者である可能性が高まります。
一般的に新規顧客のほぼ9割は、口座開設し資金を投入して3か月以内にすべての資金を失って市場から退場していくと言われていますから、素人に近い存在の個人投資家が自分から自滅して証拠金を失うのを、呑み行為でじっと我慢していても十分に利益がでることになるわけです。
こうした呑み専門の業者は、どこにもカバーしていませんからスプレッドはいつも固定でもOKとなることが多いのです。
彼らにとっては、勝って利益を安定的に収める個人投資家は利益相反の対象となりますから、少額資金の出金には応じてくれるところが多くなるものの、高額資金を定期的に引き出すようになると単なるコストにしかなりませんから、いきなり出金拒否となったり意味不明の御託を並べられて取引停止を通告してくることもあるので相当危険です。
NDD業者ではない海外業者と、カバー先を明示していない業者はまず取引はしないのが無難な選択です。
■海外FXにおける各種危険性と回避法
海外FX業者の場合、もう一つよくわからないのは業者の経営状況です。
だいたいホールディングカンパニーなどが設定されているので、FX事業だけでどの位の顧客がいて、資金運用されているのかを細かく開示しているところが非常に少ない点が気になります。
それでもそのホールディングカンパニーが、どこかの国の証券市場などで上場している場合には、丹念に調べると業況といったものが出てきますので、英語での検索を余儀なくされますが一応ネットで調べてみるという努力をしてみることは重要です。
たとえばXMは最近セーシェルに拠点を移して、日本人顧客はこのエンティティが提供する口座を利用して取引をすることになりました。
XMは、日本人顧客にボーナスを提供し続けるために、あえてキプロスの法人とは別の法人を設立して運営しており、事業の母体となるホールディングカンパニーは、3か所以上でFX事業を営んでいるといったことも確認することができるのです。
こうした事実を知ることができれば断然安心して取引してくことが可能になります。
■海外FXを安全に利用するための方法
海外FX業者は国内の業者と同じで、一応顧客から預託を受けた資金は自社の事業資金とは別に運用するために、分別を行ったり第三者の金融業に信託管理を依頼しているところも見られます。
しかし、このいわゆる信託保全の仕組みも国内のものとは大きくことなり、保全の対象となる金額上限が国によってかなり様々なうえ、最近では欧州のように利用者もまさかの業者破綻といったときに、一定の資金を拠出して損失に対応する「ベイルイン」といった仕組みを法的に導入している国もあるわけですから、とにかく信託管理があれば何でもお金が戻ってくると勝手に思い込むのはかなり危険です。
したがって、一つの業者にあまり多額の金額を投入しすぎないことと、利益は一定のタイミングで常に口座から一旦引き出して自己管理するなどのリスク回避策を実施することが必要になります。
ハイレバレッジの海外業者では、そもそもハイレバ運用のできる口座に金額上限を設けているところも多くなりますから、一定の資金を運用することで多く利益を出しては、その分を外に取り出すという取引モデルを構築することが重要になるといえます。
■なぜ「レバレッジが高いと危険」と言われるのか?
ハイレバレッジと聞くと、なんとなく危険なイメージを持つ方もいるのではないでしょうか?
レバレッジは自分の資金(証拠金)にかける『てこ』のようなもので、かけた倍率の分だけ取引額が膨らみます。
利益も、そして当然損益も、掛けた倍率によって額が膨らむので、リスクが大きいと考える人もいるのかもしれません。
しかし実際は、レバレッジの倍率は損益とは直接関係がないのです。
レバレッジの倍率によって変わるのは、1つの取引に必要な証拠金の額です。
損益そのものではありません。
損益を考えるときに重要なのは、むしろ『ポジションと資金の管理』です。
これができない場合は確かに、掛け率が高いとリスクは大きくなります。
管理のできない無謀なFXトレーダーが増えたために、最大レバレッジが高く設定されているハイレバレッジはリスクが大きいというイメージが生まれてしまったのですが、実際はそうではないのです。
たとえば自分のFX口座に、資金が100万円あるとします。
ここでは1ドル=100円と仮定すると、1万ドル(100万円)分のポジションを持てることになります。
もしレバレッジ10倍の取引なら、1万ドル分のポジションを持つには証拠金10万円が必要です。
ではこれが、レバレッジ100倍の取引だとどうなるでしょうか?
レバレッジが高い分、証拠金1万円で1万ドル分のポジションを持つことができるのです。
つまりハイレバレッジだと、少ない証拠金でたくさんの取引を持つことが可能です。
しかし、注意しなければならないのは「今、自分の資金がいくらか?」ということを把握しておくことです。
レバレッジ100倍の場合、1万円しか証拠金にしていないのでほかにも取引ができそうに錯覚してしまいますが、資金は100万円しかないのですからこれで一杯一杯のポジションとなります。
ですので、取引をするときは、きちんと自分の資金の上限を決め、ポジションを管理する必要があるのです。
この計算が間違いなくできてさえいれば、レバレッジの高低は損益に関係ありません。
逆に証拠金の額しか見ずにポジションを増やしていくと、資金のポジション設定許容範囲を大きくはみ出して取引をすることになり、リスクが高まります。
少ない資金で大きな取引ができるからといって、過度なポジションを作ってしまいますと損失がいきなり大きくなってあっという間に証拠金を失うというのが、初心者のハイレバ取引の失敗の典型例になってしまうのです。
■レバレッジとリスクの大きさには相関性はない
レバレッジというのは、リスクの根源であると錯覚している個人投資家の方が多いものですが、ドル円1万通貨のポジションを作れば1円相場が動いて想定したほうに行けば1万円の利益ですし、想定買いの方向に1円動いてしまえば1万円の損失と、損益はポジションによって決まっているのです。
しかしこのドル円1万通貨を1000倍のレバレッジでも、100万円の証拠金で売買すればなんら問題はないのに、1万円の証拠金で売買しようとするために、ほぼ80銭程度含み損がでた段階であっというまに証拠金全体を失って終了になってしまうのです。
十分な証拠金で取引するなら、別にレバレッジはそれほど怖い事ではありませんが、過少の証拠金で売買しようとするわけですから、自分の想定した方向を違う方向に動いたらとにかくすぐ損切して出直すといったFXの原点に立ち返った売買を求められるということをしっかり理解しておく必要があります。
自分で証拠金を減らさない取引ができれば、ハイレバレッジというのは多くの人が考えるほど危ない仕組みではないのです。
このことがしっかり理解できないと、いつまでたってもハイレバレッジの取引き条件を活かした売買ができるようにはならないのです。
■追証が必要ないゼロカットシステムはリスクを限定的にする
とはいえ、やはりハイレバレッジだと「損した時が怖い」と考える方もいるでしょう。
しかし、ほとんどの海外FX業者では、トレーダーが証拠金以上の損失を被ることはありません。
なぜかというと『追証なし=ゼロカットシステム』が基本になっているからです。
追証とは、急激なレート変動で口座の残高がマイナスになってしまった場合などに、追加で業者から請求される保証金のことです。
国内FX業者にはこの追証があるため、証拠金以上に損失が出た場合、トレーダーは不足分を請求されることになります。
しかし海外FXでは、どんなに急激に相場が変動しても証拠金以上の請求をすることがない、追証ゼロサービスが基本になっています。
つまり海外の場合、急激なレート変動で口座残高がマイナスになってしまっても、マイナス分はFX業者が負担してくれるのです。
海外FXの場合、トレーダーが儲かると取引が増えるので、FX業者も儲かるというパートナー関係になっています。
このため、どんなに高いレバレッジをかけていても、トレーダーは証拠金以上の損失を被ることがありません。
損失を恐れずに高いレバレッジをかけることが可能で、勝てれば大きな利益を手にすることができるのです。
ですので、『追証ゼロサービス』は海外FX業者を利用する上で確実なメリットといえるのです。
しかし、中にはこのサービスがない業者もあるので、確認を忘れないようにしましょう。
■海外FXキャッシュバックサイトは危険なのか?
海外FXサイトに登録する場合にはキャッシュバックサイトと呼ばれるいわゆるIB業者がやっているサイトを通じて登録を行いますと、一定のキャッシュバックがその名の通り現金で戻ってくるケースがあります。
また自分で取引しても取引額分を一定の割合でキャッシュバックしてくれるといったありがたいサイトも存在します。
しかしここで問題になるのが、個人情報の取扱い問題になります。
キャッシュバックサイトの業者は名実ともに単なる仲介業者ですから、本来は顧客情報などを管理するような立場にはないわけですが、名前、住所、年齢、職業、場合によってはクレジットカード番号番号など、知らなくてもいい情報を仲介の名のもとに受け取ってしまいますから、登録後にその情報を何につかうかわからないところが非常に気になるところです。
気の利いた業者なら、まとめて名簿バンクのようなところに売り飛ばして換金することも十分に考えられますから、微々たるキャッシュバックを得るために大きなリスクを冒すことにならないように、相当気を付ける必要があるのは事実です。
■海外FX業者が危険で、国内口座が安全?
足元の状況を考えますと、海外業者を利用するよりは国内業者で取引したほうが、一応安全であることは確かでと言えます。
しかし最近、金融庁は店頭取引業者のレバレッジ規制を検討するにあたって、個別業者への厳密なストレステストを実施し、優良業者は25倍のレバレッジ利用を継続させ、危ない業者だけレバレッジを下げることを検討すると言い始めています。
要は国内業者でも危ないところがありますよということを暗に示唆しているわけで、なんでも金融庁の管理下ならば安全というわけではないこともよく考えておく必要があります。
とにかく、国内の25倍のレバレッジでは最初から5000万円や1億といった多額の資金を投入できるならば話は別ですが、10万円だ100万円だという過少資金で売買していたのではいつまで経ってもまとまった資金を作ることはできず、FXで億り人になるなどというのは夢のまた夢になってしまいます。
そこで資金を大きくするのに利用できるのがハイレバレッジの海外FX業者のアカウントですから、もちろんリスクは完全には払しょくはできませんが、最低のレベルに抑えこむことで、こうしたハイレバを利用できる方法を模索するというのが正しい選択肢になるのではないでしょうか。
■その他のトラブル例
海外FX業者を利用しますと、それ以外にも様々なトラブルに見舞われたという事例が多数でてくることになります。
たとえば、利益が出たためトレーダーが出金を求めても、海外FX業者が応じないケースなどが発生しています。
国内の仲介業者を通して口座開設をしたので、仲介業者に相談しても「ただ仲介しているだけ」などと言われて終わってしまうケースもあるようです。
「口座を凍結された」「取引履歴から利益分を抹消されたなど、悪質な業者に対する被害の声もあります。
そのため、上記のような詐欺業者を選択しないように業者選びには注意が必要です。
また、金融庁が過去に警告書を出した業者は、同庁のホームページから一覧できるようになっているので、業者を選ぶ際にはチェックしてみましょう。
リスク回避のために
「利益が出たと思ったら出金ができない・・・」
「投資金も戻ってこなかった・・・」
そのような状態に陥らないよう、リスクを避ける必要があります。
まず、業者の情報収集は徹底するということが大原側です。
その上で、リスクを小さくするための工夫も大切になってきます。はじめに、入金する投資資金は小さくすること。
たとえば手元に資金が100万円あったとしても、すべて入金するような使い方はしない方がよいでしょう。
さらに、入金後早いタイミングで、一度出金できるか試すこともお勧めします。
また、利益が出たらすぐに出金すること。勝ち続けていれば利益は大きくなっていきますが、なるべく細かく出金するよう心がけます。
業者に預けるお金を少なくし、手元に持ちましょう。
■結論
海外FX業者を利用した取引は国内での業者による取引きには示現しないようなリスクが登場してきますし、すべての業者が安全ではなく危ない業者も間違いなく存在する状況にあります。
しかしすべてがいかがわしいわけではありませんから、できるだけリスクを排除した業者選択をすることでハイレバレッジの取引を実現していく方法を模索する必要があります。
また業者選択のみならず、利用する個人投資家としてもしっかりとした資金管理、ポジション管理を行って過少資金なのに過度なポジションをもって損失を抱え込まないような取引方法を確立する必要があるのです。
海外FXは半分は業者に依存したリスクがありますが、残りの半分はそれを利用する個人投資家の取引方法に大きなリスクが内在していることをしっかり事前に理解する必要があります。
このことを肝に銘じて利用していけば、それほど恐れるような状況にはなりません。
要は使い方次第ということをしっかり認識するべきでしょう。