「海外FXは法律的に違法なのでは?」
「海外FX口座で取引して本当に大丈夫か?」
「出金はスムーズにできるのか?」
FXトレードの初心者や日本国内のFX業者でしか投資経験のない方は、まだまだ海外FXでの口座開設に関して不安や間違った情報を持っている方が比較的多いようです。
今回はこうした個人投資家の方の不安にお答えしていきたいと思います。
■海外FX自体は違法性ではない
結論から言えば、「海外FX=違法」という認識は大きな間違いです。
海外FXは何の法律にも抵触しておりませんし、完全なる合法です。
日本の国内法においては、海外の投資業者を利用して投資をすること自体はなんら法律違反には当たりません。
したがって国内の金融当局は、特段海外FXでの取引を取り締まることができないのが現状です。
但し、G7加盟国では相互の申し合わせにより、FX業者は基本的に自国の国民を対象として営業活動を行うことが基本となっていることから、日本国民の個人投資家に対して顧客としての営業を行わない取り決めができています。
このため米国内のFX業者では日本国民は取引ができませんし、直近ではオーストラリアのFX業者は、それまで取引していた日本人投資家との口座取引をすべて解除するといった事例がありました。
しかしそれ以外の国、たとえばキプロスやセーシェル、南米などに本拠地を置く企業はそれぞれの国が日本とこうした相互の申し合わせを一切行っていないため影響活動は自由で、取引自体もなんら問題のない状況となっているのです。
■なぜ海外FXは違法と疑われるのか?
ほとんどの海外のFX会社が日本の金融庁の登録業者でない点も、法律的に大丈夫なのか不安になる部分だと思いますが、これに関してもまったく問題はありません。
海外FXの会社が日本で金融庁登録しない最大の理由は、登録したとたんに日本の金商法の内容が適用となり、レバレッジ規制などの金融商品取引法で定められ取引き要件の対象になってしまうからです。
また典型的なネットビジネスですから、わざわざ法人税率の高い国にエンティティを設立する必要もないのです。
ご存知のように、国内業者での取引は最大レバレッジ25倍までと制限されています。
ところが、海外業者はレバレッジ規制の対象ではないため、ほとんどのFX業者で100倍~1000倍のハイレバレッジトレードが可能です。
レバレッジ規制されるまでの国内FXトップレベルである300倍~400倍でさえ、もはや当たり前の世界に突入しています。
少額の自己資金でもハイリターンを狙えるのが海外FXの魅力なのに、もし金融庁に登録してレバレッジ規制の対象になってしまっては、海外FXのメリットはほぼ失われてしまいます。
このような理由からあえて日本金融庁には登録していないだけなので、その国の法律に従って取引を行っていれば、投資家が違法性を問われることはありえないのです。
ただし、海外FX口座でトレードすること自体に違法性はなくても、日本居住者である限りはFX取引で利益が出た時に税金を支払う義務があります。
また金融庁がこうした海外FX業者を敵視して、要注意業者の一覧を公開していることも、海外業者が違法な存在であるかのような雰囲気を醸成するのに一役買っているといえます。
金融庁のサイトを見ますと、国内未登録の業者名が常に一覧で公表されており、海外の名だたる業者のほとんどの名前が挙がっていますし、新規に次々と国内登録のない業者をリストに追加しつつあります。
ここで言う未登録業者というのは国内に拠点をもつ法人ではなく、日本の国内法上の規制を受けない業者であり、だからこそすぐに危ない業者とは言えないのですが、金融庁がオーソライズしていないということを強調していることから、あたかも存在そのものが違法業者であるかのような雰囲気が伝わるようになっており、これが海外業者全般を悪いイメージに落とし込んでいるといえます。
ただし、海外業者の中にもたしかにいかがわしい業者が存在するのは事実であり、利用者としては国内の監督官庁が何もサポートしてくれない以上、自らの力と判断でそれを見分ける必要があることだけは間違いな状況です。
■金融庁が海外業者を敵視するのは利用個人投資家の利益把握が難しいから
税金に関しては、国内FXは申告分離課税で税率は一律約20%ですが、海外FXの税金は雑所得(総合課税)に分類され、利益額によって税率が変化する累進課税となります。
同じFXによる取引の利益でも、税制上の扱いに大きな違いがあるところにも、監督官庁の姿勢が見え隠れすることになります。
国内の業者の場合には、ほぼ年間のすべての利益を業者が一覧にして税務署に開示していることから、脱税はすぐに摘発できるようになっています。
しかし海外業者の場合には、そうした措置を業者に対して強要することができないことから、金融当局も税務当局も完全に掌握することはできないのが実情です。
また海外の銀行口座に関しては、マネーロンダリングの防止といった観点から国際的な協力が進み、以前はスイスの口座なら絶対わからないとされていましたが、今では主要国間ではほとんど情報交換ができるようになっています。
最近では、タックスヘブンの国を利用していた顧客のリストなどもウィキリークスで開示されるわけですから、国外に資金を逃がすことは非常に難しくなっているのが現状です。
ただ、海外FXの場合にはさまざまな方法を利用することで、国内の金融機関に海外送金といった形で資金が戻ってこない方法もあることから、その利益の全数を把握することが非常に難しくなっており、政府としてはできるだけ海外FX業者を使わせないことで、出口管理よりも入口管理に力を入れているというのが正直なところだろうと思われます。
海外業者を利用した利益獲得分の納税義務を怠ればもちろん脱税になってしまいますが、税金を規定通りに支払いさえしていれば海外FXで外国為替取引することは、法律的に何の問題もないので安心してFXトレードを楽しんでください。
ただし税金は国内業者を利用したときのように一律21.315%ではなく、総合課税で他の収入と合算して税率が決まりますので、もとから収入の多い方は非常に大きな税金を納める必要がでる可能性もあることは事前に理解しておくべきでしょう。
この海外FXの利益の税率が異なる話をしますと、多くの個人投資家の方が大変心配されますが、年間で500万以上の利益をコンスタントに上げられる方は確かに心配ですが、市場に参加している約9割の方は利益自体を上げられずに退場しているのが現状ですから、税金のことで心配するのは利益を上げられるようになってからでも遅くはありません。
金融庁の海外FX業者に対する不親切で強硬な姿勢はますます強まる傾向にありまうので、海外FX業者を利用する場合にはとにかく自己責任ですべてを解決するという姿勢が需要になります。
そういう意味でも、他の利用者がどの業者を利用してうまくトレードできているかといった情報をしっかり把握することは極めて重要といえます。
■まとめとして
海外業者の利用については次のようなことが言えます。
利用自体は全く違法性がなく、国内法の枠組みでは止められないものである。
しかし金融当局は税務上正確に個人投資家が上げている利益を把握できないことから日本の個人投資家が海外業者を利用することを好ましく思っておらずなにかにつけてケチをつけてくる。それがあたかも海外業者の利用を違法なもののように印象付けている。
当然税制上も優遇されるものは一切なく、脱税には特に厳しい対応をしてくる。
以上のことを事前によく理解した上で、海外FX業者を利用することが必要です。
また一切の公的機関はトラブルが生じた時にサポートをしてくれませんので、まずトラブルの起こらない業者を選択ことが極めて重要になることを理解して取引することが必要です。